海運業界の年収はいくら? 大手海運会社の給料もくわしく解説
一方で、景気の波を受けやすい不安定さも抱えています。
この記事では、海運会社社員の年収について詳しく解説します。
海運会社社員の平均年収・給料の統計データ
海運業界は高収入のチャンスが広がる魅力的な分野です。
平均年収は700万円から800万円程度で、一部の大手海運会社では1,000万円以上となることもあります。
30代で月収50万円を越えることもあり、安定した生活を送ることができるでしょう。
しかし、景気変動の影響を受けやすい側面もあります。
将来を見据えつつ、海運の航路に乗る魅力を感じる方にとって、挑戦する価値がある業界です。
海運会社社員の手取りの平均月収は約25万円
20代後半の海運会社社員の月収が30万円、ボーナスが年間120万円(夏冬各1回)とすると、月収とボーナスを合算した場合年収480万円となります。
毎月の手取り額は約25万円ほどとなるでしょう。
高収入業界である一方、社会保険料や所得税などの控除を考慮すると、手取りは予想以上に減少することに注意が必要です。
海運会社社員の初任給は約21万円~23万円
海運会社の初任給は、大手企業でも約21万円~23万円程度が一般的です(大卒の場合)。
将来的な収入の伸びが期待される業界ですが、入社時の初任給はそれほど高水準とはいえません。
大学院まで卒業している場合、修士卒や博士卒としての採用であれば、初任給に2~3万円程度の加算が見込まれます。
海運会社社員の福利厚生は整っている
海運会社は長い歴史と大規模な規模を持つ老舗企業が多く、福利厚生の制度も充実しています。
社会保険や退職金、財形貯蓄、住宅補助、独身寮など、一般的な福祉制度はほとんどの海運会社で提供されています。
大手企業では、社員持ち株会や社員クラブ、リゾート地にある保養所なども整備されており、社員の働きやすさを重視しています。
また海運業界はグローバルなビジネスを展開しているため、語学研修やMBA留学といった教育制度も設ける会社が多いです。
このように、国際的なビジネススキルを磨くことができる環境が整っています。
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海運会社社員の給料・年収の特徴
景気の変動に左右されやすい
海運会社は高い給料水準である一方で、国内外の景気変動や世界経済の動向に大きく左右されるという特性があります。
景気が好調な時期には、給与もアップすることがありますが、その逆に不景気になってしまうとボーナスの削減やリストラが行われることもあります。
米中貿易摩擦やヨーロッパの政治体制変動など、景気に影響を及ぼす要因は少なくなく、これらの要素が今後の給与に影響を及ぼす可能性もあります。
海運業界は、外部環境の変化によって不安定な面もあることを理解しておきましょう。
年功序列の会社が多い
海運業界においては、古くからの「年功序列」を尊重する企業が多いです。
年功序列では、勤続年数に応じて基本給が上昇するため、長期間の勤務によって給与が安定的に増加しますが、若手社員が成果を上げても昇給が難しい場合もあります。
こうした企業が多い一方で、最近では成果主義に転換する企業の動きも見られます。
近年、とくに外資系海運会社や国際展開を行う企業を中心に、競争激化やグローバルな環境変化に対応するために、成果主義への移行が進んでいます。
成果主義では、個人の業績や能力に応じて報酬が決まるため、成果を上げることで昇進や昇給が実現しやすくなります。
就職先を選ぶ際には、自身の価値観や目標に合った会社を選ぶだけでなく、どのような給与制度かを確認することも重要です。
海運会社社員の勤務先別の給料・年収
大手は安定して高収入を得られる
大手の海運会社が東証1部などに上場している場合、高い給与水準が実現されていることが一般的です。
これらの企業では、平均年収が1000万円に近い水準に達する場合もあり、特に40代から50代にかけての社員にとっては、高額な給与を得ることができる環境が整っています。
ボーナスや退職金、住宅手当などの待遇も充実しており、ボーナス支給額が毎回200万円以上である社員も存在します。
これに加えて、安定した収入を得るための基本給や各種手当が組み合わさり、高収入を維持できるでしょう。
中小の給料は大手企業よりは低め
中小の海運会社は、一般的に大手企業と比べて給与水準が低くなる傾向があります。
平均年収が600万円から700万円の範囲に収まることが多いですが、これはあくまで目安であり、各中小企業によって異なります。
中小の海運会社は多種多様であり、業績や事業分野によって給与水準も違いがあります。
業績が好調で成果を上げている会社や、特定のニッチな分野で競争力を持つ会社は、中小であっても大手企業と同程度の給料が得られることもあります。
一方で、業績が振るわない中小の海運会社や、地方で小規模な海運事業を行う会社は、給与水準が500万円を下回ることもあります。
外資系では成果主義
