アパレル店員になるには
アパレル店員は、お客さまに的確なアドバイスをして洋服を販売します。
お客さまごとに異なる接客が求められるアパレル店員になるためには、どんな道のりが必要なのでしょうか。
アパレル店員に向いている人や目指し方について解説します。
アパレル店員になるまでの道のり
アパレル店員が勤務するショップは百貨店、大手チェーン店から個人経営のお店まで、大小さまざまです。そのなかで多くのアパレル企業は特別な学歴や資格を求めていません。
もちろんファッション系の専門学校などで専門知識を身に付け就職する人もいますが、販売やアパレルに関する特別な勉強をしていなくても、この仕事に就くことは十分に可能です。
アパレル店員になるための学校の種類
同じアパレル業界でもファッションデザイナーやパタンナー、スタイリスト等と異なり、アパレル店員を目指す場合はファッションの専門学校を出ている人はさほど多くありません。
ファッションに関する専門学校に進学することで、専門知識を身に付けることはできますが、それ以外の学校や高卒からでもアパレル店員になることは十分可能です。
ただし、最初から正社員を目指す場合は「大卒以上」の学歴が問われることもあり、特に有名なブランドを多数扱う大手企業であればあるほど、その傾向が強いようです。
アパレル店員に学歴は必要? 高卒でも活躍できる?
アパレル店員に学歴は必要?
アパレル店員が、採用の際に学歴を問われることはほとんどありません。
店員の募集では「高卒以上」や「専門学校卒以上」を条件とする企業が多いようですが、「学歴不問」とする企業もあるほどです。
ただし、学歴によって採用時の雇用形態や、その後のキャリアに差が付くことはあります。たとえば「学歴不問」である場合、アルバイトとしての採用しか行っていないこともあります。
中卒や高卒でもアパレル店員として働くことは可能ですが、将来的に社員登用や本社勤務を目指す場合は、専門学校以上の学歴を必須とする企業もあるようです。
例えば一部の大手企業では、毎年大卒者の正社員採用を実施するところもありますが、この場合は「幹部候補」を前提としたルートを用意されていることが多いです。
●大手企業の採用一例
こうしたルートが確立されている企業の場合は、中卒や高卒の人が本社に勤務するのは厳しいかもしれません。
一方、店長として売り上げや人材育成に貢献したり、お客さまからの信頼が厚かったりと、実力を示せれば、キャリアアップにつながることでしょう。
アパレル店員と学歴の考え方
稀に学歴が問われるケースもありますが、基本的に、
- 人とコミュニケーションがとれる
- 仕事に対する目標や意欲を持って働ける
人であれば、学歴を問わずアパレル店員になるのはさほど難しくありません。
一方、学歴があまり問われないことから、学歴が高い人がアパレル店員になるのをためらってしまうこともあるようです。
アパレル店員は学歴の高さで優劣がつくのではなく、販売員としてどれだけ上手に接客でき、売り上げにつなげられるを求められます。
アパレル店員として働く場合は、学歴にとらわれずに仕事に誇りを持って全力で打ち込んでいくことが大切です。
高卒でアパレル店員になる人は多い
アパレル店員は、さほど学歴が求められる職業ではなく、店舗では高卒の店員も多数働いています。
販売やアパレルに関する特別な勉強をしていなくても、この仕事に就くことは十分に可能です。
高校を出て若いうちに就職し、現場でバリバリと経験を積むことで、20代のうちに販売のプロフェッショナルとなっているアパレル店員もいます。
学歴が高いからといって、特別有利になったり仕事内容に差が付けられたりするようなこともないため、実力さえあれば高卒でも評価される仕事です。
ただし、アパレルメーカーにおいて、企画や営業、プレス、マーチャンダイザーといった本社勤務の職種を志望する場合には、高卒の学歴では応募資格に満たないことが多いようです。
アルバイトから経験を積む道もある
アパレル店員は正社員や契約社員、派遣社員、パート・アルバイトなど多様な雇用形態で働く人がいますが、高卒でも正社員になることは可能です。
ただし、人気のショップやブランドは倍率が高くなりがちで、未経験者は採用されにくいこともあります。
その場合、まずはアルバイトとして働き始め、接客や販売のスキルを高めるのも一つの手です。そのスキルをアピールポイントに、正社員としての転職を目指す方法も考えられます。
アパレル店員の求人は数が多く、応募資格や条件も企業によってまちまちであるため、自分の希望をよく考えながら志望先を定めていくとよいでしょう。
アパレル店員に向いている人
ショップの店頭には新商品が次々と並ぶため、ファッションの流行に敏感で、自ら学ぼうとするおしゃれに貪欲な性格が接客にも役立ちます。
また、初対面の人とでもにこやかに明るく会話し、いつでも元気よく働けることも重要な適性のひとつです。
アパレル店員を目指す人におすすめの資格はある?
