VMD(ビジュアルマーチャンダイザー)とMD(マーチャンダイザー)の違いとは?

「VMD」と「MD」。

どちらも「マーチャンダイザー」という名前がつく職種ですが、実は役割が全く異なります。

VMDは店舗の視覚的な演出を担当する「空間デザイナー」、MDは商品戦略全体を統括する「ブランドの舵取り役」です。

本記事では、混同されやすい2つの職種の違いを詳しく解説し、それぞれに求められるスキルや連携方法まで紹介します。

アパレル業界を目指す方、自分に合った職種を見極めたい方は、ぜひ参考にしてください。

この記事のポイント💡
  • VMDは「視覚演出」、MDは「商品戦略」を担当する職種
  • VMDはクリエイティブ志向、MDは数値・分析志向の人に向いている
  • VMDとMDが連携することで売上最大化が実現する
  • VMDは求人年収が350〜450万円台の例が多く、MD・バイヤー職の平均年収は約473万円
  • キャリアパスは異なるが、どちらも将来性のある職種

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VMDとMDの基本的な違い

VMD(Visual Merchandiser)とMD(Merchandiser)は、名称は似ていますが役割は全く異なります。

どちらも「売れる仕組みづくり」に関わる職種ですが、アプローチの方法が違うのです。

VMDとは:視覚演出の専門家

VMDは「Visual Merchandiser(ビジュアルマーチャンダイザー)」の略で、店舗の視覚的な演出を担当する職種です。

ウィンドウディスプレイの企画、店内レイアウトの設計、マネキンへの着せ付け、POP作成など、「見せ方」を通じて顧客の購買意欲を高めます。

VMDの目的は、視覚的に「この店に入ってみたい」「この商品を手に取りたい」と思わせることです。

空間デザイン力、色彩センス、立体構成力といったクリエイティブなスキルが求められます。

MDとは:商品戦略の専門家

MDは「Merchandiser(マーチャンダイザー)」の略で、商品の企画から販売計画まで一貫して統括する職種です。

「何を・どれだけ・いつ・どこで・いくらで売るか」を設計し、ブランド全体の売上・在庫を最適化します。

市場調査、商品企画、生産計画、売上分析など、データに基づいた戦略立案が主な業務です。

データ分析力、企画立案力、数値管理能力といった論理的思考のスキルが求められます。

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仕事内容の詳細比較

VMDとMDの具体的な業務内容を比較してみましょう。

それぞれの職種が担当する範囲と、求められる能力の違いがわかります。

VMDの具体的な仕事

VMDの主な業務は以下の通りです。

  • ウィンドウディスプレイの企画・制作
  • 店内レイアウトの最適化
  • マネキンへの着せ付け・コーディネート提案
  • POP・販促物のデザイン・設置
  • シーズンごとのディスプレイ変更
  • 照明・什器の配置調整

VMDは「VP(ビジュアル・プレゼンテーション)」「PP(ポイント・プレゼンテーション)」「IP(アイテム・プレゼンテーション)」という3つのレベルで店舗演出を行います。

店頭のウィンドウから店内の細かなレイアウトまで、視覚的に訴求力のある空間をデザインします。

勤務は店舗巡回が多く、実際にディスプレイを手で作る実作業も伴います。

MDの具体的な仕事

MDの主な業務は以下の通りです。

  • 市場調査・トレンド分析
  • 商品企画・ライン構成の決定
  • 生産計画・発注管理
  • 価格設定・販売戦略の立案
  • 売上・在庫データの分析
  • 店舗への商品配分・追加生産の判断

MDは本社のデスクワークが中心で、Excel や専用のMDシステムを使ってデータ分析を行います。

デザイナー、バイヤー、営業、生産管理など多部署と連携し、商品が企画から販売まで順調に進むよう調整します。

週に1〜2回は店舗視察に出かけ、売れ行きや顧客の反応を現場で確認することも重要な業務です。

連携ポイント:MDとVMDはチームで動く

MDとVMDは対立する関係ではなく、協力し合うことで売上を最大化します。

MDが「この商品を今季のメイン商品にする」と戦略を決定したら、VMDがその商品を店頭で目立つ位置にディスプレイします。

逆に、VMDが店頭で気づいたお客様の反応や売れ筋商品の傾向を、MDにフィードバックすることもあります。

このように、両者が情報を共有し連携することで、「良い商品」×「魅力的な見せ方」が実現するのです。

現場の声:MDとVMDの連携で売上アップ

国内のアパレル企業では、MDが立てた商品戦略に合わせてVMDがウィンドウディスプレイや店頭演出を工夫することで、来店客数や売上の向上につながるケースが多く見られます。

