データサイエンティストの需要・現状と将来性
データサイエンティストの現状
2007年に「データサイエンス」という言葉が新語として登場するとともに、データサイエンティストという職業が誕生。
その後、スマートフォンの登場によりインターネットが爆発的に普及し、世の中にはデジタル情報が溢れるようになりました。
また、現代は企業が内部で保管する業務データなども大量に増えています。
いたるところにデータが存在し「情報爆発」と呼ばれるほどの時代に入ったため、大量のデータを扱い、それにビジネス的な価値を見出せるデータサイエンティストの存在は、年々注目が高まっています。
また、政府も公共データの民間開放を宣言するなど、ビッグデータを活用した新たなビジネスやイノベーションの創出に向かって社会は動き始めており、ビッグデータを専門的に扱えるデータサイエンティストへの期待はますます高まっているといえるでしょう。
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データサイエンティストの需要
企業側としても、年々データサイエンティストを重視する傾向にあります。
大手企業を中心にデータサイエンティストは積極的に募集されており、求人も増加傾向です。
以前はIT・Web・金融・製薬など、業務で扱うデータの多い業界にて募集されることが多かったですが、今現在は幅広い業界の企業がデータサイエンティストの求人を出しています。
大手企業の場合、100人以上もの体制のデータ分析チームを社内に用意しようと構想する会社も増えているといわれます。
企業ではデータサイエンティストの仕事の本質が理解されるにともなって、評価制度や待遇、仕事の振り方なども改善されてきているようです。
データサイエンティストにとって、働きやすい環境が整いつつあるといえるでしょう。
そして、日本のデータサイエンティストは海外に比べ人材自体が大きく不足しています。
社会や企業の需要に対して供給が追い付いていない状況であることから、データサイエンティストからすれば当面は「売り手市場」となってくるでしょう。
データサイエンティストの人材不足と対策
日本のデータサイエンティストは海外に比べ人材が不足しています。
アメリカなどの海外では、大学などの教育機関でデータサイエンティストの育成が積極的に行われており、データサイエンティストを志す若者も多いようです。
対して日本は海外に比べると出遅れており、このままデータサイエンスの市場が拡大していくと、将来的には国内でデータサイエンティストが大きく不足するという声があります。
情報化社会となった今、データサイエンティストの与える経済効果は見過ごせないほど大きなものとなっており、データサイエンティスト不足は国として巨額の経済損失にもなりかねません。
そうした現状の中、日本でもデータサイエンティストの育成に向けた動きが、徐々に始まってきています。
2013年7月には、データサイエンティストの普及や育成を目指す「一般社団法人 データサイエンティスト協会」が発足しました。大学生に対し、無償での育成講座なども提供しています(ただし抽選)。
「横浜市立大学 データサイエンス学部」「武蔵野大学 データサイエンス学部」など、データサイエンティスト向けの学部の創設も相次いでおり、教育機関もこれからの時代を担うデータサイエンティストの育成に動きだしています。
2019年には、「統計検定」を運営する一般財団法人統計質保証推進協会が、新たな統計検定「データサイエンス基礎」を創設し、資格面も充実してきました。
近年はこうした取り組みが積極的に始まっているため、今後は少しずつデータサイエンティストとして働く人材が増えていく可能性もありますが、それでも日本のデータサイエンティストはまだまだ不足しているのが現状です。
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データサイエンティストの将来性
情報化社会が進む限りデータサイエンティストの将来性は明るく、時代を象徴するような職業になるともいわれています。
一方で、「データサイエンティストはいわれるほど将来は明るくない」「将来的には消えるかもしれない」との声も挙がっています。
その理由としてよく挙げられているのが「AI(人工頭脳)」です。
AIはコンピュータですから、データ収集やデータ整理などの作業部分は、人間以上にすばやく的確に処理することができます。
対してビジネス的な見解も交えての課題解決や提案などクリエイティブな部分に関しては、現状のAIでは難しいといわれています。
しかし2045年には「シンギュラリティ(技術的特異点)」に到達し、クリエイティブな部分も含めてAIが人間を超えるともいわれています。
実際AIがどこまで進化するかは未知数ですが、データサイエンティストはデータ・情報を扱うことが仕事である以上、AIやコンピュータと競合しやすい側面があるのは事実です。
将来を考える上でその点は頭に入れて置いたほうがよいでしょう。
データサイエンティストの今後の活躍の場
もともとのデータサイエンティストの活躍の場といえば、IT・Web・金融・製薬など大量のデータが存在し、難しい課題に直面している業界や企業でした。
しかし現在は、さまざまな業界の企業がビックデータによるビジネスを重視しており、業界業種問わず幅広い企業で雇用の場が用意されています。
この流れは今後もさらに広がっていく期待がもたれています。
また前述したように、データサイエンティスト不足の対策として、育成を行う機関が増えています。
経験を磨き一流と呼ばれるデータサイエンティストになれれば、将来的に大学などの教育機関で教壇に立ち、「育成する立場」になる道も描けてくるでしょう。