重機オペレーターの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「重機オペレーター」とは
工事現場や工場などで、作業用に使うフォークリフトやクレーン車などの重機を操作する。
重機オペレーターとは、建設・運搬作業用の大型機械である「重機」を操作するスペシャリストです。
重機オペレーターが操作する重機には、フォークリフトやパワーショベル、クレーン車、ブルドーザーなど、さまざまなものがあります。
おもに土木・建築系企業の現場やメーカーの工場、倉庫などで活躍しており、土の掘削作業や建物の解体作業、整地作業、あるいは荷物の積み込み作業などに携わっています。
重機オペレーターとして働くには、各企業や公的な職業訓練施設などで所定の講習を受け、機械を運転するための免許・資格を取得しなくてはなりません。
学歴が問われることはほとんどないため、未経験からでも意欲さえあれば挑戦しやすい職業といえます。
重機オペレーターの高年齢化が進んでいることや、復興支援工事などの需要が拡大していることによって、多くの若手人材が求められています。
経験を積み、より高度な技術力を備えていけば、多方面で活躍できる可能性がある職業です。
「重機オペレーター」の仕事紹介
重機オペレーターの仕事内容
建設現場や工場などで重機を運転・操作し、作業を行う技術者
重機オペレーターとは、大型機械である「重機」を運転・操作する人のことです。
重機には、フォークリフトや油圧ショベル、クレーン車、ブルドーザーなどさまざまな種類があり、工場や倉庫、また建設・土木の工事現場などで活用されています。
重機を使うことで、人間の手だけでは難しい作業も効率よく作業が進められるなどのメリットがあります。
しかしながら、重機を動かすのは簡単ではなく、使い方を誤れば大きな事故の恐れがあります。
そのため、この仕事を目指すには、まず重機を安全かつ正確に操作するための専門的な知識や技術を身につけなくてはなりません。
地道に経験を積んで技術力を高めていく、職人的な要素もある職業です。
現場によってさまざまな重機が使用されている
重機オペレーターの具体的な仕事内容は、活躍の場や操作する重機によっても異なります。
たとえば大規模な工場で需要があるのは、荷物の積み下ろしの際にフォークリフトの操作をする「プラント重機オペレーター」としての業務です。
工事現場では「ショベルカー」を使い、土の掘削作業や建物の解体作業を実施します。
また、建築現場では「クレーン車」を使用した資材の高所への運搬や、「ブルドーザー」を使っての整地作業などがよく行われています。
このほかにも多数の重機があり、オペレーターは、各重機に応じた免許もしくは講習の修了証を取得して操作を行います。
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重機オペレーターになるには
目的に合わせた免許や資格の取得が必須
重機オペレーターは、おもに建設業界の企業やメーカーの工場、倉庫などで活躍しています。
学校を出て、これらの企業へ就職することが第一歩といえます。
学歴はあまり重視されませんが、重機を操作するには自動車の運転免許取得と同じように、所定の技能講習を受けて、免許・資格を取得する必要があります。
各重機の車両の最大荷重や機体重量、最大積載量、吊上荷重などによって、免許・資格の種類は細かく分類されています。
事前に免許を取得したいのであれば、自動車学校などで開講されている「作業免許コース」を受講・修了することで、ブルドーザーやパワーショベルなどの運転が可能となります。
このほかにも、全国にある専門機関で試験に合格する、あるいは必要な講習を受けて取得するという一定の手続きを踏むことが、重機を動かすためには必要です。
新卒者や未経験者は現場に入ってから免許取得も
先に挙げたような企業の一部では、入社の時点での免許の有無は問われない場合があります。
企業が講習の受講費用や学習をバックアップしてくれるところもあるため、自己負担を軽くして免許取得を目指したい人にはおすすめです。
基本的に年齢もあまり重視されない職業ですが、スキル習得には一定の時間がかかることもあり、体力のある若い人が好まれやすい傾向が見られます。
とくに未経験でスタートする場合、なるべく早いうちに現場に入り、免許を取得して実務経験を積んでいくほうがよいでしょう。
重機オペレーターの学校・学費
学歴不問で働けるが、重機を扱うための免許・資格取得は必要
重機オペレーターとして働くために、必ず通わなくてはならない学校はありません。
ただし、各重機に該当する免許取得や講座修了は必須となるため、然るべき機関で試験や講習を受ける必要があります。
