IRの仕事内容・社内の役割とミッション

IRの仕事とは

IRとは、InvesterRelationsの略称であり、株主や投資家に対して、自社の業績や財務状況、経営方針、経営理念、今後の見通しなどを報告する活動を指します。

IR担当者のおもな仕事は、決算内容についての報告書を作成し、株主総会を開催して説明することです。

しかし、たとえば環境問題に関する取り組み状況や、自社製品の開発状況、他企業との資本提携状況など、決算に関する以外の事項を報告することもあります。

IR活動を積極的に行っている企業は、自社の透明性が高まるために投資家の信頼を集めやすく、株価も高くなる傾向にあります。

自社に関するさまざまな情報を公開して、投資家からの評価を高めることが、IR担当者に課せられたミッションといえるでしょう。

IRの具体的な業務の内容

経営・財務状況の報告

IRの仕事のなかでもっとも代表的なのは、経営状況や財務状況の情報開示です。

一般的には、3か月ごとに四半期報告書を、1年ごとに決算報告書(アニュアルレポート)を作成し、株主や投資家に向けて情報を公開します。

報告の方法は複数あり、株主総会や決算説明会を開催して直接説明する方法もあれば、自社のホームページにアップする方法、「ディスクロージャー誌」と呼ばれる経営開示資料を送付する方法もあります。

また、一方的に情報を伝えるだけでなく、質疑応答に対応したり、意見交換会を実施して投資家からの提案を受け付けたりすることもIR担当者の仕事です。

CSR活動

CSR(CorporateSocialResponsibility)とは、直訳すると「企業の社会的責任」となり、環境活動やボランティア活動、寄付活動などを通して、社会に貢献する取り組み全般を表します。

こうしたCSRの重要性は年々高まっており、私たち一般市民の消費活動とも密接に関係し合っています。

一般車よりも廃棄ガスの少ないエコカーを選ぶ人が増えていたり、プラスチック包装された商品よりも、環境にやさしい紙包装の商品を選ぶ人が増えているのは、その典型的な事例といえます。

こうしたCSR活動は、事業の収益と直接関係しているわけではありません。

しかし、CSRに積極的な企業ほど、投資家から評価されやすく、結果的に株価が上昇することにつながりますので、投資家対応を専門とするIR担当者が主導するケースが多くなっています。

ダイバーシティ・マネジメント

世の中には、人種や性別、家族構成、身体障害の有無など、さまざまな人がいます。

外面だけでなく、性格や価値観、宗教観などの内面も人それぞれであり、そうした「多様性」のことを総じてダイバーシティといいます。

一人ひとりがもっている個性を尊重し、誰もが輝ける職場環境をつくることが、ダイバーシティ・マネジメントです。

具体的には、車椅子の社員でも働きやすいようにオフィスをバリアフリー化する、小さな子供がいても働けるように社内に託児所を設置するといった活動が挙げられます。

こうした取り組みも、CSRと同様、業績に直接関係するわけではありません。

しかし、企業のもっとも重要な資産である「ヒト」を大事にしている企業として、株主からの評価を高めることができますので、IR担当者の役割となっています。

IRの社内での役割・ミッション

社内におけるIRの役割は、経営企画部や財務部、広報部などと連携して、できる限り正確かつリアルタイムな情報収集に努めることです。

提供する情報量が多いほど、また情報を提供する頻度が高いほど、投資家からすれば「社内統制が効いていて信用できる企業」ということになります。

ひいては株価の上昇や安定株主(短期に売買するのではなく、長期保有してくれる株主)の獲得にもつながり、事業基盤はより強固なものとなります。

資金調達も容易になりますし、消費者からの信用を得て、商品やサービスも売れやすくなります。

IRの仕事は多岐にわたりますが、最終的には「株価」というかたちで自社の価値を高め、あらゆる面で事業を円滑化することがミッションです。

IRの業界・企業規模による仕事の違い

IR担当者の役割は社内の情報を素早く正確に吸い上げることですので、業種によって仕事内容も多少異なります。

たとえばメーカーであれば、自社製品の開発状況や特許の取得状況、生産状況などを把握するため、研究部や商品部、法務部、工場担当者などと打ち合わせする機会が多くなります。

同じように、小売業や飲食業であれば自社の新店情報を得るために店舗開発部と、建設業やインフラ企業であれば各プロジェクトのリーダーと、打ち合わせする頻度が高くなるでしょう。

ただし、こういったIRの役割や仕事がきちんと明確になっているかというと、一概にそうともいえません。

経営陣がきちんとIRの仕事内容を理解しておらず、広報部などと混同しているケースも少なくありません。

とくに企業規模がそれほど大きくない会社の場合、IR単独の部署や担当者がおらず、財務部や総務部の社員がIRを兼務していることもあります。

IRは、もともとアメリカ発祥の職種であり、日本に浸透してきたのは1990年代後半に入ってからと、非常に歴史が浅いことも少なからず影響しています。

現状の社内におけるあいまいな立ち位置を明確化していくことも、IR担当者の仕事のひとつといえるかもしれません。

IRと関連した職種

広報

広報は、IRともっとも混同されやすい職種のひとつです。

広報は英語でいうとPR(PublicRelations)であり、社外の一般の人に向けて、広く自社商品やサービスを宣伝したり、問合せに対応したりすることがおもな仕事です。

投資家(Invester)のみを相手にするIR部門とは明確に役割が異なりますが、それほど大きくない企業では、広報部のなかにIR部門が設けられているケースもよく見られます。

財務

財務は、事業部門ごとの収支をチェックして資金を管理したり、金融機関から資金調達を行ったりして、社内におけるお金の流れをコントロールする職種です。

勘定科目を入力したり経費を精算したりする会計職や経理職よりも、より経営サイドに近い職種といえます。

IRの仕事とは非常に近しい関係にあり、大企業ほど、IR部門は広報部ではなく財務部のなかに配置される傾向にあります。

経営企画

経営企画は、M&Aや組織再編など、企業の経営戦略を立案したり、計画の進捗状況を管理するなどして、経営全般に関わる課題を解決する職種です。

中小以下の企業では、そうした業務は社長あるいは経営陣がになうケースが一般的ですが、一定以上の規模になると、「経営企画室」などの名称で、戦略策定に特化した専門の部署が設けられます。

経営企画もIRの仕事と密接に関連しており、経営企画室内にIRの部署が置かれている企業もよく見られます。