弁理士は独学で合格できる?

弁理士を独学で目指す人はいる?

弁理士は人気国家資格のひとつであり、書店などでは多数の参考書や問題集、専門書などが販売されています。

試験に受験資格もありませんので、それらの市販テキストを利用すれば、独学で勉強を進めることも可能です。

ただし、弁理士試験は条文の丸暗記や過去問演習だけで太刀打ちできるようなレベルではなく、各分野についての幅広い知識と深い理解が不可欠です。

合格するために必要となる勉強時間は3000時間が目安とされていますが、仮にまったくの独学で挑むとするならば、それよりもさらに長い時間がかかると想定しておくべきです。

しかし、弁理士を志望する人の生活事情や経済事情、学力、性格などはさまざまであり、多少のリスクがあっても、独学というスタイルが最も向いているという人もいるでしょう。

以下では、独学で弁理士試験に挑むメリット・デメリットについて、ほかの勉強方法と比較しながらご紹介します。

独学のメリット

自分のペースで勉強できる

独学で勉強する場合の最大のメリットは、自分のペースで、自分の好きな範囲を学習できるということです。

弁理士試験は、短答式・論文式・口述式の3段階に分かれており、各段階に沿って異なる勉強が必要ですが、短答式を重点的に勉強したい人もいれば、論文式の対策に多くの時間を割きたい人もいます。

予備校であれば、各受講生の足並みを揃えなければなりませんが、独学であれば、自身の知識や理解度に応じて、スムーズに勉強を進めることができます。

また、勉強する時間帯や場所などについても、自分で自由に設定することが可能です。

費用を抑えられる

また、独学で勉強する場合、ほかの勉強方法よりも大幅に学費を安く抑えられるという点が挙げられます。

予備校や通信講座などを受講する場合、少なくとも数十万円、あるいは百万円単位の費用がかかりますが、独学の場合はせいぜいテキスト代の数万円程度ですみます。

弁理士試験に合格するまでには数年間かかるケースが一般的ですので、勉強期間が長引けば長引くほど、経済的メリットは大きくなるでしょう。

ただし、独学で臨むことで、かえって合格までにより長い時間がかかるというリスクもあります。

働きながら勉強できる

弁理士試験は難関であり、学生の間に合格できる人は少数派ですので、多くの人は、仕事をしながら試験勉強に励むことになります。

しかし、仕事の都合で決まった時間に通学できなかったり、あるいは勤務先や自宅から通える場所に予備校がないというケースもあります。

独学であれば、仕事が終わった後や休日、あるいは休憩時間や移動時間などに学習することができますので、仕事と勉強を両立させやすいでしょう。

とくに、特許事務所に勤める人については、実務で得た経験をそのまま試験対策に生かすことができますので、独学で挑む場合でも、試験に合格できる可能性は高まります。

独学のデメリット

最新の法改正に対応できない

弁理士試験の主要範囲である特許法や実用新案法などは、時代の移り変わりや新技術などに対応していくため、頻繁に法改正が実施されます。

市販のテキストの場合、予備校のテキストなどとは異なって、即座に改正内容が反映されるわけではありませんので、独学で勉強する人については、自力で対策を行うことが必要です。

本来の勉強時間とは別に、情報収集などに余分な時間がかかってしまうことは、独学特有の避けられないデメリットのひとつです。

論文式試験の対策が難しい

二次試験となる論文式試験は、弁理士試験における山場といえますが、一次試験の短答式とは異なって、自身の言葉で文章にまとめて解答することが必要です。

その記述方法には一定のルールがあり、まず各設問の根拠となる条文を提示・説明し、その適用要件について触れ、それが及ぼす法律効果について論を展開するという流れを抑えなければなりません。

それらを誰にも教わらずマスターするには膨大な演習量が求められるうえ、独学の場合、そもそも自分で書いた文章を自分で添削することが難しいという問題もあります。

短答式試験については独学でも突破可能である一方、論文式試験については、たとえ単発的にでも、予備校講座などを受講し、第三者からの添削を受けることが望ましいでしょう。

モチベーションを保ちにくい

弁理士試験の合格者は、資格取得までに平均3回~4回程度の受験回数を要しており、勉強期間がかなりの長期に及ぶことも想定しておかなければなりません。

もしも予備校などに通っており、ともに弁理士を目指す仲間がいたら、思うように勉強が進まなかったり、あるいは何年も連続して不合格になって落ち込んでも、励まし合うことができるかもしれません。

しかし、独学で試験に挑む場合は、基本的に相談する相手もいませんので、長期間にわたって自分で自分を鼓舞し、つらい勉強をコツコツとこなし続けることが必要です。

人によっては、一人で勉強したほうがむしろ捗るというケースもありますので、一概にはいえないものの、独学でモチベーションを保ち続けることは決して容易ではないでしょう。