18歳以上であれば免許の取得は可能であり、高卒で就職を目指す人もいます。
なお、重機操作のための勉強に関しては、公的な職業訓練施設でも行うことが可能です。
民間の教習所と比較すると内容は限定される場合がありますが、学費などの諸費用を抑えて重機オペレーション関連の技術基礎を学ぶことができます。
訓練修了後には就職のあっせんを受けることもできるため、気になる人は調べてみるとよいでしょう。
重機オペレーターの資格・試験の難易度
重機の種類によって必要な免許・資格が異なる
重機を動かすには、指定された技能講習や教育を受けて、免許や資格を取得する必要があります。
ひとことで重機といっても、フォークリフトやクレーン車、ブルドーザーなど、さまざまなものがあります。
それぞれ車両の最大荷重、機体荷重、最大積載量、吊上荷重などが異なり、操作のために必要とされる知識や技術も異なることから、各重機に応じた免許を取得しなくてはなりません。
その種類を大きく分けると、国家試験をパスして取得する「免許」と、特別教育や技能講習を受講して取得する「修了証」という2つのパターンがあります。
また後者に関しては、特別教育は限定免許で、運転する重機によって質量や大きさなどの制限があります。
一方、技能講習のほうは、修了することで、認定されたほぼすべての重機を扱えるようになります。
比較的取得しやすい重機免許の例
重機を操作する免許のなかで、比較的簡単に取得できるのが「フォークリフト運転技能者」という国家資格です。
この免許を得ると、最大荷重1トン以上のフォークリフトを運転することができます。
また、コンテナキャリア、トップリフターなども操作することが可能で、工場や港、工事現場などで積み荷の移動業務を行う人にとって役立ちます。
取得のためには、各地で行われている「フォークリフト運転技能講習」もしくは「フォークリフト運転特別教育」を受講・修了することが条件です。
自動車免許(普通・大型・大特など)を取得している場合は、講習の一部が免除されます。
重機オペレーターの給料・年収
取得した免許・資格の種類や、経験によって収入に差が出やすい
重機オペレーターの給料・年収は、職務の専門性や危険をともなう作業に従事するといったこともあって、一般的な土木作業員に比べると、やや高めの水準となっています。
公的なデータは公表されていませんが、求人サービスの統計データなどを見ると、平均年収は350万円程度と考えられます。
ただし、重機オペレーターは「免許・資格」が必要な技術職であり、より高度な免許・資格を取得して、熟練の技術者になることで評価が高まります。
経験の浅い若手と、ベテランとでは大きな収入差が出ると考えておいたほうがよいでしょう。
非正規雇用の場合は仕事量で収入が大きく増減することも
重機オペレーターが活躍する企業では、まだ免許を持たない新卒者などを未経験で採用することがあります。
この場合、最初は見習い扱いで先輩オペレーターの補佐役や雑務から手掛けるため、給料は低めとなるでしょう。
正社員であっても年収は300万円に満たない場合もあります。
その後、経験を積んで免許を取得し、重機を確実に動かせるようになると徐々に昇給が望めます。
なお、会社によっては免許・資格取得のための支援制度を設けていたり、取得した免許に応じた「資格手当」が支給されたりすることもあります。
ただし、重機オペレーターは非正規で雇用されることも多いです。
働いた日数によって収入が決まる契約を結んでいる場合、仕事量によって収入が変動するなど不安定な働き方をしている人もいます。
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重機オペレーターの現状と将来性・今後の見通し
高齢化などによる人手不足が続き、若手人材が求められている
重機オペレーターをはじめ、建築業界では技術者や職人の高齢化と人材不足が大きな課題となっています。
そのため、各社とも優秀な若手人材の育成と確保に力を入れ、積極的な採用を行っているところが目立ちます。
未経験からでも挑戦しやすく、また短期間の派遣業務や住居を完備した上での募集などもあり、待遇面を充実させて、なんとか人を集めようとしている企業も少なくありません。
重機は、人の手だけでは困難な作業を効率的に手掛けられるため、とくに土木工事や建設現場、工場などでは欠かせないものです。
免許・資格を取得した人でなければ重機を動かせないということも、この仕事に就く人にとっては強みになります。
現状では安定したニーズがあり、これから重機オペレーターを目指す人にもチャンスが十分にあります。
自動化が進むなかで、高度な技術力が強みになる
ただし、重機オペレーターは、この職に就けば生涯安泰といえるわけではありません。
