宅建士になるには? 資格の取り方

宅建士になるまでの道のり

宅建士(宅地建物取引士)になるには、まず宅建士試験を受けて合格し、資格を取得することが必要です。

受験資格はとくに設けられておらず、受験手数料7,000円を支払いさえすれば誰でも試験を受けることができるため、その専門性の高さの割に、門戸は広く開かれている資格といえます。

ただし、試験に合格するには、民法や宅建業法、税法など、複数の法律知識を身につけなければならず、かなりの勉強量が求められます。

試験は年に1度しか実施されないため、人によっては、合格までに数年かかるケースもあります。

無事に試験を突破できたら、次に各都道府県に資格を登録することが必要となりますが、宅地建物取引業の実務経験が2年未満の人については「登録実務講習」を受講しないと登録することができません。

実務経験を積むか、研修を修了して資格を登録したら「宅地建物取引士証」の交付を受けて、晴れて宅建士としてのキャリアをスタートできるようになります。

宅建士になるまでのルート

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宅建士の資格・難易度

宅建士資格は、国土交通省の主管する国家資格であり、かつて「宅地建物取引主任者」と呼ばれていた時代から、不動産に携わる人にとって最もメジャーといえる資格です。

上述の通り、宅建士試験には受験資格が定められていないため、毎年20万人を超える数多くの人が受験しますが、そのうち合格できるのは例年3万人前後であり、合格率にして15%~17%前後です。

合格するまでに必要となる勉強時間はおよそ300時間がひとつの目安とされていますが、宅建士に名前が変わり、士業資格の仲間入りをしてから、難易度がやや上昇しているという声も聞かれます。

難関資格といえますが、宅地建物取引業者として登録している企業は、その店舗や事務所ごとに、宅建士を1人以上配置することが法令で義務付けられているため、資格保有者には常に一定の需要があります。

不動産業界で働くなら、ぜひとも最優先で取得を目指すべき資格といえるでしょう。

参考:一般財団法人 不動産適正取引推進機構 宅地建物取引士資格試験実施結果の概要
宅建士試験の難易度・合格率

宅建士になるための学校の種類

宅建士になるための学校としては、民間の資格専門予備校が挙げられます。

受験者数が非常に多いこともあって、多くの予備校が宅建士試験対策講座を開いており、初学者向け、既修者向けなど、自身のレベルに適したさまざまなコースを選ぶことができます。

また、通学制だけでなく通信制の講座もあるため、仕事の都合で時間が取れない場合や、近くに学校がない場合でも、自分の好きな時間に、好きな場所で勉強することが可能です。

宅建取得のための予備校・スクール・通信講座と費用

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独学で宅建に合格できる?

宅建士を独学で目指す人はいる?

宅建士(宅地建物取引士)試験の合格率は、例年15%前後しかなく、世間一般にも難易度の高い試験として知られています。

しかし、宅建士試験には受験資格がなく、誰でも自由に試験を受けることができるため、受験生のすべてが「本気で合格を目指している人」というわけではありません。

なかには、とりあえず受けてみるという記念受験の人や、勤め先に強制されて、やる気のないまま仕方なく受験している人もおり、そうした人々の存在が合格率を大きく下げている一因となっています。

宅建士試験が難関であることは間違いありませんが、少なくとも合格率から感じられるほどのレベルではなく、独学でも合格できる可能性は十分にあります。

ただし、独学は人によって向き不向きが大きく分かれますし、勉強方法が間違っていると何年経っても合格できないなど、リスクも相応にあります。

独学のメリット

マイペースに勉強できる

独学の最大のメリットは、時間や場所を選ばず、自分のペースで勉強できることです。

民間の予備校に通う場合、授業時間はあらかじめ決まっていますし、教室まで通学するという負担も発生します。

宅建士を目指しているけれども、仕事の都合で毎日同じ時間に通うことが難しかったり、地方在住でそもそも通える範囲にスクールがないという人もいるでしょう。

しかし、独学であれば仕事から帰宅して一息ついた後、好きなタイミングで勉強に取り掛かれますし、休日には気分転換も兼ねてカフェでも勉強できます。

また、1日の勉強量や勉強する内容も自分の自由であり、たとえば日によって過去問演習だけに取り組んだり、暗記だけに集中したりなど、自身の進捗状況に合わせて柔軟に学習を進められます。

学費を安くおさえられる

民間の予備校に通学する場合、初学者向けや既修者向けなどのコースにもよりますが、入学金などを含めて20万円~25万円程度の費用がかかります。

短期集中講座でも10万円前後が相場ですし、模擬試験を1回受けるだけでも約1万円はかかるため、しっかり対策しようとすればするほど経済的負担は重くなります。

しかし、独学であれば必要になるのは基本的にテキスト代のみであり、費用を安くおさえることが可能です。

初期投資を安く済ませておけば、後から直前対策などの足りない部分にお金を回すこともできるでしょう。

宅建士は、試験に合格した後も資格登録料や講習受講料などで10万円近く必要になるため、学費をおさえられるというメリットは大きいといえます。

市販のテキストが豊富にある

宅建士は、毎年20万人を超える人が試験を受ける人気資格です。

このため、マイナーな資格とは異なって、一般の書店でもさまざまな種類の参考書や過去問題集、予想問題集などが市販されています。

独学者にとって、唯一の勉強ツールであり、また教師代わりでもあるテキスト選びは非常に重要ですが、宅建士試験の場合、豊富な選択肢があるという点は大きなメリットといえます。

ネットのレビューを参考にしたり、書店で一冊ずつ実際に手に取ったりして見やすい、わかりやすいと感じられるもの、自分のフィーリングに合ったものをチョイスするとよいでしょう。

