マーチャンダイザーはきつい? つらいこと・大変なことを解説

マーチャンダイザー(MD)は、売上を左右するやりがいある仕事ですが、同時に大きなプレッシャーや責任を伴います。

「数字に追われる毎日がきつい」「繁忙期の忙しさに耐えられるか不安」と感じる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、MDのリアルなつらさ・大変さと、それを乗り越える方法を解説します。

この記事のポイント💡
  • 数字のプレッシャー・責任の重さが最大の大変さ
  • 繁忙期は残業・土日出勤も増える業務量の多さ
  • 部署間の調整に追われ、板挟みになることも
  • メンタルケアとスキルアップで乗り越えられる
  • つらさを上回るやりがいと成長実感がある

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マーチャンダイザーの5つの大変なこと

マーチャンダイザーの仕事には、他の職種にはない独特の大変さがあります。

売上や在庫といった数字に直結する責任、幅広い業務範囲、多部署との調整など、精神的にも体力的にも負担の大きい瞬間が少なくありません。

ここでは、MDが日々向き合っている5つの大変なことを詳しく見ていきましょう。

【大変①】数字に追われるプレッシャー

MDにとって最も大きなストレス要因は、常に数字と向き合わなければならない点です。

売上目標、在庫数、利益率、値引き率など、あらゆる数字を意識しながら仕事を進める必要があります。

マーチャンダイザーの仕事のほとんどは計画を立てて実行するものです。

綿密にデータを分析して計画を立てても、実際に計画通りに物事が運ぶことはめったにありません。

日々、さまざまな要因による計画の見直しが求められ、そのたびに自ら判断を下さなくてはならないことは、とても大変です。

自分の仕事の結果は売上といった数字に表れてくるため、常にプレッシャーとの戦いがあります。

アパレル業界向けの求人サイトの口コミでも、「市場調査のデータや数値をもとに販売計画・生産計画を立てるため、常に数字を意識して働く必要があり、ストレスを感じやすい」という声があります。

特に重要な仕事をこなしている時期は、気が休まらない日々を送ることもあるでしょう。

【大変②】責任の重さ・失敗した時の精神的負担

マーチャンダイザーの使命は、「売れる商品」を考え、世の中に出すことです。

ブランドや企業の売上を左右する仕事であり、商品がそのままブランドのイメージにもつながってくるため、その責任の重さは計り知れません。

どんなに魅力的なデザインの商品も、ビジネスである以上、最終的に売れなければ成功とはいえません。

発注ミスや在庫過多が会社の利益・在庫廃棄に直結するため、精神的な負担が大きいというのがMDの本音です。

売れなかったときは真っ先に原因を問われ、「なぜ売れなかったのか」「何が間違っていたのか」を分析しなければなりません。

世の中のニーズを敏感に汲み取りつつ多様な知識を駆使して、消費者たちからは見えないところで試行錯誤の日々を送ることになります。

現場の声:失敗のプレッシャーから学んだこと

あるアパレル企業でMDとして働いていた方は、売上目標未達が続き、メンタルダウンを経験しました。

「在庫が全く動かない日が続くと、自分の判断が間違っていたのではないかと自信を失った」と振り返ります。

しかし、データ分析を見直し、店舗スタッフとのコミュニケーションを密にすることで徐々に回復。

「失敗から学び、次に活かすことで成長できた」と語っています。

出典:JBpress|メンタルダウンから復活、元アパレルマーチャンダイザーがついに「手触りのある実感」を得られた仕事とは

【大変③】仕事量の多さ・長時間労働

マーチャンダイザーの業務範囲は非常に広く、商品企画からデータ分析、会議への出席、資料作成、店舗視察まで、一日中PCに向かっていることも珍しくありません。

日常業務としても商品企画、コーディネート、販売促進など幅広いことに携わっていますし、何もないところから生み出していくというのは苦労の方がずっと多いです。

厚生労働省の統計では、2024年の一般労働者の月間総実労働時間は162.3時間とされています。

マーチャンダイザーも含め、実際の労働時間は企業や時期によって大きく異なりますが、繁忙期は残業・土日対応が増えるケースもあります。

展示会前やシーズン立ち上がり前などは、深夜まで資料作成に追われたり、土日も出勤したりすることがあります。

納期や修正対応に追われて、経験の浅いうちは仕事をこなすだけで精一杯という声も多く聞かれます。

💡 MDの繁忙期はいつ?

