ケースワーカーの仕事・役割とは？ わかりやすく仕事内容を紹介
本記事では、ケースワーカーの業務内容やその役割、勤務先の特徴などについて説明します。
ケースワーカーの仕事とは
ケースワーカーは、おもに地域の福祉事務所で勤務し、生活に困窮する人々を支援する専門職です。
福祉事務所とは、都道府県および市に設置が義務付けられている行政機関であり、そこで働くケースワーカーは、各自治体の地方公務員として採用されます。
ケースワーカーの元に寄せられる相談内容は、以下のように多岐にわたります。
- 就労の難しさなどによる金銭的な問題（生活保護に関するもの）
- 健康に関する問題
- 高齢者や病気を抱えている人の介護について
- 不登校の児童についての悩み など
ケースワーカーは、日常生活を送るうえで精神的、肉体的、社会的に困難を抱える地域の人々の相談にのります。
そして、内容に応じて医師をはじめとする医療関係者、などと連携をとりながら必要な援助を行います。
20代で正社員への就職・転職
ケースワーカーの業務の内容
ケースワーカーが行うケースワークは、日本語では「個別援助技術」と訳されます。
これは1人で解決することが困難な問題・課題を抱える対象者が、主体的に生活できるように支援・援助を行う福祉的な援助技術のことを指します。
具体的には、生活保護受給の判定・家庭訪問や面接などを通した家庭環境や状況の調査・就労指導などがあります。
ケースワーカーの役割
ケースワーカーの役割は、さまざまな事情を抱え生活保護や社会福祉制度を利用する人の自立を促すことです。
ケースワーカーの役割について、「生活保護受給者の代わりに世話をする人」と勘違いされることもありますが、本人または家族がしなければいけないことにケースワーカーが手を出すことは「越権行為」として禁じられています。
ケースワーカーが働く福祉事務所はあくまでも人々の相談窓口です。
ケースワーカーからの提案を受け、その後どのように生きるかは、相談者本人にゆだねられています。
20代で正社員への就職・転職
ケースワーカーの仕事の流れ
-
１．相談の受付
ケースワーカーの業務は、面接担当のケースワーカーが対象者の相談にのることから始まります。 -
２．支援内容の決定・手続き
それぞれの相談内容によって必要な援助の種類や方法を決定します。また、具体的な手続きを行います。 -
３．家庭訪問・面接
「地区担当員」のケースワーカーが家庭訪問や面接を行い、収入や住宅事情などの生活実態を把握。さらに具体的な援助の方針を考えます。 -
４．定期的な家庭訪問・面談など
援助が開始されてからは家庭訪問や面談などを継続して行います。生活の状況を把握したり必要に応じて援助内容の変更手続きを行ったりしながら、対象者への支援を継続します。
ケースワーカーの勤務先の種類・活躍の場
ケースワーカーは、主に行政機関である福祉事務所、児童相談所、役所の社会福祉課などを中心に活躍しています。
そもそもケースワーカーという呼び方は、基本的には行政機関に勤めている場合に使われるものです。
同じように生活に困っている人々の相談にのる職業については、病院などの医療機関で勤めるときは「ソーシャルワーカー」や「メディカルソーシャルワーカー」、民間企業では「生活相談員」といった名称で呼ばれることがあります。
福祉事務所
ケースワーカーは、おもに地方自治体が設置する「福祉事務所」で勤務します。
福祉事務所は都道府県や市には設置が義務付けられており、町村では任意で設置することが認められています。
福祉事務所のケースワーカーは、基本的には「福祉職」として採用されますが、「一般職」から配属される場合もあります。
福祉事務所のケースワーカーは、生活保護受給に関することをはじめ、さまざまな生活不安・悩みについての相談を受け、各関連機関とも連携しながら人々の暮らしを支えます。
ケースワーカー1人あたりの担当は、80世帯が目安とされています。
ただし、近年は生活保護の需給者が増えていることや人材の確保が難しいことから、1人あたり100世帯以上を担当している人も珍しくありません。
病院
病院に勤務し、人々の相談にのる人は「ソーシャルワーカー」と呼ばれることが一般的です。
病院のソーシャルワーカーは、主に通院・入院している患者から医療や介護の相談を受けます。
病院の場合、患者本人だけでなくその保護者や家族などからもさまざまな相談が寄せられるため、専門知識を持つ医師やケアマネジャーなどと相談をしながら適切な社会福祉制度やサービスを提案します。
そのほかの場所
児童に関する施設
児童相談所や養護施設などの児童やその保護者に関する施設で働き、児童福祉に関する調査業務を行います。
場合によっては児童を保護するかどうかの判定を行います。
高齢者や介護に関する施設
老人福祉施設などの高齢者や介護を受ける人に関する施設で働き、医療制度や介護サービスに関する相談に乗ったり、アドバイスを行ったりします。
精神障害者に関する施設
精神保健福祉センターなど精神障害を抱える人が利用する施設で働き、生活に関する相談や指導を行います。
また知識の普及や調査研究に携わることもあります。
女性に関する施設
女性センターなど女性に関する施設で働き、女性特有のさまざまな問題や、DV、売春などの相談を受けます。
こうした公的機関で働く場合は、福祉事務所と同様に地方公務員として働きます。
ケースワーカーと関連した職業
ケースワーカーと同じような仕事に「ソーシャルワーカー」があります。
ソーシャルワーカーとは、もともと社会福祉の仕事に携わる人の総称でした。
しかし、近年は国家資格である「社会福祉士」を持つ人のことを指すのが一般的です。
ソーシャルワーカーは、病院で相談業務に携わる人は「メディカルソーシャルワーカー」、精神に障害を抱える人の相談援助を行う人は「精神科ソーシャルワーカー」などさまざまな呼称があります。
そして、公的機関で働くケースワーカーもソーシャルワーカーの一部だといえます。
実際の業務はケースワーカーもソーシャルワーカーも近しいところがあり、両者の線引きは曖昧で、場合によっては民間の病院や施設で相談員として働く人もケースワーカーと呼ばれることがあります。
ケースワーカーと限定して呼ぶ場合は、公務員として福祉事務所で働き、生活保護に関係する仕事をしている人のことを指すことが一般的です。
「ケースワーカーの仕事内容・役割」まとめ
ケースワーカーは日常生活を送るうえで精神的、肉体的、社会的に困難を抱える人々の相談にのり、医師をはじめとする医療関係者などと連携をとりながら必要な援助をする仕事です。
ケースワーカーが行うケースワークは、日本語では「個別援助技術」と訳されます。
ケースワーカーの役割は、さまざまな事情を抱え生活保護や社会福祉制度を利用する人の自立を促すことです。
ケースワーカーのほとんどは、各都道府県や市などに設置される福祉事務所で、地方公務員として勤務しています。
