俳優・女優になるには? なるまでのルートやスカウトについて解説
俳優・女優になるまでの道のり
劇団に所属する
まずあげられるのは、劇団に所属するという方法です。
日本には大手の劇団や、小劇場を中心に活動する小劇団があります。
各劇団には入団のためのオーディションがあり、合格すると晴れて劇団員として活動できるようになります。
入団後は、役者としての基本的なレッスンを受けながら、芝居の本番までの雑務などもこなします。
最初のうちは、小さな役からスタートしますが、頭角を現せば大きな役も回ってくることもあるでしょう。
劇団に入団する役者は、たいてい劇場を中心に活動していますが、芝居を観たドラマや映画の制作者から声をかけられたり、自らオーディションを受けたりして、テレビドラマや映画に出演するチャンスを掴むこともあります。
芸能事務所に所属する
次にあげられるのは、芸能事務所に所属する方法です。
事務所のオーディションを受け、研究生になり、そして、基本的なレッスンを受けながら、映画・ドラマのオーディションに挑みます。
大手芸能事務所の場合、事務所が主宰する芝居や映画もあるので、その作品に出演することもあるでしょう。
他職種から転身する方法も
近年多いのは、モデルから役者に転身する方法です。
俳優や女優以外の他職種から転身して活躍する道は、すでに知名度や人気があるので成功しやすいともいわれています。
そのほかの方法
最近では少なくなりましたが、現在活躍中の役者に弟子入りし、その役者の身の回りの世話をしながら演技を勉強したり、自ら小劇団を作ったり自主制作映画の団体を作ったりして自分の芝居を追求するなかで認められ、役者になるというルートもあります。
またスカウトがきっかけという人もいます。
モデルのように容姿だけを見てスカウトするということはそれほど一般的ではありませんが、芸能事務所の関係者が劇場で芝居をしている役者を見て事務所にスカウトするということはあります。
オーディションは避けては通れない
どのような道をたどるにしても、オーディションは避けては通れません。
芸能事務所や劇団、映画やテレビの制作者は、さまざまな役柄のオーディションを行っています。
芸能事務所や俳優養成所に所属しながら応募することもできますし、どこにも所属せずにまったくの一般人として応募できるケースもあります。
無名だけど光るものがある原石を発掘することを目的としている場合や、まだ世間に何のイメージもついていない素人を求めている場合もあるので、演技力や経歴に自信がなくても思い切って応募してみるのもひとつの手です。
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俳優・女優になるための学校の種類
俳優・女優になるための勉強ができる学校として、芸能事務所や劇団が開いている養成所があります。
発声練習やダンス練習などの役者としての素養から、実際の演技のレクチャーを教わることができ、芸能事務所や劇団に所属している先輩の俳優・女優、あるいは演出家から直接受けることができるレッスンは貴重な時間となるでしょう。
学費は養成所によっても異なりますが、年間で数十万円ほどは必要になることが多いようです。
俳優・女優を目指せる年齢は?
俳優・女優は何歳からでも目指すことができます。
大手の劇団や芸能事務所に所属することを目指した場合は、育成という観点から年齢制限があり難しい一面もあります。
ただし、シニア層も積極的に受け入れている事務所は多くありますし、50代60代で活躍している人は数多くいます。
映画やドラマ、舞台は若い人のものばかりではありません。
年齢を重ねた人にしかできない役や演技があるため、年齢を重ねても役者の需要は多くあり、何歳からでも役者になろうと思えば目指すことができるのです。
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俳優・女優としてスカウトされることはある?
俳優・女優のスカウト
街中でのスカウトはあまりない
スカウトというと、原宿や渋谷、表参道などでモデルやアイドルがスカウトされるというイメージを持つ人もいるでしょう。
ただし俳優・女優のスカウトは、モデルのように路上で行われていることはあまりありません。
まれに、容姿が端麗でスカウトマンがスカウトをするという状況もありますが、それほど多い話ではありません。
劇場でのスカウト
役者にとってのスカウトとは、芝居・ドラマ・映画などの作品自体を見たスカウトマンや作品制作者が、役者に声をかけることが一般的です。
小劇場の役者にアンテナを張っているという映画監督は、足しげく劇場に通い、世間的にはまだ認知度の低い役者でも、「自身の次回作で使いたい!」と思えば、その役者に声をかけるといいます。
オーディションでのスカウト
俳優・女優としてオーディションを受けた際、落選だったとしても後から声を掛けられることは少なくありません。
今回の役には合格できなくても、演技力やスタイルが目に留まったり、ほかのドラマで使いたいと思われたりすると、直接スタッフや事務所から声を掛けられることもあります。
スカウトをきっかけに
自ら率先して、さまざまなオーディションを受け、役をもらい、徐々に有名になってゆく役者もいますが、現在活躍中の俳優・女優のなかには、劇場でスカウトをされてから認知度を得た人もたくさんいます。
新しい役者や売れそうな役者を探しているテレビドラマの制作者は、良い人材を見つけたり、人づてに良い役者がいるということを聞きつけたりすると、劇場に足を運びます。
実際に演技を見て目に留まると思った場合「ドラマのオーディションを受けてみないか?」とその役者に声をかけることもあります。
声をかけられた役者は、自身が所属している小劇団の知名度を上げるため、自身が広告塔となり、メディアに率先して顔を売ります。
そして自分の劇団には他にも芝居が上手い役者や、おもしろい役者がいることを制作者に売り込んでいくのです。
そうして紹介された役者が新たにキャスティングされていけば、劇団の知名度を上げることができますし、テレビ制作サイドも新しい役者を発掘することができ、双方にメリットがあるのです。
悪徳業者に注意
ドラマ・映画・芝居の制作者からスカウトされたときは、そのチャンスを生かさない手はありません。
しかしスカウトに応えるか、という点には気をつけた方がよいでしょう。
役者として勉強できるチャンスなのか、自分が目指す芝居とあまりにもかけ離れていないか、このチャンスをものにすべきかどうか、は慎重に考えた方がいいでしょう。
また、身分証明をしなかったり、謝礼を出させたりするような悪徳なスカウトマンには注意が必要です。
特に女性の場合はアダルト系のスカウトが紛れ込んでいる可能性が非常に高いため、悪徳業者の被害に合わないよう、しっかりと見極めることが必要です。
俳優・女優の「事務所」とは?