マーチャンダイザーの繁忙期は、主に展示会シーズンやシーズン立ち上げ前などに集中しやすいです。

この時期は各ブランドが次のシーズンの商品を発表し、発注を確定させるため、MD業務が集中します。

企画書作成、サンプルチェック、展示会への参加、取引先との商談など、業務が重なり残業・土日出勤も増えがちです。

ただし近年は働き方改革の影響で、残業時間の上限設定やリモートワーク導入により、改善傾向にある企業も増えています。

【大変④】部署間の板挟み・調整の難しさ

MDには、多くのスタッフを束ねるリーダーシップも必要とされます。

商品の企画・開発過程では、デザイナーやパタンナー、営業と連携をとりながら仕事を進めていく機会が多々ありますし、商品が完成してからは販売員に直接ディスプレイなどに関する指示を出すこともあります。

デザイナーは「こだわりのあるデザインを作りたい」と考え、生産部門は「コストを抑えたい」と主張し、営業は「売れる商品が欲しい」と要求します。
店舗スタッフからは「もっと売りやすい商品を」という声が上がることもあるでしょう。

それぞれの意見が異なる中で、全員を納得させる調整力が必要とされ、時には板挟みになることもあります。

社内の多様なスタッフをまとめ上げていくためには、信頼が最も大切です。

膨大な業務に追われる中でも自分の仕事で精一杯になるだけではなく、他の人の動きや置かれている状況、考え方まで理解しようとする視野の広さ、そして知識や経験に加えて人間性も求められることは、この仕事ならではの大変な一面です。

【大変⑤】トレンドについていく勉強の大変さ

ファッション業界のトレンドは目まぐるしく変化します。

MDは常に最新情報をキャッチアップし、消費者のニーズを先読みする必要があります。

「トレンドに乗り遅れないよう勉強が大変」という声は、多くのMD経験者から聞かれます。

展示会やショップ巡り、ファッション誌・SNSのチェック、マーケットリサーチなど、業務時間外でも情報収集を怠れません。

さらに、ファッショントレンドだけでなく、データ分析ツールの使い方やマーケティング手法、サステナビリティなど、学ぶべきことは多岐にわたります。

常に勉強し続ける姿勢がなければ、業界の変化についていけなくなってしまいます。

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つらいと感じる具体的な瞬間

数字のプレッシャーや業務量の多さに加えて、MDが「本当につらい」と感じる具体的な瞬間があります。

ここでは、現役MDや経験者が語るリアルな苦労の瞬間を紹介します。

売上目標未達が続く時

自分が企画した商品が売れない、数字が目標に届かないという状況は、MDにとって最もつらい瞬間の一つです。

「これは売れる」と自信を持って企画した商品が思うように売れなかったとき、自信喪失や次の企画への不安が押し寄せます。

売上不振が続くと、上司や経営陣から原因追及され、改善策を求められます。
「自分の判断が間違っていたのか」「市場を読み違えたのか」と自問自答し、精神的に追い詰められることもあるでしょう。

