作業療法士の求人状況・就職先選びのポイント

作業療法士の就職先にはどんなところがある?

作業療法士の就職先としては、下記のような場所が挙げられます。

<医療施設>
病院やクリニックなどの医療施設では、およそ7割の作業療法士が働いています。

脳梗塞の後遺症による四肢の麻痺など、身体障がいを扱う病院で働く人が最も多いです。

また、認知症や統合失調症といった精神障がいを扱う精神病院や、発達障がいを扱う小児病院で働く人もいます。

<介護施設>
作業療法士は、介護老人保健施設や老人ホームといった入所型施設や、デイサービスセンターや訪問介護ステーションといった通所・訪問施設などでも活躍できます。

<その他>
・障がい者支援施設や保健センターといった福祉関係の施設に勤務
・特別支援学校や職場訓練校といった教育関係施設に勤務
・市役所などで福祉行政に携わる
・大学や専門学校などで教鞭をとる

作業療法士の勤務先の種類・活躍の場

作業療法士の求人の状況

作業療法士は、国の方針によって各地に養成校が相次いで建設されたため、資格保有者が年間4000人~5000人前後というかなりのハイペースで増加し続けています。

これにより、厚生労働省の推計によれば、必要な人員数はほぼ充足したとされており、作業療法士の求人状況は徐々に厳しくなりつつあります。

しかし、需給状況は施設によってかなりばらつきがあるのが実情です。

病院などの医療施設は人気が高く、採用倍率が高いところも散見される一方、介護施設の多くはまだまだ人員が不足しています。

今後についても、日本がこれから超高齢化社会を迎えることを勘案すれば、介護業界からの求人数は伸び続けると想定されますので、少なくとも作業療法士が就職先に困ることは当面ないでしょう。

ただ、このままのペースで資格保有者が増加し続けると、2040年には供給数が需要数の約1.5倍に達する見通しで、将来的に人余りとなる不安は払しょくできません。

参考:厚生労働省 理学療法士・作業療法士の需給推計について

作業療法士の就職先の選び方

どの領域を手掛けたいかで選ぶ

作業療法士には多様な就職先がありますが、その活躍の場を患者がもつ障がい領域で分けると、「身体障がい」「精神障がい」「発達障がい」「老年期障がい」の4領域があります。

それぞれの領域によって、担当する患者の種類や訓練プログラムの内容、リハビリの目的、職場の雰囲気などは大きく異なります。

就職先を選ぶ際は、まず4領域のなかのどれを専門とするかを考えたうえで、個々の領域に属する施設を個別に検討していくとよいでしょう。

たとえば子どもの患者が多くいる環境で働きたいなら、発達障がいを扱う児童発達支援センターや小児病院、特別支援学校などが就職先の候補となります。

もちろん、障がい領域によって職場を分類することは、あくまでひとつの考え方にすぎず、それに囚われる必要はまったくありません。

あえて領域の異なる職場を転々とすることで、多様な患者に対応できる知識とスキルを身につけて独自のフィールドで活躍する作業療法士もいますので、どのようなキャリアを歩むかは自分次第です。

自由度の高さで選ぶ

作業療法士の仕事の大きな特徴のひとつに「自由度の高さ」があり、リハビリプログラムにどのような作業を取り入れるかは、大部分が各人の裁量に委ねられています。

しかし、実際の自由度は職場によってかなり差があります。

一概にはいえませんが、大規模な病院など数多くの作業療法士が働いている施設ほど、すでにある程度訓練内容がマニュアル化されており、あまり自由が与えられていないケースが目立ちます。

一方、作業療法士の雇用人数が少ない職場では、まだどんなリハビリを行うかは手探りの状態であり、新しいことにチャレンジできるケースが多いようです。

ただ、ある程度マニュアル化されているほうが、戸惑いなくスムーズにリハビリを行えるというメリットもありますので、むしろ自由度が低い職場のほうが望ましいという人もいるでしょう。

職場を選ぶ際に、自由度の高い・低いという視点から比較してみることも有効かもしれません。

将来性で選ぶ

これから日本が超高齢化社会を迎えるにあたり、最も作業療法士の活躍が期待されているのが高齢者の健康寿命を伸ばす「予防期」リハビリの分野です。

高齢者が増え続ける一方で、それを支える現役世代は少子化によって減り続けており、近い将来、社会保障費の財源が枯渇することが懸念されています。

このため、作業療法士が、まだ元気なうちから高齢者に対して作業療法を行い、できる限り長く自立して生活できるようにすることで、医療費や介護費の抑制を図ることが非常に重要視されています。

現状、就職先としての人気は医療施設に集中していますが、将来性という観点からみれば、介護施設は非常に有望といえるでしょう。

近年は、作業療法士の資格保有者数が急増しているため、中長期的には人余りとなる可能性もありますが、老年期障がいに関する専門スキルがあれば環境が悪化しても安定的に働けると考えられます。

作業療法士の志望動機・面接

作業療法士を目指す動機としては、「困っている人を助けたい」「人の役に立ちたい」といった理由が目立ちます。

もちろんそうした動機は決して間違いではありませんが、それだけだと、同じ医療職である看護師などでも構わないということになってしまいますので、採用面接における志望動機としては不十分です。

まして、作業療法士の場合、理学療法士という同じリハビリ専門職もありますので、そうしたほかの医療職の存在を意識しつつ、「作業療法士でなければならない」という必然性のある内容にすべきです。

自身の過去の実体験に基づいたり、作業療法士の職業特性に着目して、説得力のある志望動機を自分なりに練り上げましょう。

面接においても、聞こえのよい飾られた言葉で回答するより、多少拙いとしても、自身の頭で考えた意見を素直に回答したほうが、面接官からの評価を得やすいでしょう。

作業療法士の志望動機と例文・面接で気をつけるべきことは?

就職先はどのように探したらいい?

新卒の作業療法士の就職先は、通っている養成校のサポートで決まるケースが一般的です。

ある程度の規模の養成校では、施設の採用担当者が集まる就職説明会が開催され、各施設の特徴や雇用条件などを紹介してくれます。

また、養成校の就職課にも、さまざまな施設からの求人票が届きますので、それらを比較検討しながら希望の就職先を絞り込んでいきましょう。

あわせて、気になった施設があれば、随時見学などを行って職場の雰囲気などの情報収集をします。

志望が固まったら、各施設の採用面接に臨み、合格すれば内定が得られます。

もちろん、養成校に頼ることなく、インターネットの求人サイトやハローワークなどを利用して、自力で就職先を探すこともできます。

なお、作業療法士の就職先はかなり幅広くあるため、もしも進路に迷うなら、作業療法士の資格保有者専門の求人サイトを利用してみるとよいかもしれません。