シェフの需要、現状と将来性

シェフの現状

時代が成熟するにつれて、食にまつわる仕事が多様化してきました。

少子高齢化による高齢者の食生活のサポートや、ファストフードからスローフードへの意識の変化、食の偽装化における安全・安心への関心の高まりなどの変化が見られ、単純に食べられるものを提供するという時代は終わりつつあります。

こうしたなか、シェフにとって大切なことは、どういった食を提供するか、コンセプトや目的をしっかりと考えることです。

たとえば、食材の産地や品質にとことんこだわった料理や、おいしくてヘルシーな高齢者向けのメニュー、農家をレストラン形式にしたスローフードレストランなど、これからは時代の変化を敏感にとらえた料理や、オリジナリティのある店舗の展開が必要になってきています。

これだけ飲食店があふれているなかで、多くの人に認めてもらえる料理を作り、店を繁盛させるのは決して簡単なことではありません。

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シェフの需要

 

一定の求人が常にある

外食産業は全体的にはやや減少傾向にあるものの、レストランは横ばい状態で、変わらず需要はある状況です。

シェフの求人においても、ある求人サイトでは正社員扱いの料理長候補が首都圏エリアだけで700件超あり、シェフの需要は常に一定割合はあると考えてよさそうです。

しかし、飲食店の業態は本格的なレストランから大衆向けの店、またカジュアルな軽食中心のカフェまで多種多様で、就職・転職の難易度もさまざまです。

自分が働きたい雰囲気のお店、求める料理の趣向・味に合うレストランで働くためには、高い技術レベルや知名度が必要になってくることもあります。

一般的に、「一流店」といわれる店ほど、求められるスキルは高いものとなります。

世界からの観光客の増加

近年の日本は、海外からの観光客を増やす取り組みに力を入れています。

観光立国になるために、ハイクラスのホテル開業も続いています。

それに合わせて、世界の美食を味わってきた富裕層の舌を満足させることができるシェフの需要も大きくなっています。

シェフの将来性

美味しさ以外の付加価値をつける必要性

近年、食の安心・安全や食育が人々の大きな関心になっています。

また「スローフード」といった新しい食の提供の仕方も登場し、おいしいのは当然ながら、どういった食を提供するかが重要視される時代へと変わってきています。

これから先の時代にシェフとして活躍するには、消費者からのさまざまな食に対するニーズをとらえて、オリジナリティも大切にしながら、「おいしい」だけではない価値のあるメニューを作る必要があるといえるでしょう。

昨今では、業務用の調理機能搭載AIの開発が進んでいます。

チェーン店を中心に、簡単な調理は機械が自動で行う店も増えてきました。

生き残り、お客さまから選ばれるシェフになるためには、自分にしかない個性や特色をもつことが必要です。

中食市場のニーズの高まり

女性の社会進出や、少子化・高齢化・少人数世帯の増加といった社会変化を背景に、中食(惣菜)市場は著しい成長をとげています。

いまや市場規模は10兆円の大台に乗っていて、今後その市場は拡大すると予想されています。

いままで中食市場とは無縁だったホテルなども、ホテル独自の惣菜などを販売するケースがでてきました。

なかには、有名シェフ監修の料理キットなどを販売するレストランも出てきています。

今後はお客さまに店にきてもらうのではなく、お客さまの家で美味しい料理を食べてもらうためのサービス拡大に力を入れる企業が増加していく可能性があります。

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シェフの今後の活躍の場

出張シェフサービス

シェフの新しい働き方のひとつに「出張シェフサービス」があります。

出張シェフサービスは、シェフ自らがお客さまの家にいき、家庭のキッチンで本格料理を作り、提供するサービスです。

お客さまの趣向に合わせたメニュー構成を考え、調理もシェフ自らが行うことが多いです。

今までのシェフはレストランやホテルに勤務するか、自分の店を開いて独立するかというように店舗にお客さまに来てもらうという働き方がすべてでした。

出張シェフサービスの認知度が上がり、シェフとお客さまを繋げるサービスも拡充するなかで、店舗に依存しない働き方を選択するシェフも増えてきています。

フリーのシェフとして働いたり、自分の店を経営しながら空いている時間に出張シェフになったりと、その働き方が変化しています。

オーベルジュ

オーベルジュとは、大自然に囲まれた郊外のレストランで、シェフがその土地の食材を使って腕を振るう宿泊施設を備えたレストランです。

一般的なホテルと異なるのは、宿泊が目的でなく、食事が目的になることです。

つまり、お客さまはオーナーであるシェフの料理を味わうために訪問します。

シェフとお客さまの距離も近く、ゆったりとお客さまとの会話を楽しむことも多いです。

地域とのつながりも深く、地域振興に役立つケースも多いために、オーベルジュを開業するシェフも増えてきています。