音楽療法にはどんな効果がある?

音楽療法とは? どんな効果が期待できる?

音楽療法とは、音楽を活用することで、心身に何かしらの悩みや不安を抱える人や、発達の遅れなどの理由によって他人と上手にコミュニケーションがとれない人などのサポートとケアを行うアプローチ方法のことをいいます。

音楽にはストレスの解放や、精神的な緊張を解きほぐすなどの効果があるとされています。

音楽療法では、この音楽が持つ効果を専門的な観点から分析し、患者さんの状態に合ったプログラムを作り、実践することで、患者さんの状態をより良い方向へと近付けることを目的とします。

具体的には、健康の維持、心身の障害の機能回復、生活の質の向上、問題行動の改善などの効果が期待できるといわれています。

なお、音楽療法はあくまで補助的な治療に用いられるもので、医師が行うような「病気を治す」「けがを治す」といった直接的な効果は見込めません。

心身の両面にアプローチできる

運動効果への期待も

音楽療法では、おもに心の問題を抱える患者さんに対する精神的なケアを目的としていますが、一方で体に対するアプローチ、運動効果も期待できます。

たとえば、ふさぎ込みがちでリハビリをしない患者さんが、好きな歌を一緒に歌ったり、太鼓をたたいたりして汗をかくことを通じて、人と積極的にコミュニケーションをとるようになったり、前向きになれるといった事例があります。

詳しくは後述しますが、クラシック音楽などを聞かせて心身の状態を良くする「受動的音楽療法」に対し、こうした音楽療法の運動効果は「能動的音楽療法」と呼ばれます。

また、歌を歌えば肺活量の増進や記憶力の向上にも役立つとされており、音楽によって体が元気になることもあります。

心身の状態は密接にかかわりあっている

音楽療法を考えるうえで欠かせないものとして、「心身相関」と呼ばれる言葉があります。

これは、心の状態と体の状態は密接にかかわりあっているといった意味です。

たとえば、緊張しているときに額に汗をかいたり、体がこわばったりして、思い通りの動きができなくなるといった経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。

精神的なプレッシャーが、体の緊張状態を強めているのです。

そんなときに、身体がリラックスするような音楽を聞くと、自然と緊張がほぐれる可能性があります。

一時期、「ヒーリング音楽」がブームになりましたが、これも音楽を通じて心をリラックスさせるといった効果があるとされています。

また、夜眠る前にきれいなメロディーのクラシック音楽などを聞くと眠りやすくなることも、心身相関の一部です。

普段、私たちが何気なく耳にする音楽には、人の心身の状態を変え得る力があるのです。

音楽療法の実践方法は?

音楽療法には、大きく分けて「能動的音楽療法」と「受動的音楽療法」の2種類があります。

能動的音楽療法

「能動的音楽療法」は、患者と一緒に歌を歌う、楽器を演奏する、簡単な曲を作る、リズムに乗って踊るなど、患者が自発的に行う音楽療法のことをいいます。

歌や楽器が苦手でも、音を出すことによってストレスの軽減や気分転換促す効果があります。

また、患者同士で合唱をしたり、役割分担をして楽器の演奏をしたりすることで、患者の仲間意識や社会性を高める効果もあります。

皆でカラオケ大会をするのも、立派な能動的音楽療法です。

音楽を楽しみながら、心の状態を安定的に導いていく効果が期待できます。

受動的音楽療法

「受動的音楽療法」では、リラックス効果のある音楽などを患者に聴かせることで、心身ともにリラックスしたり、ストレスを軽減させたりする効果が見込まれます。

クラシック音楽や歌謡曲、患者の好きな曲などを使って、患者の精神的なケアを行うことができます。

能動的音楽療法とは異なり、「聴く」ことに重きが置かれた療法となっています。

音楽療法の使い分け

能動的音楽療法と受動的音楽療法の2種類を上手に使い分けることで、音楽療法士は患者のケアを行います。

音楽療法では、そのときの患者の気分や感情と同質の音楽に触れるほうが、より治療的効果が得られやすいといわれています。

また、患者が歌ったり演奏をしたりするのが難しい状態の際には受動的音楽療法を取り入れるなど、音楽療法士は日々変化する患者の心の状態をしっかりと見極め、適切な音楽療法をする必要があります。

こうしたことから、この仕事では洞察力、そして音楽療法に関する高度な知識が必要になります。