MDの戦略とVMDの演出がかみ合うと、ブランド全体の成果につながりやすくなります。

MDの具体的な仕事内容や現場での工夫については、以下のようなインタビュー記事も参考になります。

参考:READY TO FASHION MAG | 三陽商会エポカMDインタビュー

求められるスキル・適性の違い

VMDとMDでは、必要なスキルや向いている人の適性が大きく異なります。

自分の得意分野と照らし合わせて、どちらの職種が向いているか考えてみましょう。

VMDに必要なスキル

空間デザイン力
店舗全体のレイアウトや商品配置を、視覚的に美しく機能的に設計する能力が求められます。

色彩感覚
色の組み合わせやトーンのバランスを見極め、ブランドの世界観を表現します。

トレンド感覚
ファッションのトレンドを敏感に察知し、季節やシーズンに合わせた演出ができる感性が必要です。

手先の器用さ
実際にディスプレイを作る作業では、マネキンの着せ付けや小物の配置など、細かな作業が求められます。

体力
店舗を巡回し、立ち仕事でディスプレイを組み立てることも多いため、体力が必要です。

MDに必要なスキル

データ分析力
売上データ、在庫データ、市場データを読み解き、適切な商品戦略を立案する能力が必須です。

企画提案力
魅力的な商品コンセプトを立案し、デザイナーやバイヤーに提案・調整する力が求められます。

数字管理能力
売上目標、原価計算、在庫管理など、数字を正確に扱う能力が不可欠です。

コミュニケーション力
デザイナー、バイヤー、営業、生産管理、店舗など、多部署との調整業務が多いため、高いコミュニケーション能力が必要です。

論理的思考
データに基づいて冷静に判断し、感情ではなくロジックで戦略を組み立てる思考力が求められます。

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年収・キャリアパスの違い

VMDとMDでは、平均年収とキャリアパスにも違いがあります。

将来の収入やキャリアの展望も、職種選択の重要な判断材料です。

VMDの平均年収

VMDの年収水準は、求人情報では年収350〜450万円台の募集が多く見られます。

外資系ブランドやラグジュアリーブランドのVMDでは、年収500〜700万円台とする求人もあります。

経験を積んでVMDマネージャーやVMDディレクターになると、年収600万円以上を目指せるケースもあります。

出典:iDA「VMDの求人・転職情報(年収レンジ)」

MDの平均年収

公的統計をもとにしたMD・バイヤー職全体の平均年収は約473万円です。

令和6年の賃金構造基本統計調査によると、MD・バイヤー職の平均年収は約473万円、平均年齢は42.3歳となっています。

国内中小アパレル企業では400〜500万円が相場ですが、外資系や大手企業のMDでは600〜800万円、マネージャークラスでは1,000万円を超えることもあります。

MDは商品戦略全体を担当する責任範囲が広いため、VMDに比べると年収がやや高めの傾向にあります。

出典:厚生労働省「職業情報提供サイト(jobtag)マーチャンダイザー、バイヤー」(令和6年賃金構造基本統計調査を加工)

キャリアパスの違い

VMDのキャリアパス
販売職→VMDアシスタント→VMD→VMDマネージャー→VMDディレクター

VMDは店舗演出のスペシャリストとして、複数店舗を統括する立場や、クリエイティブディレクターへのキャリアも可能です。

MDのキャリアパス
販売職→MDアシスタント→MD→MDマネージャー→商品本部長→経営層

MDは商品戦略のスペシャリストとして、商品部門のトップや経営層への道が開かれています。

また、EC事業責任者、SaaS企業(在庫管理ツール開発企業)、コンサルタントなど、データ分析スキルを活かした多様なキャリア展開も可能です。

💡 「VMD」と「MD」は海外では呼び方が違う?

実は、海外では「Visual Merchandiser」「Visual Merchandising」「Merchandiser」など、国や企業によって呼び方や担当範囲が異なります。

日本のアパレル業界では、商品戦略を担当する「MD」と視覚演出を担当する「VMD」を分けて呼ぶのが一般的です。

海外のアパレル企業で働く場合は、求人票や職務内容をしっかり確認することが重要です。

出典:PLAY「徹底解説VMDとは(英語圏ではVMと略されるのが一般的)」

VMDとMDどちらを目指すべき?

VMDとMDは、それぞれ異なる適性・志向を持つ人に向いています。

以下のチェックリストで、自分に合った職種を見極めてみましょう。

VMD向きな人

  • 美術・デザインが好き
  • 色やレイアウトのセンスに自信がある
  • 立ち仕事・体を動かす仕事が苦にならない
  • 空間デザインやインテリアに興味がある
  • 実際に手を動かして作り上げる達成感が好き
  • トレンドや流行に敏感

これらに当てはまる方は、VMDの適性があるかもしれません。

VMDは「見せ方」を通じてお客様の心を動かす、クリエイティブな職種です。

MD向きな人

  • 数字・データ分析が好き
  • 計画的に物事を進めたい
  • デスクワークが苦にならない
  • Excel や分析ツールの操作が得意
  • 論理的に考えるのが好き
  • 多くの人と調整する仕事が好き

これらに当てはまる方は、MDの適性があるかもしれません。

MDは数値とロジックで「売れる仕組み」を設計する、戦略的な職種です。

まとめ

VMD(ビジュアルマーチャンダイザー)とMD(マーチャンダイザー)は、名前は似ていますが役割が全く異なります。

VMDは視覚演出の専門家として店舗ディスプレイを担当し、MDは商品戦略の専門家として企画から販売まで統括します。

どちらも「売れる仕組みづくり」に欠かせない職種であり、連携することでブランドの成功に貢献します。

自分の適性を見極め、クリエイティブ志向ならVMD、数値・分析志向ならMDを目指してみてはいかがでしょうか。

アパレル業界には、あなたの得意分野を活かせる多様なキャリアが待っています。

📚 この記事の参考資料・データ出典