外資系の海運会社は、欧州や北米に本拠を置きながら、日本国内にも支社やオフィスを持ち、現地採用を行っています。
このような外資系海運会社では、一般的に日本国内の海運会社よりも給与水準が高い傾向があります。
外資系海運会社は成果主義を重視しており、実力ある社員が早期に出世し、高額な給与を得ることが可能です。
競争が激しく、高い専門知識や国際的なビジネススキルを求められることが多いですが、その分報酬も魅力的といえるでしょう。
ただし、その一方で求められる能力の水準も非常に高いために、高い業績や成果を上げることが求められます。
能力や実績のない社員は、減給やリストラなどのリスクを背負う可能性があります。
職種の違いによる差がある
海運会社ではさまざまな職種が存在し、それぞれの職種によって給与の違いが生じることがあります。
船舶の運航やメンテナンス、船舶関連の管理業務を担当する「船舶管理」では、陸上での作業が主であり、船との接触は少ないです。
そのため、年収は一般事務と同程度のことが多いです。
船舶に乗り込んで船舶の運航や船内の業務を担当する「海技士」は、海上での勤務時間が長いため、他の職種に比べて給与が高めです。
航海士や機関士といった上位の資格を取得すると、給与がさらに上昇することがあります。
「海外営業」は、国際的な業務に従事するため、言語力や国際ビジネスの知識が求められます。
成果に応じた歩合給やボーナスなども含まれることがあり、ほかの職種に比べると給与が変動するケースが多いです。
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海運会社社員が所属する代表的な企業の年収
「日本郵船」「商船三井」「川崎汽船」の3社は、「三大海運会社」と呼ばれており、海運業界では特に人気の企業です。
会社名 | 平均年収 | 平均年齢 |
日本郵船 | 934万円 | 39.6歳 |
商船三井 | 1003万円 | 37.2歳 |
川崎汽船 | 788万円 | 38.6歳 |
日本郵船の平均年収
日本郵船は、三菱財閥(三菱グループ)の中核企業にあたります。
平均年収は934万円と高額であり、ボーナスや退職金の水準も良好のようです。
教育制度も充実しており、社員向けのMBA留学制度なども用意しています。
商船三井の平均年収
商船三井は、三井グループと三和グループに属する海運会社です。
平均年収で1000万円を越えており、中には年収1500万円以上を得る社員もいるようです。
なお同社の有価証券報告書によれば、陸上職より海上職の方が平均収入が若干高めです。
川崎汽船の平均年収
川崎汽船は、川崎造船所(現川崎重工業)の船舶部が独立する形で設立された経緯を持ちます。
平均年収は788万円と前述した2社に比べるとやや低くなりますが、あくまで平均であり、社内には年収1000万円以上を得ている社員もいます。
海運会社の正社員以外の給料・年収
派遣社員
派遣社員の求人では、時給1500円から2000円程度の案件が多く見られます。
派遣社員の仕事内容は、貿易事務や港での荷役など、一般的には専門性の高くない業務が中心です。
しかし、派遣社員の求人の中には、正社員が行うような専門性の高い業務やプロジェクトにも関わる案件も存在します。
そのような場合、求人の時給も通常より高くなることがあります。
アルバイト
アルバイトの求人では、時給1200円から1400円程度の案件が多く見られます。
アルバイトの仕事内容は、派遣社員と同様に一般的には専門性の低い業務が主体となり、貿易事務や荷役作業などの仕事が中心です。
ただし、時給は一般的にアルバイトの方が派遣社員よりもやや低めに設定されることが多いです。
また、アルバイトは派遣社員と比べて雇用条件や福利厚生が限られます。
海運会社社員が収入を上げるためには資格を取得する
海運会社においては、年功序列が一般的な給与体系として採用されています。
勤続年数に応じて給料が増えていく仕組みであり、多くの場合、長く勤務していくことで収入も上昇していきます。
20代から30代の社員は、ジョブローテーションを通じてさまざまな部署を経験し、将来的には課長や部長といった管理職を目指すことが一般的です。
管理職としての役職手当なども支給されることで、収入を増やすチャンスがあります。
さらに、航海士や機関士などの海上職においては、資格が給与に影響を与えることがあります。
上位の国家資格である「1級海技士」や「2級海技士」を取得し、船長や機関長といった高位の職位に進むことで、給与水準を向上させることが可能です。
長期的なキャリアプランを考える上では、資格取得や管理職の道を考えることが給与面でも有利に働くでしょう。
海運業界の年収のまとめ
海運会社社員の給与や年収は、高水準である傾向が見られます。
ただし個々の企業や職種によって異なる点もあります。
また、給与が高いということは高い責任を伴い、海技士などの専門職では仕事の難易度も高く、大きな責任を担うことを理解しておきましょう。