介護福祉士養成校で勉強することは? 実習は大変?
介護福祉士専門学校で勉強すること
実践的な内容が多い
介護福祉士専門学校と大学や短期大学の介護コースの大きな違いは、教養科目の多さです。
専門学校では介護の現場で戦力となる人材を育てようと、必然的に就職を意識した学習となり、教養科目よりも実践的な内容が多くなります。
学内では理論や実技の練習を行い、学外では段階を踏んで介護実習を行っていきます。
ロールプレイング
介護の仕事をする上で、介護をされる側の気持ちを考えることはとても重要です。
介護は人間相手の仕事のため、ただ理論を覚えるだけの学習にならないよう、授業では「ロールプレイ」といって介護者と介護をされる側の心理を考える練習をします。
これは実習前に行う大事な介護現場のイメージトレーニングにもなり「もし自分が寝たきりの高齢だったらどんな気持ちで介護を受けるのだろうか」と何度も文章や口頭発表、グループワークなどで確認していきます。
介護実習
介護福祉士専門学校では、介護実習を必ず行うことが義務付けられています。
事前に福祉のボランティアで高齢者や児童、障害者と実際に接することを奨励されているところもあるようです。
実習は、学生が自分で実習先を探す場合と、学校と契約している施設で行う場合があります。
それまでに学校で学んだ知識と技術が問われ、食事介護・入浴介護・体位交換。排泄介護などを実践していきながら、施設が用意した課題を解決したり、学生自身が介護計画を立てたりしながら実習指導者からのアドバイスをもらい、評価を受けます。
介護福祉士専門学校の入学から卒業までの流れ
介護福祉士専門学校の1年間
入学式が終わり、本格的な授業が始まると、将来の就職を視野に入れた実践的な科目を履修していきます。
また学校内での勉強や演習と同時に、福祉施設などの現場で450時間以上の「介護実習」も必ず行われます。
介護実習は卒業までの期間のうち何度かに分けて、バランスよく行われる学校が多いようですが、夏休みなどを利用した短期集中での実習が入ることもあります。
このほか、介護福祉士の履修科目以外にもガイドヘルパーやレクリエーションインストラクターのような研修が課せられている学校もあります。
勉強だけではなく、季節ごとにスポーツ大会や学園祭といった学校独自のイベントを開催する学校も多く、同じ志を持つ仲間との絆を深めることもできます。
卒業が近づくと、日本介護福祉士養成施設協会によって「卒業時共通試験」が行われます。
この試験に合格すると介護福祉士の国家資格が与えられます(ただし、2022年度の卒業生からは養成施設卒業生も国家試験を受けることが義務化される見通しです)。
1年目の専門学校生
高校を卒業してすぐ入学した学生にとって、1年目は幅広い専門教育科目に手いっぱいになるかもしれません。
一年目の大きな目標は最初の介護実習で、学校では実習事前指導が行われます。
最初の介護実習は緊張や不安を抱える人も多くいるようですが、徐々に学校で学んだ知識をどう実践していくか自分なりに掴めるようになるでしょう。
1年目はまず介護福祉士の仕事とは何かということをしっかりと理解していくことが大切で、介護サービスの現場を理解し、介護における基本的な態度を学ぶのが一般的です。
2年目の専門学校生
介護福祉士専門学校の多くは2年制となっています。
2年目になるといよいよ就職を意識した生活となり、学校の勉強やテスト、介護実習で忙しくなるため、就職活動に費やせる時間は限られてきますが、専門学校では就職に力を入れていることが多いため、情報収集や面接指導など、さまざまな面で学校のサポートを受けることができます。
専門学校では就職指導として、面接の模擬練習や就職相談などが行われていますし、介護実習中に評価されれば実習先から内定をもらうこともよくあります。
介護福祉士の業界はまだ人手不足であるため求人は多いものの、福祉・介護の仕事場は多岐に渡ります。
専門学校の卒業生や教員の情報をよく聞いて、自分に合った職場を探すことが大切です。
介護福祉士専門学校での実習
介護実習とは?
介護福祉士の専門学校をはじめとする養成施設では、450時間以上の「介護実習」が義務付けられています。
専門学校ごとに実習の進め方は異なりますが、介護技術の習得、個別ケアの実践、他種職の専門性と役割の理解など、段階を経て学んでいきます。
実習先は各学校が提携する福祉施設が中心となり、老人ホームや老人保健施設、デイサービスなどの社会福祉施設や障害者・児施設で、近年は居宅介護実習も行うことが多くなっています。
介護福祉士の実習の意義
介護実習は学生が将来の就職先を決めるにあたり非常に重要な機会となり、中には実習中に就職が決まっていく学生もいます。
実習先の特徴を理解し、自身のパーソナリティや将来の目標、希望などを考えて、実習に臨めば、学生にとって得られるものは大きいでしょう。
学内で学んだ介護技術が果たして本当に現場で使いものになるのか、講義を受けて知識として分かっていても際の対応はどうすればいいのかなど、学生が実習先で実感するのは「現実の介護」で、机上と現実とのギャップを大きく感じる学生も多いようです。
自分が本当に介護の仕事を続けられるのか、またどのような分野・施設で働くのが合っているのかなど、実習を経験することは進路を考える良い機会になるでしょう。
事前準備から本番へ
実習前には、実習目標や計画を立てて、実習期間内にどんなことを達成したいのか、習得したいのかを実習担当の教員や指導者とともに相談しながら進めていきます。
実習生として必要な基本的な就労のマナーや態度、困ったときの対応、相談の仕方などまできめ細かく指導されます。
実習期間は1週間から3週間程度で、就労時間も一般的な介護職員として働くのと変わりなく働くことが多いようです。
介護実習の振り返り
介護実習が終わると、どんな実習であったのかという実習報告を他の学生と共有する、振り返りの授業があります。
多くは介護実習報告書を書いてほかの学生や担当教員の前で発表します。
実習を経験して感じたことや学んだことを言葉で表すことは、自分の考えや感情などを客観的にすることにとても効果的です。
そして、それを同じ実習をした学生と分かち合い、学び合う時間が介護実習の体験をより深くしてくれるものです。
自分がどんな福祉分野が合うのか、働きたいのかなど実習を通して気付くこともできるため、将来の就職活動に役立つことでしょう。