独学のデメリット

余分な時間がかかる

宅建士試験に合格するためには、一般的に約300時間の勉強が必要といわれています。

しかし、独学で挑む場合、わからないことがあれば立ち止まってその都度自分で考えなければいけませんし、コツやノウハウを教えてくれる人もいません。

このため、予備校などを利用する人に比べると、どうしても学習の効率性が下がってしまうというデメリットがあり、300時間以上勉強しなければならない可能性が高くなります。

とくに初学者については、法律問題特有の考え方に戸惑ったり重要な部分とそうでない部分の見分けがつきにくいなど、勉強がなかなか捗らないケースも多いかもしれません。

自己管理能力が問われる

資格学校などを利用すれば、テキストもカリキュラムもスケジュールも、すべてスクール側が用意してくれます。

定期的に演習問題などで実力をチェックしてくれますし、本番を想定した模擬試験の日程まであらかじめ組まれているところもめずらしくありません。

これに対して、独学の場合はそのすべてを自分で準備し、計画を立てなければならないため、高い自己管理能力が問われます。

宅建士試験では、直近の税制改正や統計に関する問題も出題されることから、そうした最新の情報への対応も試験直前に行う必要があり、スケジュールの組み方は非常に重要です。

また、独学だと誰かに勉強を強制されることもありませんし、さぼっても誰かが見ているわけでもないため、自分を律することのできる強い精神力も必要になります。

宅建士試験の低い合格率を考えると、一発で合格できるとも限りませんから、とくに不合格直後などどこかでモチベーションを失ってしまうこともあるかもしれません。

リーズナブルな通信講座もある

独学の場合、上述の通り学費はテキスト代程度で済むものの、宅建士試験ではかなりの量のテキストが必要になります。

宅建業法や民法、各種法令上の制限、税制など試験の出題範囲が幅広いため参考書だけでも複数冊が必要ですし、学習の中心となる過去問題集も必携です。

直前期には、最新の法改正や裁判の判例などを踏まえた予想問題集も購入しなければならないでしょう。

一冊あたりの単価はたかが知れていても、それが積み重なると数万円程度かかる可能性も十分にあります。

それと比べると、通信講座のなかには4万円~5万円程度のものもあるため、経済的な負担としてはそこまで大きな差はないかもしれません。

どれだけのお金をかけられるかは個人の事情次第で一概にはいえませんが、コストと効率性を天秤にかけて慎重に学習スタイルを検討する必要があるでしょう。

宅建士に向いている人

宅建士に向いているのは、当たり前といえば当たり前ですが、不動産が好きな人です。

時代や社会を反映して、業務に関連する法律は日々改正されていくため、宅建士は最新の知識に更新するために、資格を取ってからもずっと、勉強し続けなければなりません。

不動産への興味が強い人ほど、貪欲に広範な知識を吸収し、優秀な宅建士として活躍できるでしょう。

また、宅建士は、個々の物件に適用される数多くの法律について調べ、依頼者が不利益を被らないよう、さまざまなリスクを検討しなければならないため、注意深く、慎重な性格の人に適性があります。

逆にいうと、いくら仕事が早くても、漏れや抜けが多い「拙速」な人や、依頼者より自分の利益を優先させてしまう利己的な人は、宅建士には向きません。

とくにお金への執着が強すぎる人は、いわゆる「悪徳不動産業者」に成り下がってしまうこともあるかもしれません。

宅建士に向いている人・適性・必要なスキル

宅建士のキャリアプラン・キャリアパス

新たに資格を取得した宅建士は、不動産会社に就職し、賃貸仲介、売買仲介、物件管理など、いずれかの業務を手掛けるケースが一般的です。

その後のキャリアプランはさまざまであり、引き続き同じ業務に携わって専門性を深める人もいれば、別の業務を経験してスキルの幅を拡げる人もいます。

また、環境の変化を求めて別の企業に転職する人もめずらしくありませんし、勤め先を退職し、宅地建物取引業者として独立開業する人もいます。

宅建士のスキルは汎用性があるため、宅建士としてどのように不動産に関わり、どのようなキャリアを歩んでいくかは、個人の希望次第です。

宅建士を目指せる年齢は?

宅建士試験に年齢制限はありませんので、何歳でも受験可能であり、合格者のなかには、40代や50代、あるいはそれ以上の人もいます。

しかし、宅建士は資格保有者が多いこともあって、資格があるだけでそこまで就職が有利となるわけではなく、とくにある程度年齢を重ねた人については実務経験も求められるケースが一般的です。

不動産業界は人の入れ替わりが激しいこともあって、ほかの業界よりも年齢制限は比較的緩めですが、それでもまったくの未経験者については30歳がひとつの目安となるでしょう。

ただし、不動産業界でなくても、営業職や事務職の実務経験があれば30代でも就職は十分可能ですし、不動産業界のキャリアがある人なら40代以上でもチャンスはあります。

宅建士は女性でもなれる?

宅建システムを管理している不動産適性取引推進機構の統計をみると、直近の宅建士証交付者の女性割合は25%前後となっており、女性の宅建士は4人に1人程度です。

まだまだ男性のほうが多いことに変わりはありませんが、ここ四半世紀以上にわたって、女性の宅建士は人数・割合ともに増加し続けており、女性でも、宅建士として活躍することはもちろん可能です。

宅建士のおもな仕事は、契約内容の説明や、書類作成などの事務作業であり、基本的にさほど体力が求められるわけではなく、性別による有利不利はほとんどないといえます。

むしろ、接客業務においては、女性ならではの心配りや気遣い、優しさが、顧客とのコミュニケーションを円滑に進めるのに役立ち、取引成立につながるケースも多いでしょう。

女性の宅建士のキャリアパス・結婚後の生活