シェフの修業・下積み時代の生活とは?どんなことを学ぶ?

料理人には下積みが必要

シェフや、その前段階であるコックのような料理人になるためには、資格も学歴も必要ありません。

最近は調理系の専門学校や短大を卒業してから就職するケースが多いとはいえ、中卒や高卒で就職し、現場で腕を磨きながら一流の料理人となる人も大勢います。

調理系の学校に通えば、包丁さばきの基本・調理器具の扱い方・コース料理の構成方法など、西洋料理に関する基礎知識や基礎技術を効率よく学べます。

しかし、いくら学校を卒業したからといって、現場ですぐ一人前のコックとして扱われることはありません。

料理の世界は昔も今も「修業」が必要であり、新人は必ず下積みを経験しなくてはならないのです。

現在どれだけ名の知れた一流シェフであっても、過去には下積みの日々を送っています。

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料理人の下積みの方法

レストラン・ホテルに勤務する人が多い

料理人を目指す人は、まずレストランやホテルに就職することが多いです。

厨房に入り、先輩コックの働きぶりを見ながら、体で知識・技術を身につけていくことになります。

店に入ったからといってすぐに包丁が持てるわけではなく、最初は仕事を覚えることと、環境に慣れるために「雑用」からスタートします。

ここでいう雑用とは、掃除や皿洗い、片付け、野菜の皮むきといった、いわば誰でもできる仕事です。

しかし、この仕事をおろそかにするようだと、容赦なく先輩に叱られます。

こういった業務を2~3年ほど続けると、徐々に包丁を握れるようになり、野菜のカットやソースづくり、盛り付けなど、難しい仕事を任されるようになっていきます。

下積みといわれる期間は10年になることもありますが、現場で働きながら日々レベルアップする意識を持ち続けることが重要です。

お客さまの生の声や、厨房でのきびきびとした動き方、現場で生かせる調理の工夫、料理のトレンドなど、教科書には書かれていないことが学べるのも下積み期間です。

海外修業に出る人もいる

西洋料理の本場であるフランスなどのヨーロッパに渡り、現地の店でスキルを磨く方法もあります。

日本で活躍している一流のシェフのなかには、海外の三つ星や二つ星の有名レストランに勤め、向こうで認められて帰国するケースがありますが、それはまさに修業そのものです。

たとえば20代に単身でフランスに渡り、店に直談判して厨房に入らせてもらい、厳しい修業を乗り越えてスーシェフを任され、箔をつけて日本に帰国して店を開く、といったキャリアをたどっている人もいます。

近年、ミシュランで紹介される日本人シェフは増加傾向にあり、日本人シェフの育成に興味を持っている名店も増えています。

ただし、海外では調理技術を学ぶだけでなく、現地の人たちとコミュニケーションをとったり、慣れない生活環境になじんだりする努力も必要です。

下積み時代を過ごすうえで大切なこと

 

どんな厳しさも乗り越える覚悟

下積み期間はひとことでいうと「心身ともに厳しい、大変な時間」となります。

先輩方より早く出勤して掃除や下準備をし、勤務時間中は座る暇もなく働き、誰よりも遅く退勤するのが、新人コックです。

働くというよりは修業に近いため、残業代は出ないことが多く、給料も拘束時間に見合わない安さです。

また、厨房は常に忙しくピリピリとした雰囲気があり、怒号が飛びかったり、ときに理不尽な指導もあったりと、上下関係に悩まされる人もいます。

下積み期間を乗り越えるには、「忍耐力」と「シェフに絶対になりたい」という熱意が欠かせません。

自分で見て学ぶ姿勢が大切

料理人の下積みは、先輩シェフが手取り足取り丁寧に教えてくれることは通常ありません。

仕事を横で見ながら覚えていくスタイルのため、自分から学ぼうという姿勢が強く問われます。

最初に任せられることは皿洗いや掃除ばかりであり、包丁も握れない生活に嫌気がさしてしまい、すぐに辞めていく人も多い世界です。

とはいえ、先輩たちが仕事をしやすいように整理整頓をして野菜の皮をむいておく、衛生を管理するためにしっかり清掃を行うなどの業務は、どれをとっても料理につながる大切なことです。

コックやシェフの仕事には、お客さまから見えない地味な仕事がたくさん隠れています。

そうした地味な努力をきちんとできる人でないと、伸びない世界でもあります。

そうした「本質」を学ぶ時間としても、修業の時間は大切なものなのです。