独学で測量士に合格できる?

独学で測量士試験に合格できる?

測量士になるには、おおまかに分けて2つの方法があります。

ひとつは学歴や職歴などの必要条件を満たす方法、もうひとつは国家試験を受ける方法です。

前者については、複数のルートがあるものの、大学や専門学校、養成施設など、いずれかの教育機関に通うことが必須となっており、独学だけで資格取得までたどり着くことはできません。

一方、後者については、試験を受けるにあたって学歴などの受験資格は一切ないため、どこの学校にも通うことなく、独学のみで測量士になることも可能です。

ただし、測量士試験は、測量に関する深い専門知識と理解、数学力が求められる難関であり、合格率は例年10%前後しかありません。

独学だけで合格することも決して不可能ではありませんが、合格率の低さを考えると、何年経っても合格できないなど、抱えないといけないリスクも相応にあります。

以下に測量士試験に独学で挑む場合のメリット・デメリットをご紹介しますので、自身に最適と思える方法を選択してください。

独学のメリット

自分のペースで勉強できる

独学で勉強することの最大のメリットは、マイペースに勉強できることです。

1日の勉強時間や学習範囲は各人の自由であり、数ヵ月間で一気に全範囲を勉強することもできますし、数年単位のスパンを設けて少しずつ勉強することもできます。

測量士試験で出題されるのは、測量法や国際条約といった法律に関する問題と、多角測量やGPS測量といった各種測量技術の作業規定に関する問題など、知識を問うものが中心です。

勉強時間の大半は暗記に費やすことになるため、学校のように足並みをそろえて勉強する必要性はそこまで大きくなく、むしろ自分のペースでコツコツ勉強したほうが捗るかもしれません。

それぞれの分野はある程度独立していることから、たとえば今週は法規、来週は水準測量といったように、ジャンルごとに勉強しやすい点もメリットといえます。

学費を抑えられる

仮に大学や専門学校に通うとなると、入学金や授業料などで年間約100万円前後の学費がかかり、資格取得までにはまとまった金額が必要です。

その一方、独学で挑む場合、学費はテキスト代程度に抑えることができるため、学校に通う場合と比べると負担は雲泥の差です。

5年分の過去問は国土地理院のホームページに無料で掲載されていますし、参考書も図書館などの公共施設を利用すれば、学費をほぼゼロにすることも不可能ではないでしょう。

経済的に余裕がない人にとっては、独学は非常に有効な選択肢といえます。

ただし、わからないことに出くわすたびに自力で解決しないといけないぶん、余計に時間がかかってしまうことは間違いありません。

効率的に勉強するなら、公益社団法人日本測量協会が実施している通信講座を利用する方法をおすすめします。

受講料も59,000円と決して高くはありませんし、国の教育訓練給付金の対象となっていますので、学費の支援を受けることも可能です。

参考:公益社団法人日本測量協会

仕事と学業を両立させやすい

大学や専門学校に通うルートは、履修科目などの条件を満たしさえすれば無試験で資格が得られるため、確実性という点からみると魅力的です。

しかし、これから進路選択を控えている学生はまだしも、すでに働いている社会人にとっては、忙しい仕事の合間を縫って学校に通うハードルは高いでしょう。

それと比べると、独学で国家試験合格を目指すほうが、はるかに現実的かもしれません。

独学であれば、上述のとおり勉強ペースは自分次第ですし、時間も場所も自由ですから、出勤前や帰宅後に自宅で勉強することもできますし、通勤中の車内や昼の休憩中にカフェで勉強することもできます。

忙しい社会人だからこそ、隙間時間を有効利用することで、集中力をもって勉強に打ち込むこともできるでしょう。

独学のデメリット

市販のテキストが少ない

国土地理院の統計によれば、新規に測量士資格を登録する人のうち、指定された学校を卒業するなどして無試験で資格を取得した人が実に約9割を占めています。

測量士試験合格者は毎年300人前後おり、近年はやや増加傾向にあるものの、それでも測量士試験ルートを選ぶ人は、測量士全体からみれば明らかにマイノリティです。

このため、測量士試験の対策問題集や参考書、過去問題集など、市販のテキストがきわめて少ない点が、独学で試験に挑む場合の大きなデメリットとなります。

独学者の多くは、試験の過去問と、「公共測量作業規定」、通称作業規定と呼ばれる専門書を使って勉強に励むようです。

また、民間の予備校や通信教育などでも、測量士試験の対策コースはほぼなく、現状は上述した公益社団法人日本測量協会の通信講座一択となっています。

なお、下位資格にあたる「測量士補」については、土地家屋調査士を目指す人が試験の一部免除を受けるために取得するケースが多いため、数多くの講座が開講されてはいるものの、難易度の違いもあってあまり参考にはなりません。

数学力が身につきにくい

測量士試験では、法律や測量技術などの知識を問う問題に加え、高度な計算問題も出題されます。

測量の根幹となる三角関数をはじめ、ベクトルや行列など、高校卒業レベルの数学力が必要になりますが、これらは単なる丸暗記とは異なり、理論や解き方を身につけないといけません。

とくに文系出身者については、高校の授業で習っていない範囲まで出題されるため、測量士試験対策の前に、まず数学を基礎から勉強し直さないといけないでしょう。

さらに、勉強しようにも、専用の参考書などがほとんどないという問題もあります。

個人の得手不得手にもよりますが、数学問題については、独学での対策は非常に困難といえるでしょう。

モチベーションを保ちにくい

測量士試験の合格率の低さを考えれば、試験に一発合格できる可能性はかなり低く、何年も続けて受験しないといけないケースも十分に想定されます。

しかし、独学で挑む場合は、周囲には教師もいませんし、同じ道を志す同級生もいません。

たとえ勉強しなかったとしても、誰かに怒られるわけでもないため、モチベーションを保ちにくいという点がデメリットといえます。

どんなに精神的にタフな人でも、何度も不合格を繰り返すうちに気持ちが萎えてしまうことはあるでしょう。

結果的に時間をムダにしないためにも、最初の時点できちんとした計画を立てたうえで、試験勉強に臨むべきです。

どうしても難しいと感じるけれども、学校に通うこともしたくない、あくまで独学にこだわりたいという場合は、大きく難易度が落ちる測量士補のほうを目指してみるとよいかもしれません。