バイヤーになるには? なるまでのルートを解説
バイヤーになるには
まず企業に入社
バイヤーはアパレル、スーパー、百貨店など小売業界で活躍する職種です。
アパレル業界で働くにしても、百貨店や量販店で働くにしても、未経験者のバイヤーを募集しているところは少なく、就職していきなりバイヤーの仕事を任せてもらえるということは基本的にありません。
新卒でバイヤーを目指す場合、まずは活躍したい業界を決め、企業に入社する必要があります。
バイヤーになるために必須となる資格や学歴はありません。
ただし、服や靴のセレクトショップで働くバイヤーの場合は、ファッションセンスが欠かせません。
このため、服飾について学べる専門学校で勉強した後、アパレル関係の企業に就職するという人が多くいます。
ただし企業によっては、バイヤーの採用を「大学卒業者」に限定しているところもあり、注意する必要があります。
いずれにしても、バイヤーは企業に所属して働くのが一般的で、フリーランスでバイヤーをするようなケースは非常にまれです。
現場経験は必須
バイヤーは店に並べる商品を買いつける職業ですから、店の今後の売り上げを左右する大事な存在です。
そのため、経験者を除いては就職してすぐにバイヤー職につけることはまずありません。
一般的には、入社後はまず店頭で接客をしながら、店の客層を把握したり売れ筋の商品を分析したりして修行を積むところからスタートします。
そこで力がついてきたら、少しずつ商品の買いつけを任せてもらえるようになり、どんな商品が売れるのかということや、ファッションの商品知識、売上管理などについてのノウハウを学んでいきます。
業界や企業にもよりますが一人前のバイヤーとして買い付けを任せられるまでに、長い下積み期間が必要となるといえます。
20代で正社員への就職・転職
バイヤーの資格・難易度
定番資格は販売士資格
バイヤーに必須の資格はないうえ、資格以上に経験やセンスが求められます。
しかし直接的ではないものの、持っていると役立つ資格というものはいくつか存在します。
たとえば、「販売士」の資格は、日本商工会議所や全国商工会連合会が行っている「販売士検定試験」に合格した人が取得でき、流通業界で働く人にとっては定番とも言える資格です。
マーケティングや販売管理の知識を問う試験であり、商品売買のプロであるバイヤーにとって取得しておいて損はない資格です。
アパレル業界におすすめの資格
アパレル業界でファッションバイヤーとして活躍したいと考えている場合は、「ファッションビジネス能力検定」や「ファッション販売能力検定」という検定を受けておくのもおすすめです。
参考:ファッションビジネス能力検定
参考:ファッション販売能力検定
いずれもファッション産業の知識から接客のポイント、顧客管理と販売促進の技術などを筆記試験で問われるもので、検定に合格すれば、ファッションビジネスに関する知識を持っていることを証明する手段になります。
語学系の資格
企業によっては洋服、雑貨、商品の買い付けで、韓国、中国、アメリカ、ヨーロッパなど海外に行くこともあります。
海外で買い付けを行う場合、商談は英語や中国語など現地の言葉がつかわれます。
そのためバイヤーにも語学力が必要になってきています。
「TOEIC」や「英検(実用英語検定)」を受験しながら語学力を磨くことは、世界の市場で勝負ができるバイヤーになるためにはとても重要なことです。
バイヤーになるための学校の種類
専門学校
バイヤーになるために学歴は必ずしも必要ではありません。
しかし専門性が高い商品を扱う場合、専門学校で学び、入社前に知識を得ておくことで就職が有利に働くこともあります。
たとえばファッションバイヤーになることを目指す場合、服飾の専門学校で業界の基礎知識を得て、ファッションについて勉強してから就職する人も少なからずいます。
学費は平均で100万円~200万円ほどで、就職サポートに力をいれるところも多いです。
なお専門学校を卒業して入社したとしても、バイヤーに確実になれるということではなく、入社後、現場経験を通じて実力をつけていく必要があります。
大学
百貨店や大手企業では、将来のバイヤー候補となる人材の採用を実質的に大学卒業者に限定していることも多いです。
バイヤーは将来的に企業の売上を担う重要なポジションであり、幹部候補となるため「総合職」として採用されることも多いです。
人気企業では有名大学、難関大学の学生が殺到するため、ある程度高い学歴があったほうが就職で不利になりにくいという一面もあります。
バイヤーになるためにどの学部が有利ということはとくにありませんが、経済のしくみや経営に関する知識はあるに越したことはありません。
こうした知識を身につけるのであれば、商学部や経済学部で学ぶとよいでしょう。
あるいは、国際的な取引をするバイヤーを目指すのならば、語学力が身につく学部に行くというのもひとつの選択です。
バイヤーになるためにはどんな学校に行けばいい?(大学・専門学校)
20代で正社員への就職・転職