というのも、一部の現場では重機にAIを活用した無人化システムを導入する動きが見られ、今後はさらなるITの活用で、自動化が進んでいくと考えられるからです。
そのため、重機オペレーターとして長く活躍していくには、より高度な免許・資格を取得したり、経験を積みオペレーターの技術でしか進められないような複雑な業務まで手掛けられるようになることが大切です。
地道に勉強や鍛錬を続けていけば、長く活躍できる人材として認められるでしょう。
重機オペレーターの就職先・活躍の場
建設現場や工場、倉庫などで活躍する
重機オペレーターのおもな就職先は、メーカーの工場や倉庫、土木工事会社、建築工事会社、建設揚重(ようじゅう)会社などです。
派遣会社に登録し、派遣の重機オペレーターとして活躍する人もいます。
取得した免許・資格の種類が増えるほど、さまざまな場で活躍できるチャンスが広がります。
たとえば工場・倉庫ではフォークリフトを利用し、商品を積載したパレットを指定位置まで移動するといったことが頻繁に行われています。
また建築工事では、油圧ショベルやクレーン車、ショベルカー、ロードローラーといった多様な重機を動かせるオペレーターが活躍しています。
重機オペレーターの1日
休憩もきちんと挟み、安全管理に気をつけて規則正しく働く
重機オペレーターの1日の流れは、勤務先や、重機での作業内容によっても異なります。
基本的には「現場仕事」が中心であるため、スケジュールに沿って業務を進め、規則正しい働き方をします。
また、機械の操作は集中力が切れると思いがけないミスにつながってしまうため、安全確保のため、休憩もきちんと挟みます。
ここでは、建築現場で活躍するクレーンオペレーターの、ある1日の例を紹介します。
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重機オペレーターのやりがい、楽しさ
重機を思いのままに操ることができる喜び
重機オペレーターは、とくに乗り物の運転や機械の操作が好きな人にとっては、やりがいを感じやすい職業といえるでしょう。
重機は、特殊な講習や教育を受けることによる「免許・資格」を取得した人しか操作することができません。
また、人の手では実現できない作業でも、簡単に終わらせてしまえるのが、重機を扱う楽しさです。
自分の腕で大きな重機を思いのままに操り、現場作業を効率的に進めていくことは重機オペレーターにとってのやりがいです。
技術向上とともにオペレーターとしての評価も高まっていき、活躍の場が広がるため、常にスキルアップを意識してチャレンジしたい人にとっては魅力的な職業です。
重機オペレーターのつらいこと、大変なこと
安全管理に対する厳しさ、高い集中力が求められること
重機オペレーターが最も気をつけなくてはならないのが、「事故を起こさないこと」です。
重機のような大型機械を扱うとなると、操作を少しでも誤れば、大事故につながる可能性があります。
そのため、重機オペレーターが活躍する現場では、どこでも安全教育に力を入れており、オペレーターにも安全管理の徹底が求められます。
作業中は常に高い集中力と緊張感を保たなくてはならないため、慣れないうちは非常に疲れるでしょう。
また、重機作業は屋外で行うことも多く、季節の環境による影響を受けやすいことが特徴です。
夏は照り付ける日差しで汗だくになり、冬は凍えるような寒さのなかで、座った状態で慎重に作業を続ける大変さもあります。
重機オペレーターに向いている人・適性
大型機械が好きで、体力や集中力に自信がある人
重機オペレーターは、クレーン車やブルドーザー、ショベルカーなど、大型の機械を自らの手で操っていきます。
免許・資格取得のためには重機に関する勉強も必要なため、もともと機械が好きだったり、機械のしくみに関心がある人には向いている職業です。
一方、重機を操作する際には、一つひとつの手順をきちんと踏んで、慎重に進めなくてはなりません。
ちょっとした気のゆるみや操作ミスが大事故につながることもあるため、「ここぞ」というときには高い集中力を維持できる人に適性があります。
また、重機作業は屋外で行う現場作業が中心となるため、体力に自信がある人にも向いてます。
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重機オペレーター志望動機・目指すきっかけ
昔から重機を見たり、機械を触るのが好きだった人が多い
重機オペレーターを目指す人の多くは、以前から重機などの大型機械が好きだったという思いを抱いています。
「子どもの頃からショベルカーやブルドーザーを見るのが好きで、自分でも動かしてみたかった」という思いが、この職業を目指すきっかけになることは、よくあるようです。
