コピーライターの需要・現状と将来性
コピーライターの現状
景気に左右されやすい広告業界
リーマンショック後の景気減退とともに、日本においてもあらゆる企業が広告宣伝費を削減する傾向が顕著になり、広告市場は長らく低迷を続けていました。
それに伴い、賞与の削減や人員の削減、ひいては中小の広告代理店や制作プロダクションの経営破綻が相次ぐところとなりました。
このような縮小の危機を見せていた広告業界ですが、アベノミクスに象徴される景気対策が功を奏し、2012年以降は緩やかな回復傾向にあります。
それに伴い広告費も増加傾向となったため何とか危機を脱しましたが、ひとたび景気が悪化すれば企業は広告費を削減する動きを見せることになるため、時代の流れに左右されやすい業界のひとつともいえます。
マス媒体からデジタル系媒体へ
近年の広告媒体の傾向としては、テレビや雑誌といった従来のマス媒体から、インターネットをメインとしたデジタル系媒体へのシフトが顕著になってきていることです。
2009年にはインターネット広告が新聞を抜き、テレビに次ぐ第2位の広告媒体に成長。
2013年には新聞、雑誌、ラジオは前年割れ、テレビは横ばい、対するインターネット広告は8.1%の増加となりました。
その後も、インターネット広告の市場規模は拡大を続けており、従来の広告媒体である「テレビ・ラジオ・雑誌・新聞」の4種類のバランスは崩れ、広告業界は大きな転換期を迎えました。
今後もさらなる広告のデジタル化や、インターネット向けの広告の需要が拡大すると見込まれます。
20代で正社員への就職・転職
コピーライターの需要
広告制作の中心的役割を担う
コピーライターは、広告業界において欠かせない職種のひとつとなっています。
ひと昔前は、コピーライターといえば「気の利いた一行のキャッチフレーズを作る人」と認識されることも多かったようですが、決してオシャレでセンスのいい言葉を書くのがコピーライターの仕事ではありません。
広告は、企業やブランドイメージを良くしたり、商品やサービスの魅力を多くの人に伝えるなど「人の心を動かす」ために作られます。
そこでは、写真やイラストなどのビジュアルと併せて「言葉」が大きな役目を果たします。
多くの人が広告はジャマなものだと考えているからこそ、そんな人たちの目に留まり、「面白そう!楽しそう!」「何だか心に残る」と思われるコピーを考える必要があります。
それができるコピーライターは、今後も必要とされ続けていくでしょう。
セールスコピーの需要が拡大
コピーライターはさまざまな広告のコピーを書きますが、最近は「セールスコピー」といわれる種類のコピーが書ける人の需要が高まっています。
セールスコピーは商品などを売るためのコピーで、それを書く人は「セールスコピーライター」と呼ばれることがあります。
技術が圧倒的に進歩し、ただモノを作れば売れる時代は終わっています。
商品力で勝負することが以前よりも難しくなっているといわれる今だからこそ、その商品の魅力やメリットを上手に伝えるために、セールスコピーの需要が拡大しています。
また、インターネットで企業や個人がモノを気軽に売れるようになったことも、セールスコピーライターの需要拡大の追い風となっているといわれています。
コピーライターの将来性
コピーライターは、文章を書くのが得意でなければできない仕事と思われることもあるようですが、実際には文章力というよりも「さまざまな切り口でモノを見る」クセを身につけることが重要です。
誰もがわかりきっていることをストレートにいうだけでは、なかなか多くの人の心には響きません。
大切なのは、みんながどこかで気付いていながらも言葉にしていないことを、コピーライターが見つけて言葉にすることです。
そのためには、多様な視点で物事を考えられることが重要になり、それができるコピーライターはこれからも求められていくでしょう。
また、コピーライターはありとあらゆる業界の企業や商品のコピーを作るため、特定の業界に詳しいことで力を発揮できる場面もあります。
ただ「文章を書くのが得意」というだけではなく、プラスアルファの強みがあると活躍しやすいでしょう。
20代で正社員への就職・転職
コピーライターの今後の活躍の場
広告媒体のシフトにより、広告業界の従事者に求められる業務スキルも変化しています。
コピーライターに求められるのは、従来のマス媒体で必要だったブランド戦略などに基づくイメージ寄りのコピーから、デジタル系媒体で必要な、個々の消費者にダイレクトに響くコピーへのシフトです。
より高度なマーケティングの知識が求められ、そのノウハウをいかにデジタル系媒体へ反映できるかのスキルが問われます。
コピーライターが媒体シフトに柔軟に対応し、今後も活躍し続けるためには、幅広い知識や見聞を備え、自主的に学んで多彩なスキルを身に付ける必要があるといえるでしょう。