音楽療法士の働き方の種類・雇用形態
音楽療法士の働き方・雇用形態
音楽療法は、もともとアメリカで生まれ、発展してきたものです。
日本では、音楽療法の効果や重要性が近年ようやく認識され始めてきたことや、音楽療法士がまだ国家資格化されていないことなどから、この仕事が職業としてしっかりと確立されているとは言い難い面があります。
こうしたことから、現在の日本において、音楽療法士を専業にして働く人はさほど多くないのが実情です。
ボランティアで音楽療法の知識・技術を生かして活動する人もいます。
ただし、最近では心の問題や悩みなどを抱える人に対して、積極的に音楽療法を取り入れるケースも増えつつあり、病院や養護施設、高齢者施設、学校など、医療・福祉・教育の現場を中心に実践されています。
そして、これらの場で働く人たちが、看護、介護、理学療法や作業療法等の仕事をする傍ら、必要に応じて音楽療法を取り入れることが一般的となっているようです。
音楽療法士を専業とすることを考えると、正社員や常勤での求人はそこまで多くなく、アルバイト・パートタイムや非常勤として、1日に数時間や単発で働くといった形態でのニーズが比較的多く見られます。
20代で正社員への就職・転職
正社員の音楽療法士
現状、音楽療法士としての就職先は決して多くなく、しばしば音楽療法が行われる高齢者施設などでも、なかなか待遇のよい正社員や常勤での勤務が難しいのが実情です。
介護職員など、別の職に就く人が兼業で音楽療法の知識・技術を生かして働くケースもよく見られます。
たとえば介護施設でピアノなどの楽器を演奏して入所者を楽しませたり、入所者全員でのコーラスや簡単な楽器演奏する指導をしたりと、さまざまな活動をしています。
求人数は多くありませんが、病院をはじめとする医療施設でも音楽療法士が求められています。
大きな病院の病棟では、入院患者さんたちが音楽を楽しめるイベントを企画して実践することもあります。
「作業療法士」や「看護師」などの医療や福祉系資格を持っていれば、より幅広い知識を生かしながら患者さんや入所者の方々と接することができるでしょう。
正社員や常勤であれば、給料は毎月安定した金額がもらえますし、資格を持っていることで資格手当が支給される場合もあります。
アルバイト・パートの音楽療法士
先にも述べた通り、現状ではフルタイムで働く音楽療法士としての求人はあまり多くなく、アルバイトやボランティアとして音楽療法ができる人を募集するケースが目立ちます。
音楽療法は、障害を抱える人や高齢者、あるいは健常者まで、あらゆる人に対して行うことができます。
社会の中で音楽療法のニーズがまったくないわけではありませんので、正社員や常勤での雇用形態にこだわらなければ、アルバイトなどの形で勤務先を見つけることは可能でしょう。
ただし、いくらアルバイトとはいっても、音楽療法を実践するためには正しい専門知識と技術が求められてきます。
専門学校や大学などで音楽療法について学ぶほか、民間のスクールや通信講座などで音楽療法の民間資格取得を目指して勉強してもよいでしょう。
実際、音楽療法士のアルバイトの求人では、一定期間の実務経験や「認定音楽療法士」などの有資格者であることが採用条件となる場合もあります。
20代で正社員への就職・転職
フリーランスの音楽療法士
音楽療法士は、フリーランスとして活動することも可能性として十分に考えられます。
フリーランスになると、福祉関連の施設や病院などから依頼を受け、さまざまな場で音楽療法ができるようになります。
ただし、仕事は自分で探さなくてはならず、とくに経験や実績がない駆け出しの時代は苦労するでしょう。
また、給料は雇われている人のように毎月決まった額がもらえるわけではなく、基本的にはクライアントとの交渉の中で単価を決めていくことになります。
専門知識・技術を身につけて自信をつけていけば、少しずつ単価を上げていきやすくなりますが、軌道に乗るまでは別のアルバイトなどと掛け持ちで働く人も多いようです。
日々、自主的に専門書を読んで勉強をしたり、業界内のセミナーなどにも積極的に参加しながら人脈作りに取り組んだりして、自身のレベルアップのために頑張り続けられるような人が、フリーランスには向いているといえます。
副業・兼業の音楽療法士
明確な数字はわかりかねますが、現段階では副業や、兼業の音楽療法士として働く人のほうが、ずっと多いといえるかもしれません。
現在のところ、音楽療法士に国家資格はありません。
しかしながら、音楽療法は専門性の高い内容であるため、それを実践するには、どのような働き方であっても、人間の心身の障害や機能と、音楽のもつはたらきの関連性などに関するきちんとした知識・技術を持っておく必要があります。
そして、音楽療法士の認定資格を取得しておくことで、医療や福祉業界における就職や転職の際のアピールポイントになることがあります。
これから音楽療法士の重要性がさらに社会で認識されることで、音楽療法士の資格所持者を積極的に採用する施設が増えていくことも考えられます。
今はまだ、音楽療法士一本で生計を立てていくのは困難だと言わざるを得ませんが、副業や兼業でも音楽療法を極めていくことで、いつか大きく活躍できるチャンスを掴めるかもしれません。