在庫過剰で値引きロスが出た時

発注ミスや需要予測の失敗により在庫が過剰になると、値引き販売やセール対応を余儀なくされます。

在庫過剰・値引きロスはMDの責任
とされるため、会社の利益を直接損なう結果となり、大きなプレッシャーを感じます。

アパレル業界全体では「在庫過剰が当たり前」「プロパー(定価)で売り切れない」「値引き前提の売り方」といった構造的な問題も指摘されています。

MDはその在庫リスクの最前線にいるため、常に緊張感を持って在庫管理を行わなければなりません。

繁忙期で体力的・精神的に限界の時

展示会シーズンやシーズン立ち上げ前は、MDにとって最も忙しい時期です。

企画書作成、サンプルチェック、展示会への参加、商談、発注作業など、業務が集中し、深夜まで資料作成に追われることも少なくありません。

土日も出勤し、プライベートの時間がほとんど取れない状態が続くと、体力的・精神的に限界を感じることがあります。

「朝から夜までずっと打ち合わせでヘトヘト」というのは、繁忙期のMDによく見られる状況です。

企画が通らない・理解されない時

自分のアイデアが却下される、周囲と意見が合わないという状況も、MDにとってつらい瞬間です。

「このデザインは今シーズンのトレンドに合う」と提案しても、上司や経営陣に理解されず却下されることがあります。

説得力不足やプレゼン能力の壁を感じ、「もっと伝え方を工夫すべきだった」と後悔することもあるでしょう。
企画の採用・不採用は、MDとしての評価にも直結するため、大きなストレスとなります。

