行政書士と社労士の違い
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行政書士と社労士(社会保険労務士)の仕事内容の違い
行政書士、社労士とも、顧客からの依頼を受けて複雑な法律が絡む書類を作成したり、手続きを代行したり、あるいは専門知識に基づいてコンサルティングを行ったりします。
しかし、両者の手掛ける業務範囲は明確な違いがあり、また社会的な役割も異なります。
行政書士は、会社設立や店舗開業、車両登録など、官公署に対する許認可申請がおもな仕事で、公的手続きを代行して行政事務を円滑に進めることが役割です。
これに対し社労士は、健康保険や年金、雇用保険などの手続きを代行したり、企業の労務管理を行うことで、労働者の権利を守り、労働環境を改善することが役割です。
ただ、どちらも「企業運営に関する仕事を手掛ける」という点で共通しているため、顧客に対してワンストップサービスを提供するために、双方の資格を取得してダブルライセンスで活躍している人も珍しくありません。
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行政書士と社労士のなる方法・資格の違い
行政書士になるルートは、複数あります。
行政書士試験を受ける方法が最も一般的ですが、国家公務員や地方公務員として役所などに勤め、行政事務を17年~20年以上勤めることでも行政書士資格が得られます。
また、弁護士・弁理士・公認会計士・税理士のいずれかの国家資格を取得すると、行政書士会に登録するだけで行政書士としても業務を行うことが可能です。
これに対し、社労士になるためには、社労士試験に合格する以外に道はありません。
さらに、行政書士試験には受験資格が一切なく、誰でも受験可能である一方、社労士試験は高専卒以上の学歴があるか、社労士事務所などでの勤務歴が3年以上あるといった条件を満たした人しか受けられません。
なお、行政書士資格を持っていれば、学歴や職歴に関係なく社労士試験の受験資格が得られるため、行政書士試験に合格してから社労士試験を受けるというルートも考えられます。
行政書士と社労士の資格の難易度の違い
行政書士試験の合格率は近年6%~16%前後、社労士試験の合格率は3%~10%前後で推移しており、年度によって多少の上下があるものの、社労士試験のほうが合格率は低めです。
また、合格までに必要とされる目安の勉強時間をみても、行政書士試験が500時間~800時間とされているのに対し、社労士試験は800時間~1000時間といわれています。
難易度を比較すると、行政書士試験よりも社労士試験のほうが難しいといえそうです。
ただ、どちらの試験についても、合格率が非常に低くなっているのは受験者の大半が社会人であり、日々の仕事に追われて十分に準備できないまま受験しているケースが多いからです。
実際の試験の難易度は、合格率から想像されるほどではなく、きちんと対策すれば十分に合格可能です。
数字だけを見て不安になる必要性はまったくありませんから、積極的に資格取得にチャレンジしましょう。
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行政書士と社労士の学校・学費の違い
行政書士試験に学歴や職歴などの受験要件はないため、特定の学校に通う必要性はありません。
一方、社労士試験には受験資格が定められており、学歴についてみれば、大学・短大・専門学校・高専のいずれかを卒業することが条件とされます。
このため、高卒・中卒の人については行政書士試験はすぐ受けられますが、社労士試験を受けるためには学歴以外の受験要件を満たさなければならない点に注意する必要があるでしょう。
ただ、受験資格さえ得てしまえば、行政書士・社労士ともに、通信教育などを利用して自宅学習で合格を目指すことも十分に可能です。
会社員や公務員として働きながら、隙間時間を利用して効率的に勉強を進め、行政書士・社労士になった人も大勢います。
行政書士と社労士の給料・待遇の違い
行政書士の働き方はさまざまで、行政書士資格一本で独立開業している人もいれば、建設会社などで会社員として働きながら資格を生かしている人や、副業として行政書士業を行っている人もいます。
事情が個々に異なるため、一概にいえない部分はありますが、行政書士の年収は500万円以下になることが多いとされます。
一方、社労士は、社会保険事務所などに勤務する場合は年収400万円~650万円、独立開業する場合は450万円~800万円ほどが相場といわれており、行政書士より高所得が見込みやすいでしょう。
ただし、両者とも知識やスキル、営業力、人脈などがものをいう実力主義の傾向が強く、収入はかなり個人差があるため、上記の数字はあくまで統計と捉えてください。
独立開業している行政書士・社労士のなかには、確たる営業基盤を築いたり、独自の事業戦略が奏功したりして大きく成功している人もおり、年収1000万円、あるいはそれ以上を稼いでいる人もいます。
行政書士と社労士はどっちがおすすめ?
行政書士は、許認可申請を中心に、遺言・相続に関する手続きや農地転用、成年後見、内容証明など、その業務範囲が広いことが特徴です。
これに対し、社労士は人事・労務のスペシャリストであり、専門性が高い反面、業務範囲という点では行政書士のほうが勝ります。
両者を比較したとき、行政書士は「広く、浅く」さまざまな業務を手掛ける一方、社労士は「狭く、深く」特定の分野を掘り下げていくという違いがあるといえます。
どちらのほうが優れているというわけではないため、個人の性格や適性、興味の方向性などを考慮し、より向いているほうを選ぶとよいでしょう。
また、どちらの資格も、働きながら取得を目指すことが可能です。
行政書士として働きながら社労士を、社労士として働きながら行政書士を、それぞれ取得するという選択肢もあります。
法人関係の手続きなど、両者の業務には関連性があるため、双方の資格を取得するメリットは非常に大きいでしょう。