航空整備士の資格試験の難易度・合格率

航空整備士の資格とは

資格の種類・概要

航空整備士の資格試験の正式名称は、国土交通省が実施する国家試験「航空従事者技能証明」です。

航空従事者技能証明は、航空現場で働く人向けに用意された国家試験であり、この試験に合格すると、国家資格となる技術証明(ライセンス)が発行されます。

航空従事者技能証明は、操縦士、通信士、航空整備士など、航空職種ごとに用意されていますが、うち航空整備士向けの資格としては次の5つが挙げられます。

<航空従事者技能証明の種類(航空整備士向け)>
・一等航空整備士:大型機(旅客機や大型ヘリコプターなど)の整備全般に携われる。一等航空運航整備士としての業務も行える。
・一等航空運航整備士:大型機における「ライン整備」などの運航に関わる軽微な整備に携われる。
・二等航空整備士:小~中型機(小型の飛行機やヘリコプターなど)の整備全般に携われる。二等航空運航整備士としての業務も行える。
・二等航空運航整備士:小~中型機における「ライン整備」などの運航に関わる軽微な整備に携われる。
・航空工場整備士:航空機の部品の整備を行う際に必要となる資格。

一等航空整備士と一等航空運航整備士は、ジャンボジェット機などの大型機の整備・点検を行え、二等航空整備士と二等航空運航整備士は、ヘリコプター・セスナなどの小型機の整備・点検を行える資格です。

「航空整備士」と「航空運航整備士」の違いは整備範囲で、航空整備士が整備全般を行えるのに対して、航空運行整備士はライン整備などの軽微な整備に限定されてきます。

資格の必要性

航空法でも定められている通り、航空機の整備を行うには、国家試験に合格し航空整備士の資格を取得する必要があります。

雑用的な補助作業であれば資格がなくても行える場合もありますが、部品交換や修理など本格的な整備業務に携わるには、その業務に応じた国家資格が必要とされます。

採用時や入社時の段階では必ずしも資格が求められるわけではありませんが、航空整備士を目指すほとんどの人が養成施設に入学し、在学中に「二等航空運航整備士」や「一等航空整備士」資格を取得したうえで整備会社へ就職しています。

未資格で入社した場合は、現場での整備経験を積みつつ資格勉強を進め、できる限り早めに国家試験に合格することが求められます。

航空整備士になるには? どんな資格が必要?

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航空整備士試験の受験資格

受験資格や条件について

航空整備士の国家試験は「受験資格」を満たした人のみが受験できる決まりとなっています。

資格別の受験資格は以下の通りです。

<資格別の受験資格>
・一等航空整備士:整備経歴4年以上、年齢20歳以上
・一等航空運航整備士:整備経歴2年以上、年齢18歳以上
・二等航空整備士:整備経歴3年以上、年齢19歳以上
・二等航空運航整備士:整備経歴2年以上、年齢18歳以上
・航空工場整備士:整備経歴2年以上、年齢18歳以上

このように、受験資格を得るには、一定の整備経歴と年齢が必要とされます。

たとえば、18歳で高校卒業後、無資格の状態で航空会社や航空整備会社に就職した場合、そこで整備経歴を4年間積めば最上位の「一等航空整備士」の受験資格を得られます。

学校に通うと受験資格が緩和される

国土交通大臣により「指定航空従事者養成施設」や「航空機整備訓練課程」として指定されている大学や専門学校で学ぶと受験資格が緩和され、より早くに国家試験の受験が可能です。

<学校の種類と受験資格への影響>
指定航空従事者養成施設:学業が整備経歴として認められる。かつ実地試験が免除となる。
航空機整備訓練課程:学業が整備経歴として認められる。
一般的な4年制大学の理工系学部など:学業は整備経歴として認められない。

このように、指定航空従事者養成施設や航空機整備訓練課程で学べば現場での実務経験を積まずとも、学業が整備経歴としてカウントされるため、在学中に国家試験を受験することが可能です。

とくに指定航空従事者養成施設であれば、「実地試験免除」という大きな恩恵も受けることができるため、より合格しやすくなるでしょう。

航空整備士試験の難易度・勉強時間

試験の仕組み

航空整備士試験(航空従事者技能証明)は、学科試験+実地試験の2段構成となっており、学科試験に合格すると実地試験に進めます。

学科試験は「科目合格制度」を採用しており、一度にすべての科目に合格する必要はありません。

学科試験は1年間に6回ほど開催され、一部の科目に合格してから1年以内に行われる試験を通じて全体として全科目に合格すれば、学科試験の合格と認められます。

合格点としては、科目ごとに100点満点中70点以上です。

実地試験は学科試験合格者に対して、合格通知日から2年以内に受験者の受験希 望日等を考慮して試験が実施されます。

なお前述もしたように「指定航空従事者養成施設」にて学ぶことで、実地試験は免除することも可能です。

航空整備士試験の合格率

航空整備士試験の合格率については、国土交通省側が非公開としており、残念ながら正確な数値は確認できません。

とはいえ、「指定航空従事者養成施設」などの学校では資格取得を前提としたカリキュラムが組まれているため、毎年100%の合格率を叩き出しているところがほとんどです。

航空整備士試験の難易度

航空整備士試験では、学科試験は科目合格制度を採用していること、実地試験は免除も可能であることから、計画的に進めれば合格しやすい試験だといえます。

ただし、試験問題は難解であり、航空技術に関する高度な専門知識が問われます。

とくに最上位の「一等航空整備士」の難易度は非常に高いといわれています。

一等航空整備士試験は、整備会社に就職してから受験する人も多いですが、たとえ航空整備士としての実務経験があったとしても簡単に合格できるものではありません。

試験が近づくと、仕事から帰宅後、毎日のように何時間も机に向かうのが航空整備士の世界では当たり前となっているようです。

参考:国土交通省 航空従事者関連