消防士になったきっかけ(体験談)

幼い頃の記憶

私がまだ幼かったころ、年に1回ほどだったと思いますが、おもちゃのプレゼントをもって遊びにやってくる叔父さんがいました。

そのおもちゃは、赤い消防車だったり、白と黒のパトカーだったりしました。もちろんその当時の私は、何もわからずにただ喜んで遊んでいるばかりでしたが、かなり後になってから、その叔父さんが消防士だったことを知りました。

そしてもうひとつ、これは偶然なのですが、我が家の前には消防署と警察署が並んで建っていて、小さいときから消防車や救急車、パトカーを身近に目にしていたのです。

これらの経験は、私が消防士になったきっかけになっていると思います。

高校進学前に消防士になることを決意

自分の進路が決定的になったのは、小学校6年のころ。テレビ番組で、火事の現場から人を救い出す消防士の姿を見て、感動したことでした。

それ以上に深い理由などはありませんでしたが、あんなにスゴイ仕事をしているのに「全員が無事に助かって良かったです」と淡々と語る消防士たちの姿は非常に格好よく、また大人に見えました。

それからは、家の前が消防署ということもあって、学校の帰りなどによく立ち寄っては消防署員の方々に話を聞いたり、消防車を見せてもらったりしていました。

こんなに身近に自分が憧れている人たちや車があって、毎日わくわくしながら過ごしていたのを覚えています。

中学を卒業して高校に進学するころには、消防士になろうと強く決めていました。自分も人助けをしたいと思ったこと、また消防車に乗ってサイレンを鳴らしながら現場に急行する自分を重ね合わせると、いつでも胸が熱くなりました。

消防士になってみて

現在は関東のある県の消防署に勤務し、4年目を迎えています。小さなころのイメージとは違う感覚もたくさんあり、日々の苦労や人命を助けなければならないという重圧もかなりのものです。

訓練そのものは嫌いではありませんが、現場に出向いて消火活動にあたるときのプレッシャーや緊張感には、いまだに馴れることができません。

上司は、「それぐらいが丁度いい、人間、馴れがいちばん怖い」といいますが、一瞬の判断や身のこなしが命取りとなる現場です。

首尾一徹、自分が思い描くような完璧な消火活動ができるようになることを目標に日々闘っています。