治験コーディネーターへの転職・中途採用
治験コーディネーターへの転職状況は?
新薬が実際に使われるようになるまでには、薬の安全性や効果を調べるための基礎研究や臨床研究(治験)が必要とされます。
このうち治験は、実際の患者さんを対象としたもので、治験担当医師や看護師などの医療スタッフや、新薬を開発した製薬企業の関係者など、多くの人がさまざまなかたちで関わってきます。
それぞれの間に立って管理・調整を行い、全体をコーディネートするのが治験コーディネーター(CRC)です。
さまざまな業務を担い、治験がスムーズに進むようサポートすることが仕事ですが、なかでも重要な仕事となるのが、治験に参加する被験者である患者さんのサポートです。
治験コーディネーターは治験開始前から終了まで、不安や滞りなく治験が良い状況で進捗するよう、患者さんに寄り添ってきめ細やかなケアをします。
治験コーディネーターになるには特別な資格は不要とされていますが、業務上、医学や薬学の知識が求められ、また実際に患者さんと接することから、転職してきた治験コーディネーターのほとんどが医療系資格を保持しているといえます。
求人においても、これらの資格または臨床経験、医療機関での勤務経験などが条件としてあげられていることが多いようです。
未経験者採用が中心で、転職は活発
治験コーディネーターは比較的離職率の高い職種で、年間の離職率は10~15%ともいわれています。
激務を理由として退職するケースばかりではないようですが、未経験者の中途採用が多いため、実際に勤務を始めてから自分に合わなかったと退職するケースも少なくないようです。
その一方、日本では新薬の開発が盛んで治験の数も増えていることから、治験コーディネーターへの転職は活発に行われています。
ニーズが拡大し、取り扱う業務の範囲も広がりつつある現在では人手不足の状況にあるため、求人数も多いようです。
治験コーディネーターへの転職の中心は、治験コーディネーター以外の異業種からの未経験採用です。
治験コーディネーターは比較的新しい職種であるため、もともと治験コーディネーターとして働いていた人よりも、別の医療職に携わっていた医療従事者などからの転職がほとんどとなっています。
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治験コーディネーターへの転職の志望動機で多いものは?
異業種の医療関係者の転職が多い治験コーディネーターですが、その転職理由や志望動機は前職や保有資格によってさまざまであるようです。
直接関わった事のある・なしに関わらず、経験したことのない治験コーディネーターへの転職を希望する理由としては、一定数、未知の業種への期待感や心機一転といった気持ちの切り替えなどが多くみられます。
しかし、保有資格や前職の背景も転職理由表れており、前職での働きにくさや課題、改善したいことなどが異業種間の転職に関わっているともいえそうです。
たとえば前職が看護師の場合、治験コーディネーターの夜勤がないところに働きやすさの魅力を感じたという理由が目立ちますし、臨床検査技師から治験コーディネーターに転職を希望する大きなきっかけは、収入や待遇改善を求めてといったケースが少なくありません。
治験コーディネーターの志望動機・面接で気をつけるべきことは?
治験コーディネーターの未経験採用は?
治験コーディネーターに転職を希望する場合、未経験の異業種からの転職が多いことは前述の通りです。
では、大部分を占めるとされる異業種医療職からの転職について見てみましょう。
看護師から治験コーディネーターへ転職する
転職組の治験コーディネーターの前職は、圧倒的に看護師が多くなっています。
治験コーディネーターの仕事は、治験担当の医師や被験者である患者さんとのやり取りが多く、医療現場で勤務していた経験のある看護師にとっては非常になじみやすい仕事であるといえます。
また、治験のプロジェクトにおいて、検査データなどの情報収集にも看護師時代に培った知識が生かせますので、経験や知識をスキルアップに直結させることができる点で有利だといえるでしょう。
また、患者さんや医師とのかかわりに慣れている点もアドバンテージであり、初めて会う患者さんにも、担当の治験コーディネーターが看護師資格を持っているということで信頼してもらえることも少なくありません。
薬剤師から治験コーディネーターへ転職する
薬剤師からの転職は、看護師に次いで多いため、治験コーディネーターは医薬品の専門家にとっても業務に携わりやすい仕事だと見ることができます。
薬剤師の勤務先のひとつである調剤薬局と治験コーディネーターの給与面を比較すると、調剤薬局で薬剤師として勤務するほうが入職したてのころはよいですが、長年勤務を続けても調剤薬局の場合は給与がさほど上がらない傾向があります。
待遇面でも、薬剤師にとって治験コーディネーターは魅力的であるようです。
また、薬剤師が治験コーディネーターになることの一番の強みは、すでに薬剤の専門家であり治験薬の理解なども自身の専門分野であるという点です。
被験者である患者さんに説明する膨大な資料などは、治験薬の詳細や期待される効果、怒りうると考えられる副作用など、薬剤情報が多くの量を占めています。
また、治験を進めるにあたり治験薬を正しく使ってもらうために服薬指導も行いますが、これももともとの業務でやっていた仕事ですのでそのまま経験を生かすことができます。
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治験コーディネーターへの転職に必要な資格・有利な資格
病院に勤務する院内治験コーディネーターと、SMOに所属する治験コーディネーターとでは、病院の治験コーディネーターの転職経路がSMOよりも限定される場合が多いため、必然的に応募時点での保有資格が異なってきます。
病院に勤務する院内治験コーディネーターは、求人公募よりも何かしらのつながりがあって治験コーディネーターの担当者になるケースが少なくなく、医療関係者の中でも特に看護師と薬剤師の資格保有者が多い傾向にあります。
一方、SMOの治験コーディネーターの保有資格に関してはさまざまで、看護師資格の保有者が占める割合が多い会社や、臨床検査技師資格保有者に強い企業など、会社によって異なるようです。
応募したいと思う会社があれば事前に調べておくとよいでしょう。
しかしながら、無資格の治験コーディネーターが全くいないわけではありませんし、採用が皆無というわけでもありません。
医療系の資格がないから治験コーディネーターはできないと諦める必要はありません。
治験コーディネーターへの転職に役立つ職務経験は?
