DTPデザイナーになるには
DTPデザイナーに資格は必要?
資格は求められないことがほとんど
DTPデザイナーになるうえで、一般に、特別な資格が求められることはありません。
就職するうえで学歴が指定されることはほとんどありませんが、大手の広告代理店や印刷会社では、4年制大学卒業の学歴が求められることがあります。
専門学校や美術大学でデザインの基礎を学び、広告制作会社や印刷会社、デザインプロダクションなどに就職するのが一般的です。
新卒入社の場合、まずはアシスタントとして先輩デザイナーの手伝いをしながら、徐々に案件をメインで担当し、知識やスキルを身につけていくことになるでしょう。
ただし、DTPデザインを行うには、グラフィックソフトや編集ソフトを正しく扱えるだけの知識やスキルが求められます。
こうしたものを証明するために、DTPデザイナーとして働く人が資格を取得することがあります。
就職や転職活動の際資格が求められることはあまり多くありませんが、資格があることで熱意をアピールできたり、保有スキルをわかりやすく証明しやすくなるかもしれません。
DTPデザイナーの仕事に関連する資格
DTPデザイナーの仕事に関連する資格としては、以下のようなものが挙げられます。
DTP検定
「公益社団法人 全日本能率連盟」の登録資格であり、「DTPディレクション」と「DTPビジネス」の2種類のコースに分かれています。
DTPデザイナーとしては、印刷物制作の全行程を総合的に管理・監督するディレクターとしての能力を評価する「DTPディレクション」と関連性が高いでしょう。
アドビ認定エキスパート(ACE)
「アドビ社」が認定する資格で、DTPデザイナーがよく使用する「Photoshop」「Illustrator」「InDesign」など同社のソフトウェア製品について、専門的な知識と技能を持つことを証明します。
Photoshopクリエイター/Illustratorクリエイター能力認定試験
「サーティファイソフトウェア活用能力認定委員会」主催の認定資格で、アドビ社の「Photoshop」と「Illustrator」を活用する能力を測定します。
それぞれ、オペレーターやアシスタントレベルの「スタンダード」、デザイナーやクリエイターレベルの「エキスパート」の2階級が設けられています。
DTPエキスパート認証試験
「公益社団法人 日本印刷技術協会」による認証制度です。
原稿作成や編集、デザイン、レイアウトなどの作業をパソコンで行うDTP業務に関する総合知識を持った「印刷メディア設計のスーパーバイザー」を認証します。
色彩検定
文部科学省認定「公益社団法人 色彩検定協会」による検定試験です。
色に関する幅広い知識や技能を問い、色彩活用能力を証明することができます。
その程度や内容、難易度から「3級」「2級」「1級」「UC級」が設定されています。
20代で正社員への就職・転職
雇用形態はさまざま
DTPデザイナーは、上記で挙げたような会社に正社員として就職する人がいる一方、中小企業の場合は契約社員も比較的多く所属しているようです。
また、会社によって繁忙期があり、業務量が多くなる時期のみ派遣社員やアルバイトを雇う会社もあります。
中途採用や派遣社員には即戦力となれるだけのスキルが求められるため、ほとんどが経験者のみの募集となっています。
新卒入社以外の形でDTPデザイナーを目指す場合には、まずアルバイトとして経験を積んでから、より良い条件で働ける会社へ正社員として転職する人もいるようです。
フリーランスになる道も
DTPデザイナーは、フリーランスで働くこともできます。
フリーランスになれば在宅勤務が可能となるため、結婚や出産後には、フリーランスとして仕事を続けている女性のDTPデザイナーも多くいるようです。
フリーランスになるにあたって資格が必要なわけではありませんが、クライアントのニーズにしっかりと応えられるだけのスキルを身につけておく必要があります。
そのため、まずは会社でDTPデザインの実績を積み、その後フリーランスになるのが一般的とされています。
フリーランスになるメリット・デメリットは?