バイヤーに向いている人
情報収集が得意
バイヤーとして成功するためには情報収集は欠かせません。
マーケティング分析、買い付けを行うにも、事前に情報をもっておかないことには的確な分析・判断ができません。
情報が無数にあふれる現代社会では、自分が必要とする情報を見極め探し出す能力が大切です。
流行に敏感
バイヤーは「流行を作り出す存在」ともいわれます。
バイヤーが「これから流行りそうな商品」を買い付け、それがショップに並び、インターネットやテレビで紹介されることで今まで注目されていなかったものが人気商品になることも珍しくありません。
いま流行しているものに飛びつき、仕入れるだけでは、一般の消費者レベルで、バイヤーとはいえません。
バイヤーには一歩先を見据え、時代を読んでいく能力が求められます。
度胸がある人
「この商品はこれから人気が出る」と思い、入荷しても、実際には売れ行きが悪いということもよくあります。
いくら情報を集め、マーケティング分析をしたとしても、売れるか売れないかは大きな勝負であり、売れないリスクを常に抱えることになります。
商談には多額のお金が動くため、プレッシャーも大きいです。
バイヤーにはリスクを恐れず、買い付けの判断ができる度胸がいるといえます。
バイヤーのキャリアプラン・キャリアパス
現場経験は不可欠
バイヤーを目指して企業に入社しても、未経験の人がバイヤー業務につけることは珍しいです。
たとえ専門学校で体系的な知識や一通りの技術を学んだとしても、現場経験は不可欠です。
たとえばアパレルの場合、店舗で販売員として接客からスタートするのが一般的です。
販売員として働くと、お客さまのニーズを肌で感じられるだけでなく、接客や売上管理の基本を学べ、バイヤーになってからも生かせるスキルが身につきます。
市場の感覚や商品の知識を習得し、ブランドの特徴を理解するには、販売員としての経験が欠かせません。
現場で実績をだし、店長などを経て、本部業務に携わり、バイヤー職につくケースが多いです。
ただし、なかには販売職と総合職が明確に分かれており、販売員からはバイヤーになれない会社もあります。
就職の際にはバイヤーになるために総合職で入社する必要があるのかを含め、バイヤー登用制度の有無をチェックしておきましょう。
アシスタントバイヤー
最初は先輩バイヤーのアシスタントとしてバイヤー業務を学ぶことが多いです。
アシスタントとはいっても、補助業務だけでなく、実際に商品を仕入れることもあります。
アシスタントバイヤーは定番商品などある程度売れ行きが予想できるものを中心に担当品目を少なくして受け持つことが多いです。
この業務を通じて、在庫量管理、値付け、売り切るというバイヤー能力を身につけていきます。
その後、一人前のバイヤーとして大きな金額を動かしたり、今までに入荷したことがない商品の買い付けを任せられたりします。
バイヤーのキャリアプラン
ベテランバイヤーとなれば、責任も大きくなり、より大きな金額を動かすようになります。
また昇進して直接的なバイヤー業務ではなく、バイヤーを管理する商品部の部長などより幹部的な立場になることも多いです。
またバイヤーはセンスや感性、経験が重視されるため、経験者であれば転職が比較的しやすく、転職してより高い年収を得たいというバイヤーもいます。
さらに積んできた経験や得た知識をもとに、独立してフリーランスのバイヤーとして活躍する人もいます。
最近はオンラインサイトを立ちあげ、自分が選んだものをネット通販として販売する方法も人気です。
バイヤーを目指せる年齢は?
バイヤーになるための年齢の制限などはないものの、バイヤー職は未経験ですぐにつけるわけではありません。
現場経験や本部業務を経験してからバイヤーになるルートが一般的です。
一人前のバイヤーになるまでの期間は企業にもよるため、一概にはいえませんが、百貨店などでは10年以上かかることもあります。
そのため、バイヤーになりたいのであれば、早い段階で、希望する会社に入社しておきましょう。
業界にもよりますが、アパレルなどであれば20代、他の業界でも遅くとも30代までには動きましょう。
バイヤーは女性でもなれる?
バイヤーは業界にもよりますが、男女比でいうと全体的には男性が多い職種です。
しかし最近は女性バイヤーも多く存在していて、とくにアパレル業界のバイヤーは学生時代から目指す人が多い人気の職業です。
女性ならではの感性を生かして活躍できる仕事ともいえます。
最近では女性バイヤーが企画開発した「可愛い」をキーワードにした商品がSNSを中心に人気が出ることもあり、男性バイヤーにはない視点を強みとすることが可能です。
一方、バイヤーは出張や季節によっては残業も多いため、プライベートとの両立に悩む人もいます。
出産、育児などライフプランの変化が大きい女性にとってバイヤーは大変な面もあるのは事実です。
しかし、女性バイヤーの活躍を推進し、女性にとって働きやすい環境や制度を整えている企業もあるため、就職の際には働きやすさという視点でみてみるのもよいでしょう。