女性の精神保健福祉士のキャリアパス・結婚後の生活
女性の精神保健福祉士の現状
精神保健福祉士の男女比は、およそ男性4割に対して女性が6割程度です。
精神保健福祉士の業務はデスクワークが主体であり、力仕事はほぼないため、性別は関係なく働くことができますし、性別がキャリアに影響することもありません。
さらに、精神保健福祉士の職場のなかには、行政機関をはじめとして公共の施設が多く、そうした職場では政府が主導する「働き方改革」によって、残業規制や各種有給休暇の取得が奨励されています。
このため、どうしても家事や育児などの負担が重くなりやすい女性であっても、精神保健福祉士は無理なく続けやすい仕事といえるでしょう。
そうした政策の影響もあって、近年の国家試験合格者は女性比率が7割近くに上っており、今後、ますます女性の精神保健福祉士割合が高まっていくことが想定されます。
女性の精神保健福祉士の強み・弱み
精神障がいという、つらく困難な問題を抱える人やその家族に接する際には、通常以上にコミュニケーションに細心の注意を払うことが求められます。
このため、精神保健福祉士としての業務を行ううえでは、女性ならではのきめ細かな心遣いや優しさが非常に役に立つといえます。
女性らしい温かみある対応が、精神障がい者に心を開いてもらうきっかけになることも少なくないでしょう。
また、結婚や出産、育児などのライフイベントを契機として、うつ病などの精神疾患を発生する女性も見受けられますが、そうした悩みは同性である女性のほうが共感しやすく、解決策も見出しやすいでしょう。
一方、女性の精神保健福祉士の弱みとしては、短期入所施設(ショートステイ)やグループホームなど、宿泊形式で障がい者を受け入れている職場で働きづらいということが挙げられます。
そうした職場は、夜勤を含む不規則なシフト制の勤務となるため、体力的な負担は重くなりますし、育児などとの両立も非常に厳しくなるでしょう。
結婚後の働き方
精神保健福祉士は、結婚してもそのまま仕事を続けるという人が大半を占め、離職者のなかで結婚を退職理由とする人は全体の1割未満です。
勤め先によって多少の差はあるものの、精神保健福祉士の残業時間は総じて少なめであり、とくに開業時間が定まっている公共の施設では、ほぼ毎日定時で帰宅できるというケースも珍しくありません。
このため、ほかの職業と比べると、精神保健福祉士は仕事と家庭生活を両立させやすい職業といえます。
さらに、働き方改革の影響もあって、どこの職場でも結婚後も継続的に働きやすい環境づくりが推進されているため、今後、結婚を契機に辞める人の数はより少なくなっていくでしょう。
ただし、それでも、朝から夕方までフルタイムで仕事をこなし、帰宅してから料理や洗濯、掃除などをこなすのは大変ですし、また業務から受ける精神的ストレスも決して小さくはありません。
仕事に対する配偶者の理解や、ある程度の家事の分担は必要不可欠といえるでしょう。
精神保健福祉士は子育てしながら働ける?
精神保健福祉士の職場は、女性スタッフのほうが多いところも珍しくないため、子育てに対して協力的なケースが目立ちます。
このため、出産休暇や育児休暇といった制度も取得しやすく、休暇中は代替職員を非常勤で採用するなどして、ほかのスタッフの負担が重くならないよう配慮がなされています。
ある程度規模の大きな病院では、建物のなかに職員専用の保育園が併設されているところもあります。
また、育児のためにどうしてもいったん辞めざるを得なくなったとしても、精神保健福祉士の職場はさまざまな分野に豊富にあるため、国家資格さえあれば、再就職先を見つけることはさほど難しくはないでしょう。
子育てを優先した結果、長期間のブランクが空いてしまっても、パートなどの短時間勤務から徐々に再開すればムリなく復職することができます。
精神保健福祉士は女性が一生働ける仕事?
精神障がい者やその家族に対して有用性の高いアドバイスを行うためには、一人の生活者としての視点を持って、それぞれの患者さんと深く関わっていくことが大切です。
このため、主婦としての経験や、育児を行った母親としての経験が、精神保健福祉士の業務に役に立つケースも数多くあり、年齢を重ねれば重ねるほど、相談業務の深みも増していくでしょう。
政府も、そうした人生経験豊かな精神保健福祉士の活躍を期待して、ライフイベントの多い女性であっても、キャリアを中断せず働き続けられる環境づくりに注力しています。
精神保健福祉士は、女性としての経験をそのまま業務に生かせる仕事であり、大きなやりがいと社会的意義をもって、一生取組み続けられる職業といえるでしょう。