また、特殊な免許・資格を取得することで、職人のように自分のスキルを生かして活躍できることに魅力を感じ、重機オペレーターに興味をもつ人もいます。
なお、重機オペレーターの活躍の場はさまざまあり、現場によって動かす重機の種類が異なります。
この職を目指す場合には、将来的にどのような重機を扱いたいのかをよく考えてみるとよいでしょう。
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重機オペレーターの雇用形態・働き方
企業の正社員や派遣社員、非正規雇用として働く人も多い
重機オペレーターの一般的な雇用形態として、まず挙げられるのが、土木会社や建築会社、倉庫会社などで正社員として雇われるケースです。
また、フォークリフトなどの重機オペレーターの場合、派遣会社の作業員として働く人もいます。
ただし、労働者派遣法によって建築業に関連する業務への人材派遣は禁止されているため、実際は建設業法に基づく請負契約のもとで工事に携わるという、やや複雑な雇用形態となるケースもあります。
全体として、重機オペレーターは、期間限定の非正規雇用して募集されることもしばしばあります。
より安定した環境での勤務を求めるのであれば、できるだけ早く各種免許・資格を取得し、経験を積んでいくことが重要です。
重機オペレーターの勤務時間・休日・生活
業務は定時で終わることが多く、規則正しい生活が送れる
重機オペレーターは現場作業が中心となるため、あらかじめ決められたスケジュールに沿って仕事をします。
朝は8時頃にスタートすることが多く、やや早めですが、17時頃にはきっちりと作業を終えます。
定時で終わることがほとんどで、残業はめったにない仕事です。
休日は、基本的に日曜日と祝日ですが、天候による日時変更や繁忙期、あるいは現場の進捗次第で休日に作業が行われる場合もあります。
基本的には規則正しい生活を送りやすい仕事といえるでしょう。
重機オペレーターの仕事では集中力も体力も要するため、休みの日はゆっくりと体を休めてリフレッシュする人が多いようです。
重機オペレーターの求人・就職状況・需要
人手不足の影響もあり、求人数は多め
重機オペレーターの求人が多いのは、土木作業や工事を行う建設会社、大型工場のあるメーカー、倉庫会社などです。
現在は人手不足という背景もあり、正社員としてよい雇用条件で採用するなど、業界全体として意欲的な若い人材を確保するための動きが見られます。
新卒者や未経験者でも、就職後に会社のサポートを受けて重機免許・資格取得を目指せる場合があるため、挑戦しやすいでしょう。
就職状況は決して悪くはありませんが、期間を限定しての作業が中心となる現場については、非正規雇用となるケースもよく見られます。
非正規であっても、経験豊富で技術の優れた重機オペレーターは需要があり、各方面からの依頼が多くなる傾向にあります。
重機オペレーターの転職状況・未経験採用
経験者や免許・資格の保持者は転職に有利
重機オペレーターとして重機を操作するには、各重機に応じた免許・資格が必要です。
そのため、すでに免許・資格を取得しており、実務経験者であれば転職には非常に有利になります。
ただし、未経験からの転職も不可能ではありません。
免許・資格の取得をバックアップしてしてくれる企業もあるため、働きながら一人前の重機オペレーターを目指せます。
最初はアルバイトや契約社員などの非正規雇用となることもありますが、地道に経験と実績を積んでいけば、正社員への道も開けます。
もちろん自分で養成機関を調べて、先に重機の免許・資格を取得しておく方法もあります。
重機オペレーターで一人親方はできる?
簡単ではないが、経験や人脈によっては可能
「重機オペレーターになったら、いつかは一人親方として独立したい!」と考える人もいるかもしれません。
しかしながら、土木系の現場がおもな活躍となる重機オペレーターは、建築系の職人に比べると、一人親方としてやっていくのはやや難しいところがあります。
というのも、一人でも塗装や左官などの作業が進めやすい建築系の親方とは異なり、土木系の現場は、一人だけでできる作業があまり多くないからです。
たいていの土木現場では、複数人作業員が協力して効率的に作業を進める形が一般的であり、会社で雇われているオペレーターがメインで活躍することが一般的です。
ただし、独立までに建築土木会社やハウスメーカーなどとの人脈・つながりが構築できていれば、個人の重機オペレーターにも優先的に仕事を回してもらえる可能性はあります。
重機オペレーターとして独立し、一人親方をやっている人のほとんどがキャリア豊富なベテランで、個人で重機を購入・所持しています。