アパレル店員に必要な資格は?
アパレル店員になるために必要とされる資格はありません。
この職業は、学歴や経験を問われないことも多いため、
特別な勉強をしていなくてもアパレル店員になれます。実際に、ショップで働き始めてから商品知識を身につけたり、接客やマナーについて学んだりしてステップアップしていく人が大半です。
入社後の研修で業務に必要な知識やスキルを学ぶのが一般的ですが、仕事を進めるうえで優位な関連資格もいくつか存在します。
アパレル店員にかかわる資格の種類は?
アパレル店員に関係する資格は、主に
- 販売に関する資格
- 色彩などセンスに関する資格
があります。
アパレル店員になるために必ずしも取得する必要はありませんが
また、店長やエリアマネージャーなど、キャリアアップの過程で会社から受験を求められることもあります。
将来、確実にマネジメントの仕事にまで携わりたいという人は、早いうちに資格をとっておくのもよいかもしれません。
アパレル店員に有利な3つの資格
その1:ファッション販売能力検定試験
一般財団法人 日本ファッション協会振興協会が行う検定試験で、ファッション・アパレル業界の現場である店舗においての接客技術・販売力・ショップ運営などの必要な知識や能力の向上を目的としています。
1級から3級の3つのレベルに分かれており、2級・3級は販売員(アパレル店員)向け、1級は店長やマネージャーなどの管理運営者向けです。
試験の内容は、販売知識や販売技術、マーケティング知識等が出題され、独学でも十分合格できるレベルとなっています。
ファッション系の専門学校ではこの検定試験の受験を目標に勉強することも多いようです。
その2:販売士
「小売・流通業界で唯一の公的資格」として、ファッション業界のみならず
一般社団法人 日本販売士協会では、販売士を目指す人向けの養成通信講座や講習会も開催しているため、協会に入会し資格を取得することでより仕事の幅が広がることも考えられます。
その3:色彩検定
公益社団法人 色彩検定協会が行う検定試験で、1990年の第1回開催から累計140万人以上の方が受検した文部科学省後援の公的資格です。
レベルに合わせて1、2、3級、UC級 があり、どの級からでも自由に受験できます。
ここでは、アパレル店員の雇用形態を紐解いて、働き方や与えられる条件の違いについて比較解説します。
アパレル店員の雇用形態
アパレル店員は正社員として働くほか、アルバイトや契約社員で働くのがほとんどです。
なかには、アルバイトからスタートし、経験と能力を評価され、正社員にステップアップする人も多くいます。
正社員のアパレル店員
正社員でアパレル店員として働く人は、経験や能力により昇格し、エリアマネージャーや店長としてキャリアを積んでいくのが一般的です。
販売の実績をかわれ、商品企画や広報・バイヤー職などの本社勤務となることもあるため、キャリアアップや企業内で他の職種を希望する場合は、正社員のほうが有利になります。
新卒採用でアパレルメーカーに就職する場合は、このルートをたどることが多いです。
一般的に高卒・大卒のどちらでも正社員になれますが、会社によっては、高卒か大卒かによって給料に差がつくこともあります。
派遣のアパレル店員
近年は派遣でアパレル店員として働く人も増えています。
アルバイトと比べれば高い給与を得ることができ、自分の都合のいい曜日や時間だけ働くなど比較的自由な働き方が可能です。
また、派遣でアパレル店員として働く場合、正社員で入社するのが難しい大手のブランドや外資系ブランドで働くチャンスもあります。
ただし派遣の場合は現場の即戦力としての役割が求められるため、能力が認められなければ契約打ち切りもあり得ることを肝に銘じておきましょう。
アルバイト・パートのアパレル店員
アルバイトとして働く人も多い
アパレル店員はアルバイトの求人も多く、若い人でも働きやすい仕事だといえるでしょう。
ブランドやショップによって異なりますが、学歴は高卒以上というところもあり、専門学校や大学に通いながらアパレル店員のアルバイトをする人もいるようです。
アパレル店員のアルバイトの求人は、一般のアルバイト求人サイトやアパレル専門の求人サイト、あるいは店舗の張り紙やWebサイトなどでも掲載されています。
アルバイトの仕事内容
アルバイトのアパレル店員の仕事内容は接客やレジ打ちのほか、商品管理や陳列・整頓・タグ付け・掃除などがあります。
社員のスタッフと同じような業務を任されることもあれば、未経験の場合にはサポート的な業務からスタートすることもあります。
たとえアルバイトであっても、アパレル店員として店頭に立つ以上は、プロの販売員としてお客さまに接しなければなりません。