芸能事務所とは?
芸能事務所の仕事
芸能事務所は、俳優・女優など芸能人の活動を支援する仕事をする場所です。
タレント事務所や芸能プロダクションと呼ばれることもあります。
芸能事務所契約すると、俳優・女優本人に代わって営業をしたり仕事のスケジュールの調整をしたりするなどマネジメント業務をします。
その代わり、役者が得たギャランティから何割かが事務所におさめられます。
雇用契約
基本的には、俳優・女優が個人事業主となり、事務所と業務提携契約をしているという形態をとることが多くなっています。
そのため、芸能事務所の「社員」ではなく「所属」という形をとっており、仕事をした分だけギャランティが支払われるという出来高制です。
また養成所やオーディションで事務所に入所する場合、一定の期間「仮所属」や「預かり所属」と呼ばれることもあります、
本人の技量や仕事ぶりを見ることで「正所属」とされることが多く、報酬や仕事などの待遇が異なる場合があります。
大手事務所のメリット
俳優や女優が所属する芸能事務所は、数多くあります。
俳優・女優しか所属していない事務所や、モデル・歌手・芸人なども所属している事務所など、特色はさまざまです。
大手の事務所に所属すると、その事務所が主催する芝居や、出資している映画もあるので、それらに出演できるチャンスも多く巡ってきます。
自らが活躍する場がたくさんあるといえますが、それだけ周囲にライバルも多いということです。
ですが、ライバルたちのなかで切磋琢磨することは、演技力を身につけるにはよい環境ともいえます。
小さな事務所のメリット
規模の小さな事務所に所属したとしても、もちろんメリットはあります。
それは大衆向けの映画や舞台などの作品だけではなく、いわゆるマイナーな作品にも出演する機会が多いということです。
メインストリームで活躍するまでには、長い期間が必要になるかもしれませんが、脇役などで独特のキャラクターを演じられる可能性は高いでしょう。
役者としてさまざまな役柄を演じられることは、非常に魅力的です。
芸能事務所に入る方法
このような事務所には、オーディションで入るのが一般的です。
事務所によって条件はさまざまですが、養成所を開いているところもあります。
俳優・女優になりたいと思っているならば、オーディションを受けたり、養成所に入ったりするところから始めるのもよいでしょう。
ただし自分がどんな役者になりたいのか、そのためにはどの事務所に入るべきなのかをしっかり考えた上で事務所を選ぶことも重要です。
小劇団からできた事務所
事務所には有名になった小劇団から事務所になったものもあります。
そのような事務所は、公演のため、新しい劇団員を募集している場合もあります。
劇団によって、芝居の特徴も変わるため、自身が演じたいと思う芝居を作り上げる劇団を見つけ、そこに所属するのも役者になる一つの方法となります。
俳優・女優に向いている人
俳優・女優に向いているのは、演じることが好きな人です。
現実世界の自分自身から離れて、たくさんの役柄を演じることを楽しめるような人が、この仕事に向いているといえます。
そのうえで、相手が望んでいること、自分に求められていることを正しく理解する能力がある人も俳優・女優の適性があります。
俳優・女優の語学力・英語力
求められる語学力
昔は、俳優や女優に語学力が必要だとは考えられていませんでした。
きちんとした日本語さえ話せれば、仕事をする上で特別に困ることはなかったのです。
しかし、近年ではグローバル化が進み、演劇の世界においても他国と共同で作品を作ったり世界中から作品を集める授賞式を行ったりすることが珍しくありません。
こうした場では、役者も日本語以外の言葉で演じたりスピーチをしたりということが求められるようになります。
そこで、最近では世界で活躍するチャンスをつかむために語学力を磨こうと努力している俳優や女優も多いようです。
語学力と言っても、何カ国語も話せるようになる必要はありません。
やはり世界中どこに行っても話せる人が多い「英語」ができるようになれば、ある程度のコミュニケーションを取ることが可能だからです。
読み書きする能力よりも圧倒的に聞く能力や話す能力のほうが求められるので、英語のヒアリングやスピーキングに力を入れるのが一般的です。
英語を習得するために
俳優や女優の学歴はさまざまです。難関大学を出ている人もいれば、子どものころから子役をしていて小学校や中学校も欠席が多かったという人もいます。
学校で英語を習得できた人は良いのですが、まったく勉強できなかったという人は、仕事の傍らでしっかり勉強をしなければいけません。
学習の方法としては、語学学校に通う、語学の家庭教師をつける、オンライン上の語学のレッスンを受ける、などの選択肢があります。
テキストを買って独学で勉強する方法もありますが、発音を身につけるためには、できるだけ第三者に聞いてもらったほうがよいでしょう。
また、まれにではありますが、語学習得を目標に掲げて、短期間の海外留学をする人もいます。
海外留学をするためにはしばらく仕事を休まなければいけないので、スケジュールの調整が大変です。
しかし、本格的な海外進出をめざしている役者にとっては、ステップアップのための大切な一歩になることもあるようです。