スタイリストとファッションコーディネーターの違い
スタイリストとコーディネーターの仕事内容の違い
ファッションコーディネーターとは
ファッション業界ではさまざまな職種の人が働いていますが、そのうちスタイリストとしばしば混同されやすいのが「ファッションコーディネーター」です。
ファッションコーディネーターは、その名前からファッションをコーディネートする仕事、つまりスタイリストと同様の仕事内容と考えられることが多いようです。
しかし、正確にいえばファッションコーディネーターは、スタイリストのようにモデルなど特定の人に対する服のコーディネートを行うのではなく、アパレル業界においてマーケティングや商品企画、販売促進などの役割を担います。
スタイリストとの大きな違い
スタイリストとファッションコーディネーターは、まず仕事内容そのものに大きな違いがあります。
ファッションコーディネーターの場合、アパレルメーカーや小売企業、企画会社などに所属し、そこの社員として働く人が大半です。
営業職や事務職など、一般的な会社員のイメージに近いといえるかもしれません。
また、「デザイナー兼ファッションコーディネーター」であったり、「営業兼ファッションコーディネーター」のような役割を担ったりする人もいます。
自社の経営戦略やプロジェクトの全体を踏まえて、世の中でどのようなニーズがあり、どのような商品を作ったり仕入れて売ったりすればいいかなど、広く調整を図っていくのがファッションコーディネーターです。
一方、モデルやタレント、あるいは一般の人にファッションを提案するスタイリストは、事務所に所属するかフリーランスで活躍する人が大半を占め、会社名というよりは「スタイリスト自身の名前」で仕事をすることが多くなります。
どちらもファッションに関わる仕事ではありますが、両者は仕事内容のみならず、働き方も大きく異なるといえるでしょう。
20代で正社員への就職・転職
スタイリストとファッションコーディネーターのなる方法の違い
スタイリストを目指す場合もファッションコーディネーターになる場合も、まずは服飾系・デザイン系の専門学校や大学・短大の家政科に進んでファッションに関する専門知識を身につける人が多いです。
スタイリストになるのであれば、学校を卒業した後は求人へ応募したり、学校の紹介を受けたりして、スタイリスト事務所へ所属する道が一般的です。
ファッションコーディネーターを目指す場合、アパレル企業の企画職やマーケティング職へ応募することになるでしょう。
いずれの職業も、いきなりモデルのスタイリングをしたり、ブランドのイメージを任されたりすることまずありません。
アシスタントや販売員からスタートして経験を積むと、一人前のスタイリストやファッションコーディネーターとして評価されるようになります。
スタイリストとファッションコーディネーターの資格・必要なスキルの違い
スタイリストやファッションコーディネーターになるために取得が必須となる資格はありません。
いずれの職業も経験を積むことで得られる実力が評価される仕事なので、資格よりも現場で通用するスキルやセンスが必要です。
ただし、それぞれの仕事内容に関連する資格を持っていると就職や転職をするときに有利となることがあります。
「色彩検定」や「カラーコーディネーター検定」はいずれの職業にも役立つでしょう。
スタイリストであれば、一人ひとりに合う色を提案するための色彩知識を問う「色彩技能パーソナル検定」を持っているとスタイリング能力の証明になります。
企画やマーケティングなどをおこなうコーディネーターであれば「ファッションビジネス能力検定」や「ファッション販売能力検定」を持っていると有利だといえます。
20代で正社員への就職・転職
スタイリストとファッションコーディネーターの学校・学費の違い
スタイリストやファッションコーディネーターになるのに必ず通わなければいけない学校はありません。
ただし、スタイリストやファッションコーディネーターを目指す人の多くは、服飾・デザイン系の専門学校や、ファッション関連のコースがある大学や短大に進学しています。
スタイリストを目指す場合は、服飾科やスタイリスト科、デザイン専攻などに進むとよいでしょう。
ファッションコーディネーターになる場合は、企画やマーケティング、ブランディングを担当することも多いので、ファッションビジネス科やファッション流通科を選ぶ人も多いです。
数は少ないですが、4年制大学の経済学部や商学部などに進学した後、新卒採用でアパレル企業に就職し、コーディネーターを目指す人もいます。
専門学校に通う場合、必要な学費は年間90万円〜150万円程度です。
スタイリストとファッションコーディネーターの給料・待遇の違い
スタイリストの給料や待遇は、実力や働き方によって大きく異なります。
スタイリスト事務所に所属している場合の年収の平均は200万円〜500万円ほどですが、有名スタイリストの場合はさらに高額になりますし、アルバイトや契約社員として働くのであればさらに下回ります。
また、スタイリストはフリーランスで働く人も多く、案件がなければ収入はほぼなくなり、大きな仕事を任されれば1回で100万円近くなることもあります。
一人前のスタイリストになるまでのアシスタント時代には、10万円前後の手取りで休みなく働くというパターンも珍しくありません。
一方、ファッションコーディネーターの多くはアパレル企業や小売店などに勤務しているため、安定した収入が見込め、福利厚生などの待遇もよい場合が多いです。
初任給であれば月収18万円〜20万円ほど、経験を積めば年収500万円以上を得ることも可能です。
スタイリストとコーディネーターはどっちがおすすめ?
スタイリストは、テレビや雑誌などの撮影現場へ実際に出向き、モデルやタレントの衣装をスタイリングする仕事です。
一方で、ファッションコーディネーターはアパレル企業などの内部で、ブランドイメージの提案や顧客層のマーケティング、トレンドの分析などをおこないます。
いずれもファッションが好きな人にとってやりがいのある職業ですが、一人ひとりと向き合い衣装の着こなしを提案するか、ファッションブランド全体のイメージを提案するか、というところに両者の違いがあります。
ファッションに関する制作物や広告の作成に興味がある人にはスタイリストが、リサーチやマーケティングを通してトレンドを生み出してみたい人にはファッションコーディネータが向いているといえるでしょう。