法務教官の年収はいくら? 給料についてくわしく解説
法務教官の平均年収・給料の統計データ
法務教官は国家公務員の一つであり、給与については法律によって規定されています。
「罪を犯した少年たちの更生をサポートする」という特殊な業務内容を担当するため、ほかの一般行政職に比べてやや高めの給料が支払われています。
精神的にも肉体的にもハードな仕事といえますが、各種手当や福利厚生面は充実しており、収入面での不安を抱えることはあまりないでしょう。
法務教官の平均年収・月収・ボーナス
法務教官の給与は「公安職俸給表(二)」によって決定されています。
令和2年の「国家公務員給与等実態調査」によれば、「公安職俸給表(二)」が適用される職員の平均年齢は40.6歳、平均給与月額は41万316円です。
参考:人事院 令和2年国家公務員給与等実態調査の結果概要
※「I 調査結果の概要」の2つめのエクセルファイルです。
これは地域手当や扶養手当などを含めた金額であり、それらを含めない俸給部分については34万23円となっています。
また、いわゆるボーナスにあたる期末手当・勤勉手当は「1年間に俸給等の約4.45月分」と決められています。
法務教官の手取りの平均月収・年収・ボーナスは
上記の「平均給与月額41万316円」から、法務教官の年収や手取りの収入を計算してみましょう。
まず年収については、平均月給41万316円×12か月分で約490万円、ボーナス分は俸給34万23円×4.45か月分で約150万円となり、それらを合計した平均年収は640万円と計算できます。
なお、これはあくまで税引き前の金額です。
ここから社会保険料や所得税などを差し引くと、おおよその手取り年収は480万〜540万円程度になるでしょう。
法務教官の初任給はどれくらい?
法務教官の初任給は、東京都特別区内に勤務する場合で24万8,400円です(令和2年度)。
そのほか各種手当やボーナスなども支給されるため、初年度の年収はおよそ400万円程度と予想できます。
なお社会人区分で採用された場合は、採用前の経歴によっても変動しますが、たとえば「大学卒業後に30歳で採用された場合」なら26万5,000円〜29万8,000円が初任給となります。
法務教官の福利厚生の特徴は?
国家公務員である法務教官の福利厚生は充実しているといえるでしょう。
基本的な休暇制度には、年間20日間の年次有給休暇、病気休暇、介護休暇、特別休暇(夏季・結婚・出産・ボランティアなど)が用意されています。
その年度に取得しきれずに残った有給休暇日数については、20日間を上限として翌年に繰り越すことも可能です。
加えて、法務教官は「国家公務員等共済組合」に加入しますので、病気や出産などの際には共済組合より各種の給付を受けられます。
このように福利厚生面は充実していますが、法務教官は夜勤も担当しなければならない点では大変さがあります。
法務教官の勤務先である少年院や少年鑑別所などの収容施設は、24時間保安にあたらなければなりません。
そのため、法務教官は昼間勤務と昼夜間勤務を交代で担当します。
夜勤の頻度は、配属先施設の法務教官の人数により異なりますが、生活リズムは不規則になりがちな点には注意が必要です。
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法務教官の給料・年収の特徴
高めの給与水準
冒頭でも説明したとおり、法務教官の給料には「公安職俸給表(二)」が適用されます。
これは、一般の国家公務員に適用される「行政職俸給表(一)」よりも12%程度高い給与水準です。
法務教官は心理学・教育学・福祉・社会学などの多様な専門性が求められる特殊な仕事であることから、給与水準もやや高めに設定されています。
ちなみに厚生労働省の発表では、全業界の大卒男女の平均初任給は21万0,200円ですが、それに対して法務教官の初任給は、東京都特別区内に勤務する場合で24万8,400円です(令和2年度)。
参考:厚生労働省 令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況
このように民間企業に比べても高めの給与水準が設定されています。
各種手当も充実
法務教官には、国家公務員法の給与に関する法律に基づいたさまざまな手当が支給されます。
扶養手当や通勤手当、期末・勤勉手当、超過勤務手当(残業手当)などがその一例です。
なお住宅については、勤務先の少年院や少年鑑別所の近隣の宿舎を利用でき、法務教官はこれらの施設に無料で住めます。
民間企業に就職してマンションなどを借りれば毎月数万円の家賃がかかりますので、そういった家賃負担がないのは大きな魅力といえるでしょう。
もちろん用意された宿舎ではなく、自分でマンションなどを借りて住むこともできます。
その場合は月額2万8,000円を上限とした住居手当や、1か月あたり5万5,000円を上限とした通勤手当が支給されます。
夜勤担当時には宿日直手当が支給
法務教官は昼間勤務と昼夜間勤務を交代で担当し、夜中の時間帯についても少年院などの保安に勤めます。
昼夜間勤務は、まずは昼間の仕事をこなしたあとにそのまま夜間勤務にあたりますので、体力的な負担も大きい仕事です。
しかしその分、夜間勤務を担当した人には「宿日直手当」が追加で支給されます。
アルバイトなどの副業が禁止されている公務員にとって、宿日直手当も非常に大切な収入源だといえるでしょう。
法務教官が収入を上げるためには?
公務員である法務教官は原則として定期昇給がありますので、勤続年数が長くなるほど、支払われる給与も増えていきます。
また勤務成績などに応じて昇任も適宜行われており、採用後5〜6年を目安に専門官へと昇任します。
その後も実力を認められた人は統括専門官(課長相当)や首席専門官、施設長などに昇任する道も開かれています。
これらの役職がつけばさらに高い収入を望めるでしょう。
法務教官は基本的には「能力主義」の人事管理が行われており、本人の努力が反映されやすい環境が整っています。