フリーランスになると、勤務時間も休日も自分で自由に決めることができます。
納期やスケジュールをきちんと把握しておけば、早朝や深夜に仕事をしても問題ありませんし、「今日は2時間だけ働く」といった自由も実現させられます。
また、自分がやりたい仕事だけやるようにしたり、さまざまな案件に挑戦しやすいのも、フリーランスの魅力といえるでしょう。
会社にいれば、基本的には営業活動は営業担当が、経費処理は経理担当がやってくれるものですが、フリーランスになれば一人ですべてをこなさなくてはなりません。
デザイン業務をしながら、それ以外の雑務にも手を回さなくてはならないという大変さがあります。
また、フリーランスには有給休暇もありませんし、もし仕事がなくなったときに誰かが給料を保証してくれるわけでもありません。
クライアントとの間でトラブルが発生しても、自分の力だけで解決しなくてはなりません。
簡単にいえば、「自己責任」の範囲が大きくなるところが大変なところだといえるでしょう。
Webも扱えるほうが仕事を獲得しやすい
インターネットが普及し、紙媒体がどんどんデジタルへと移行している現代では、DTPを扱うデザイナーよりも、Webサイトのデザインができるデザイナーの需要が大きくなっているといわれます。
それでもまだDTPデザイナーが求められる場面はたくさんありますが、この先、生き残りはさらに厳しくなっていくかもしれません。
フリーランスのDTPデザイナーとしてスキルアップし、実績を積み上げていくことも重要ですが、DTPとWebの両方ができるデザイナーになると仕事を安定的に得やすくなるでしょう。
20代で正社員への就職・転職
DTPデザイナーになるための学校(大学、専門学校、スクール)
特別な学校に通う必要がある?
DTPデザイナーは、なるために絶対に必要とされる資格はありません。
特定の学校で学ばなければいけないという仕事でもないため、一般の高校や専門学校、大学などを卒業して、そのままDTPデザイナーとして働き始めることもできます。
しかし、DTPデザイナーは、グラフィックソフトや編集ソフトを扱うためのスキルや、印刷全般に関する知識などが求められます。
こうした知識・スキルは独学で身につけることも可能ですが、効率よく学んでいくために、DTPデザイナー志望者向けの学校へ通うという選択肢もあります。
それでは、DTPデザイナーを目指すうえで、どのような学校があるのか見ていきましょう。
大学
まずは芸術・美術系の大学でデザインを学ぶという道が挙げられます。
美術大学以外でも、デザイン学について学べる大学はいくつかあります。
デザインの基礎となる描写力や造形力、多様なデザイン手法を学べるほか、広く一般教養を身につけていくことができます。
また、大手の広告代理店等は就職試験の応募資格として大卒以上の学歴を掲げているところもあるため、大学へ進学することで就職活動の際の選択肢は広がるでしょう。
専門学校
専門学校であれば、グラフィック系、デザイン系の専門学校が候補となるでしょう。
Photoshop、Illustrator、InDesignなどのグラフィックデザイン、編集に欠かせないソフトのスキルを身につけ、就職を視野に入れて実践的な力を高めていくことを目的としたカリキュラムの学校が多いようです。
専門学校によっては、最近ニーズが高まっているWebデザインについても同時に学ぶことができます。
スクール
民間のスクールでも、DTPデザイナーやグラフィックデザイナーを養成するところがあります。
大学や専門学校に比べて、在学期間が短いところがほとんどで、早ければ3ヵ月程度でひと通りの
デッサンのコツ、デザインに必要な知識と技術のポイントなどを短期的に学びたい人であれば、こうしたスクールの受講を検討してみてもよいでしょう。
スクールによって、さまざまなコースが設置されています。
DTPデザイナーの志望動機、面接、自己PR
志望動機はどんなもの?
DTPデザイナーになりたいと考える人は、デザインをすることが好きで、とくに雑誌やパンフレットなどの印刷物に強い興味を持っていることがほとんどです。
最近ではWebデザイナーのニーズが急増しているといわれますが、実際に印刷されたものが目の前に置かれたときの迫力や、紙の感触やインクの匂いなどは、紙媒体ならではの魅力といえます。
また、DTPデザイナーは、自分のセンスや技術によってデザインしたものを通じて、たくさんの人の心に感動や喜び、ワクワクを与えることもできます。
そういった点に魅力を感じて、DTPデザイナーになりたいと考える人が多いようです。
面接で重視されること
DTPデザイナーの面接では、一般的な面接同様、志望動機や長所・短所、学生時代に努力したこと、入社後の目標などが問われることが多いようです。
それに加えて、DTPソフトのスキル、好きなデザイン作品やデザイナー、デザインに対する思いやこだわりなどについて聞かれることもあるでしょう。
また、企業によっては応募時に作品集(ポートフォリオ)の提出が求められることもあります。
作品集は、現時点での自分のスキルやセンスをアピールする材料になるため、しっかりと作り込んでおいたほうがよいでしょう。
自己PRのポイント
DTPデザイナーは専門的なスキルが求められる仕事であるため、いくら口で「やる気があります!」とアピールしても、それだけでは不合格になってしまう可能性も否定できません。
たとえ専門学校や大学でデザインについて学んでいないとしても、DTPソフトを独学で勉強することはできますし、日ごろからさまざまなアート作品を見て感性を育む努力はできるものです。
積極的に行動し、DTPデザイナーに必要な知識やスキルをできるだけ身につけておく努力をしておけば、面接官にも本当に熱意があるということが伝わりやすくなるでしょう。