つらいことを乗り越える方法

MDの仕事は確かに大変ですが、適切な対処法を知ることで乗り越えられます。

ここでは、つらさを軽減し、長くMDとして活躍するための5つの方法を紹介します。

【対処法①】数字との向き合い方を変える

数字を「敵」ではなく「味方」として捉えることが大切です。

売上データや在庫データは、失敗の原因を教えてくれる貴重な情報源です。

失敗を分析し、「なぜ売れなかったのか」「どの層に響かなかったのか」を明確にすることで、次の企画に活かせます。

小さな成功体験を積み重ねることで、徐々に自信がついてきます。

数字に追われるのではなく、数字から学ぶ姿勢を持つことで、プレッシャーをポジティブなモチベーションに変えられるでしょう。

【対処法②】メンタルケアを大切にする

精神的な負担を軽減するためには、ストレス発散方法を持ち、休息を取ることが重要です。

趣味に没頭する、運動で体を動かす、友人との交流で気分転換する、といった方法が効果的です。

もし精神的につらい状態が続く場合は、専門家のカウンセリングを利用することも選択肢の一つです。

メンタルヘルスを軽視せず、早めに対処することが大切です。

現場の声:メンタルダウンから復活した経験

元アパレルMDとして働いていたある方は、売上不振によるプレッシャーからメンタルダウンを経験しました。

「自分の判断が間違っていたのではないか」と自信を失い、仕事に行くのがつらくなったといいます。

しかし、休息を取り、趣味の時間を大切にすることで徐々に回復。

「一人で抱え込まず、周囲に相談することの大切さを学んだ」と語っています。

その後、別の職種に転職し、MD経験を活かしながら新しいキャリアを築いています。

出典:JBpress|メンタルダウンから復活、元アパレルマーチャンダイザーがついに「手触りのある実感」を得られた仕事とは

【対処法③】上司・同僚に相談する

一人で抱え込まず、チームで解決することを心がけましょう。

経験豊富な先輩MDのアドバイスは、問題解決の大きなヒントになります。

「この商品が売れないのはなぜか」「どう改善すればいいか」を上司や同僚と議論することで、新たな視点が得られることもあります。

MDは孤独な仕事ではなく、多くの人と協働する仕事だということを忘れずに、積極的にコミュニケーションを取りましょう。

【対処法④】スキルアップで自信をつける

データ分析力や企画力を磨くことで、仕事への自信がつきます。

セミナーへの参加、オンライン学習、資格取得など、学習の機会は豊富にあります。

例えば、Excelの高度な機能を学ぶことで、データ分析の精度が上がり、予測の正確性が向上します。

マーケティングの最新トレンドを学ぶことで、企画提案の説得力が増すでしょう。

スキルアップは、つらさを乗り越える力になるだけでなく、キャリアアップにもつながります。

【対処法⑤】キャリアの見直し・転職も選択肢

どうしても合わない場合は、転職も視野に入れましょう。

MDスキルは汎用性が高く、他職種・他業界でも活かせます。

MD経験者は、バイヤー、マーケティング、商品企画、コンサルタントなど、さまざまな職種で活躍しています。

また、EC企業やデータ分析企業など、アパレル以外の業界でもMDスキルが求められています。

無理をして体調を崩すより、自分に合った環境を見つけることも大切な選択です。

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「きつい」と感じる理由は人それぞれ

マーチャンダイザーの仕事を「きつい」と感じるかどうかは、その人の適性や価値観によって大きく異なります。

どんな人が特につらさを感じやすいのかを理解しておくことで、自分に向いているかどうかの判断材料になるでしょう。

数字が苦手な人には特にきつい

データ分析が苦手で、数字を見るだけでストレスを感じる人にとって、MDの日々の業務は大きな負担となります。

売上データ、在庫データ、原価計算など、あらゆる場面で数字と向き合わなければならないため、数字への抵抗感が強い人には向かない可能性があります。

逆に、数字を読み解くのが得意で、データから傾向を発見するのが楽しいと感じる人は、MDの適性があるといえるでしょう。

プレッシャーに弱い人には向かない

責任の重さや売上目標のプレッシャーに耐えられない人は、MDの仕事を続けるのが難しいかもしれません。

売上不振や在庫過剰が起これば、真っ先に原因を問われるため、メンタルタフネスが求められます。

ただし、プレッシャーを「成長のチャンス」と捉えられる人や、失敗から学ぶ姿勢がある人は、つらさを乗り越えて成長できるでしょう。

繁忙期の忙しさに耐えられない人も

展示会シーズンやシーズン立ち上げ前の繁忙期は、残業・土日出勤が増えることもあります。

体力的な大変さやワークライフバランスの崩れに耐えられない人にとっては、きついと感じるかもしれません。

ただし、すべてのMDが常に忙しいわけではなく、閑散期は比較的余裕があることも事実です。

また、企業によっては働き方改革が進み、残業時間の上限設定やリモートワーク導入により、改善傾向にあるところもあります。

💡 MDを辞める人の理由

マーチャンダイザーを辞める人の主な理由は、「数字のプレッシャーに耐えられない」「繁忙期の忙しさが限界」「在庫責任の重さ」などが挙げられます。

売上目標未達が続いたり、在庫過剰で会社に損害を与えたりした場合、精神的に追い詰められて退職を考える人もいます。

ただし、アパレル業界全体やMD職の離職率に関する公式データは公表されていないため、具体的な数値は不明です。

一方で、つらさを乗り越えて長くMDとして活躍している人も多く存在します。

それでもMDを続ける理由

つらいことや大変なことも多いマーチャンダイザーですが、それを上回るやりがいや魅力があるからこそ、多くの人がこの仕事を続けています。
ここでは、MDを続ける理由を見ていきましょう。

やりがいが大変さを上回る

つらいこともあるけれど、達成感や成長実感が大きいというのが、多くのMD経験者の本音です。

「大変だけど面白い」という声は、口コミでも多く見られます。

自分が企画した商品が計画以上に売れたとき、店頭で顧客が手に取っている姿を見たとき、チーム全体で売上目標を達成したとき—

こうした瞬間の喜びは、つらさを吹き飛ばすほどの力があります。

成長を実感できる

困難を乗り越えることで、MDとしてのスキルが確実にレベルアップします。

失敗から学び、次の企画に活かすことで、データ分析力や企画提案力が向上します。

部署間の調整で苦労することで、コミュニケーション能力やリーダーシップが磨かれます。

成長を実感できる仕事だからこそ、つらさを乗り越えて続けられるのです。

キャリアの選択肢が広がる

MD経験は貴重で、将来の可能性が大きく広がります。

MDマネージャー、商品本部長、経営層へのキャリアアップはもちろん、バイヤー、マーケティング、コンサルタントなど、関連職種への転職も可能です。

また、EC企業やデータ分析企業など、アパレル以外の業界でもMDスキルは高く評価されます。

独立してフリーランスMDとして活動する道もあり、キャリアの選択肢は豊富です。

MDとして培ったスキルは、どの業界でも通用する汎用性の高いものだといえるでしょう。

まとめ

マーチャンダイザーは数字のプレッシャー、責任の重さ、仕事量の多さなど、大変なことも確かにあります。
しかし、適切な対処法を知り、メンタルケアやスキルアップに取り組むことで、乗り越えることができます。

つらいことを理解した上で、それでもMDに挑戦したいと思えるかどうか。

自分の適性や価値観と照らし合わせて、じっくり考えてみましょう。