弁理士の転職理由・転職状況は?
弁理士が今の職場を辞める理由で多いものは?
弁理士が退職する理由としては、仕事量の多さ・労働時間の長さを苦にするものが多いようです。
近年は、新規出願件数が減少傾向にあるなか、弁理士資格者数は増加し続けており、それが特許事務所間の競争激化と、報酬単価の下落を引き起こしています。
多くの特許事務所は、利益を確保するために人員を削減せざるを得ず、その結果として、弁理士一人当たりの業務負担が重くなってしまっているのが現状です。
ひとりで数多くの案件を抱えた結果、長時間残業や休日出勤が常態化する「ブラック企業」のような職場となり、体力・精神力ともに酷使して弁理士を辞めてしまうケースも見受けられます。
その次に多い退職理由としては、人間関係を原因とするものが挙げられます。
特許事務所は、事務スタッフを含めて数名程度の小規模なところが大半であり、人間関係が閉塞的になりやすいという特徴があります。
代表弁理士と気が合わなかったり、ほかの職員と人間関係を悪化させてしまうと、職場に居づらくなるということもあるようです。
20代で正社員への就職・転職
弁理士の転職で気をつけるべきこと
弁理士の業務はかなり幅広いため、企業の知財部門から特許事務所に移籍するといったように、同じ知的財産業界間での転職であっても、求められる実務スキルが異なる可能性もあります。
たとえば、企業内弁理士として研究部門と共同で製品を開発したり、外部弁理士とやり取りしてきたキャリアがあっても、明細書を作成した経験がなければ、特許事務所では基本的に経験者としてみなされません。
同じように、特許事務所から企業に転職する場合でも、マネージャーとしての管理能力が問われることもあれば、訴訟業務に携わった経験や交渉力が問われることもあります。
したがって、転職にあたっては、転職先の業務内容が具体的にどのようなものであり、どのようなポジションで迎えられるのか、事前にしっかりと確認しておくことが望ましいでしょう。
あらかじめ面接などを通じてすり合わせを行っておかないと、思っていた仕事内容と大きく違ったり、これまでのスキルが生かせないなど、転職が失敗に終わるケースもあります。
弁理士の職務経歴書の書き方のポイント
弁理士の職務経歴書で最も重要となるのは、大学・大学院時代の研究履歴、および前職での業務履歴です。
その際の書き方のポイントとしては、できる限り詳細に記述しつつも、とくに予備知識のない人でも理解できるように、専門的な内容をうまくかみ砕いてわかりやすい文章にまとめるということです。
一般企業に勤める場合なら、他部署の社員や経営陣など、特許事務所に勤める場合なら特許庁の担当審査官など、難解な内容を第三者に対して説明し、理解を得なければならないシーンは多々あります。
このため、弁理士には非常に高いレベルの「伝える力」が求められ、採用面接においても、コミュニケーション能力はきわめて重要視されます。
専門用語を羅列する、難解な言い回しを多用するなど、ひとりよがりな職務経歴書とならないよう、表現方法には細心の気を配りましょう。
20代で正社員への就職・転職
他の業界への転職はある?
弁理士は、資格取得するために大きな労力を払わなければならない関係上、資格を使える知財業界内での転職がほとんどですが、なかには他業界へ出ていく人もいるようです。
比較的多くみられるのは、一般企業の営業職で、さまざまな業界・さまざまな職種の人を相手にしてきたコミュニケーション能力と幅広い知識が、営業マンとしての業務に生きることも少なくありません。
業界としては、数多くの商品知識が求められるメーカーや商社などが多く、理系知識がより役立つ「技術営業職」としての採用もあります。
また、弁理士のように高度なデスクワークを手掛けたいけれど残業はあまりしたくないという人については、外資系企業の事務職に転職するという道もあります。
元弁理士として国際出願業務に携わった経験があれば、高い書類作成能力とビジネスレベルの語学力を備えた人材であると認められ、比較的スムーズに転職できるでしょう。
転職先はどのように探せばいい?
弁理士は、近年資格保有者数が増加傾向にあるとはいえ、全国で1万人ほどしかいませんので、資格さえあれば、転職先を見つけることはさほど難しくありません。
日本弁理士会のホームページから求人を探す方法もあれば、一般の求人サイトを利用する方法、法律系資格専門の求人サイトを利用する方法もあります。
もしも自身のキャリアを生かせる先がどこなのか今一つわからないなど、転職先を絞り込めないでいるなら、転職エージェントに登録してスキルを診断してもらったり、スカウトを待つという方法もおすすめです。