医療系資格にもいろいろな種類がありますが、2006年に実施された「治験を実施する人材に関する現状調査班 報告書」では、治験コーディネーターの前職は半数が看護師で、以下、薬剤師、臨床検査技師、臨床心理士などの医療従事者出身が続きました。
前述のように治験コーディネーターは治験に参加する患者さんと直接関わり、治験の始まりから終わりまでの間、サポートする役割を担います。
スケジュールの調整、検査や診察への同席や服薬状況の確認など、患者さんにさまざま配慮しながら治験のプロジェクトが進捗・質ともにうまく進むようサポートすることが求められます。
患者さん自身も安心してサポートやフォローを受けやすいという観点から、医療の知識をもち、さらに臨床経験もある看護師が治験コーディネーターに最適といわれることが多いようです。
そのほか、薬学の知識が豊富で新薬や治験に対する理解があり、治験実施医療機関の薬剤師との調整に強みがある点で薬剤師資格が、検査値の知識があって検査結果の変動や異常を見つけやすい点で臨床検査技師が、それぞれ有利な資格であるといえるでしょう。
治験コーディネーターへの転職面接で気をつけるべきことは?
病院とSMOでは採用の基準が違うともいわれています。
採用の基準に関しては、病院の院内治験コーディネーターのほうが資格や入職経路を限定しているところが多いため、やや厳しいかもしれません。
SMOも少し前までは中途採用では医療資格保有者に限定して人材を募っており、看護師や薬剤師などの医療従事者出身者がほとんどでしたが、今では医療資格がなくても治験コーディネーターとして働いている人もめずらしくありません。
治験コーディネーターはその業務の重要性から、もちろん持っている資格や前職での経験も有利に評価されますが、本人のコミュニケーション力や調整力、協調できる適性なども十分に重要視されます。
そういった意味では、社会人として受ける転職の面接では、想像以上に立ち居振る舞いやビジネスマナーを厳しく見られています。
社会人として最低限のマナーができていることはどの業種に転職するとしても当然ではありますが、患者さんと治験という重要なプロジェクトを通してやり取りができる人物かどうかをしっかり見られていると思って間違いありません。
治験コーディネーターに転職可能な年齢は何歳くらいまで?
治験コーディネーターの転職可能な年齢については、企業側がどのような治験案件を受け持たせたいと考えているか、またどのような年齢層の人材をイメージしているかなどによって左右されます。
未経験の場合、中途採用で有力なのは30代であるといって差し支えないでしょう。
経験者の枠でない場合は、やはり40歳を過ぎると採用される確率が低くなる傾向にあるようです。
実際に働いている治験コーディネーターの年齢層としては、30代~40代が最も多いようですが、病院の治験コーディネーターは院内の看護職の人や薬剤部から人事異動で配属される場合も少なくないため、経験豊富なさまざまな年齢層の人材が配属される傾向にあります。
未経験から治験コーディネーターの転職での志望動機
治験コーディネーターは、求められる必要な資格や学歴などがとくにないといえる職種ではありますが、転職の場合は即戦力になるスキルを持った医療業界経験者が優遇される傾向にあります。
治験コーディネーターの転職での志望動機はさまざまですが、「看護という医療現場とはまったく違った医療環境に身を置き、患者さんを助ける仕事がしたい」という理由や、「治験のサポートをした経験があり、興味を持ち治験コーディネーターを志望した」という理由などがよく聞かれます。
現場で活躍する治験コーディネーターに求められるのは、人と接するコミュニケーションスキルが優れていること、調整力があってリーダーシップが取れること、重要な書類整理や煩雑な情報などの整理整頓が得意であること、誠実である人などです。
面接担当者に、治験コーディネーターとして自信が求められる人材であることをアピールしましょう。