お客さまから商品について質問されたり、コーディネートについて相談を受けたりすることもあるため、商品のことをよく理解し、できるだけファッションの知識を深めることも大切です。
アルバイトのアパレル店員のメリット
自社ブランドの洋服が安く購入できる
アパレル店員になると、自社ブランドの商品を社員割引で買うことができます。
好きなブランドを扱うショップで働けば、通常よりも安く洋服を買うことができるため、そこに魅力を感じアパレル店員のアルバイトを始める人もいます。
流行をいち早く取り入れられる
アパレル店員になれば、誰よりも早く流行の商品が手に入ります。
流行を先取りでき、最新のファッションに囲まれて働けることは、洋服好きな人にとって魅力的でしょう。
コミュニケーション能力を養える
常連・新規を問わずたくさんの接客をこなすため、コミュニケーション能力が高まります。
また、接客業を経験することで、社会人になる前からマナーを身につけることも可能です。
アルバイトのアパレル店員のデメリット
華やかなイメージと違い重労働
アパレル店員は、基本的に長時間の立ち仕事を強いられるうえ、商品の搬入や陳列など重たい荷物を運ぶのに意外と体力を要します。
そのため、いざ仕事をしてみると、見た目ほど華やかな世界ではないと感じる人も多いようです。
洋服代にお金がかかる
アパレル店員は、自社ブランドの服を着てショップに立つことも少なくありません。
自社ブランドのアイテムは自費で購入するため、せっかくアルバイトで収入を得ても洋服代で消えてしまいます。
アルバイトにも社員割引が利くかどうかなど、事前に企業やブランドについて調べておくと安心です。
アパレル店員のキャリアプラン・キャリアパス
アパレル店員は、他の職業と同様に正社員として働く人がいる一方、契約社員やアルバイトとして働く人も多い職業です。
なかには、全員アルバイトからスタートし、能力や経験に応じて正社員にステップアップすることを定めている会社もあるようです。
アパレル店員の需要は高く、たとえ正社員になれなくても外部の派遣会社に登録し、販売専門スタッフとしてアパレル店員になることも可能です。
店長やエリアマネージャーなど、確実なキャリアアップを望むのであれば、正社員を目指すことが必要といえるでしょう。
百貨店でアパレル店員になりたい場合は、
- 百貨店の正社員もしくは派遣社員がショップ担当として販売するケース
- 各ブランドの社員が百貨店に派遣されて販売するケース
の2パターンがあります。
アパレル店員を目指せる年齢は?
アパレル店員は若い人が中心
アパレル店員は華やかなイメージから若者向けの仕事と思われがちですが、年齢を重ねても需要があり何歳からでも働ける仕事です。
ショップやブランドのコンセプトやターゲットによって、そこで働く人の年齢層も異なり、ミセス向けのブランドであれば30代以上でも働けます。
また、40代以上の人をターゲットにしたブランドであれば、むしろ20代など若い人はあまり採用されないこともあります。
経験や年齢にあわせて勤務先を選べば、年齢を問わず活躍できます。
収入や体力面で不安を感じる
アパレル店員に年齢はさほど関係ありませんが、立ち仕事であり、意外と体力を要するため、年齢を重ねていくと体力面で厳しさを感じる人もいるようです。
また、順調に店長やマネージャーなどのポジションへステップアップできればよいのですが、販売員として働く限り、さほど大きな収入は得られません。お客さまの信頼を集め、できるだけ成果を残すことが、アパレル店員を続けるコツといえるでしょう。
経験を積めば販売の現場から本社勤務へ
アパレル店員には、年齢に応じたショップやブランドへ転職して販売員を続ける人や、そのブランドで店員として働き続ける人がいます。
一方、本社へ異動して、企画や営業などの仕事にキャリアチェンジするケースもあります。
希望すれば誰もができるというわけではありませんが、店員として実績を残したり、センスがあると認められたりすれば、新しい仕事に挑戦することも可能です。
多様な職種の選択肢があるため、同じ企業でも長く働き続けられるでしょう。
「アパレル店員になるため」のまとめ
アパレル店員になる際は、特別な資格や進学は必要ありません。経験と実績を積むことで、キャリアアップの道も開けます。
ファッションセンスや能力は、仕事に就いてからでも十分身に付きます。
ただし、資格を持っておくとキャリアアップや評価アップにつながることもあるため、販売や色彩にかかわる資格取得を目指してみるのもよいでしょう。
また、ファッションの流行を敏感にキャッチして、お客さまに信頼される販売を行うための努力が必要です。目指すキャリアプランにむけて、資格を取得したり知見を広げたりするとよいでしょう。