トリマーを目指す人へのメッセージ(体験談)
運命の転機
私がトリマーの専門学校に通いはじめたのは、社会人として一般企業に就職し、5年を過ぎた頃でした。
周囲には若い女性が多い中、私と似た経歴を持った方やペットショップのオーナーの奥様、また数名の男性も一緒に学んでいました。
それぞれが目標を持っていたこともあり、年齢や性別を越えたものがあることを知り、むしろお互いの経験を共有しながら意識を高め合っていたような気がします。
資格という名のお守り
午前中は実習、午後は講義、夕方からはバイトという忙しかった2年間の月日は流れ、当時、市内で一番忙しいと噂のペットショップに就職が決まりました。
初日早々、私はプードルのカットを任され、噂通りの回転率に圧倒されそうになったことを今でも覚えています。
その傍らで、黙々とシャンプーのみ担当されていた方が、後に私の先輩であることを知ることとなります。
ある日、私は別の用事でオーナーから呼ばれました。
その時に「シャンプー係さんは資格がないからカットは任せられないの」と告げられました。
失礼かと思いながらもオーナーに事情を尋ねると、私と同じトリマー校を半年あまり通った後、挫折し退校されたと聞きました。
自分のことで精一杯だった当時を思い起こすと、入学時に毎日のように顔を合わせ挨拶を交わしていたクラスメートが、2年の時を得て徐々に少なくなっていました。
人は目標と強い志しを抱いているか否かで道は大きく分かれ、違う一方の道に進んでしまうと、先の見えにくい迷路をさまよってしまうこともあるかもしれません。
私自身も遠回りしてやっと進むべき道の入り口にたどり着いた人間の一人です。
どのような道を選択されても、どうか悔いの残らない人生を歩んでください。
シビアな事情
日本では犬は「物」として位置づけられ、その関連性は定かではありませんが、動物関連の資格はほぼ民間資格です。
更新の度に更新料が発生することもあり、幾つかの資格が重なると低所得者としては常に痛い出費が伴います。
しかし、期限切れなどで一度放棄してしまいますと失効となりますので、注意が必要です。
トリマーの仕事は、決してきれいな仕事ではありません。
中には50キロを超える大型犬や、しつけをされていない犬も多く来ますので、体力勝負なところもあります。
また、私の場合なのですが、恵まれた事務職からすると半分程度のお給料でした。
トリマーを一本で続けていくためには「腕を磨き、指名されるようになったらオーナーに交渉してみる」あるいは「思い切って独立する」などのことも視野に置きながら、情報収集しておくとよいかと思います。
そんなシビアな面もある世界ですが、物やお金では代えられない大切なものを与えてくれる仕事だと私は思っています。