哲学を学んだ人の就職先は? どんな仕事に生かせる?

世間では、哲学を学んでも就職が難しい…」と言われることがあります。

たしかに、哲学を学んで身につく知識の性質は特殊かもしれませんが、哲学の思想やものの考え方は、実はさまざまな場面で生かすことができるのです。

この記事では、哲学者の就職先や活躍できる場所、また哲学の生かし方を紹介します。

哲学者の代表的な就職先・働き方

まずは、哲学者といわれる人たちが、どのような働き方をしているのかを見ていきましょう。

大学・大学院の教授や助教授、非常勤講師

哲学者の多くは、大学や大学院といった高等教育機関に従事します。

多くの人は、常勤の教授や助教授、講師として、研究活動を続けながら、学生への教育活動を通じて安定的に勤務することを目指しています。

しかしながら、その安定したポストは極めて少なく、非常勤講師として教鞭を取っている人も少なくありません。

すぐに大きく評価される環境ではないため、地道な努力やコツコツと実績を積み上げていく忍耐力が必要といえます。

中学・高校の教員

哲学者が大学や大学院で教員免許を取得している場合、中学や高校の社会科の教員として活躍することができます。

哲学を専攻している場合、専門は「倫理」になりますが、それに限らず、歴史や地理、公民、政治経済を教えることになります。

ただし、中学や高校の教員になると、校務分掌を受け持つなど業務内容は多岐にわたり、大学や大学院のように自由に研究できる時間は少ないと考えたほうがよいでしょう。

文筆家

哲学者としてある程度の実績を積み、評価されるようになってくると、自分の書籍を出版し、その売り上げで生活をする人もいます。

ただし、執筆のみで生計を立てている人はほとんどおらず、教授や教員など何かしらの職業を持ちながら執筆活動を行うことになります。

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哲学の知識を活用できる場所はある?

ここからは、具体的な職業名にこだわらず、哲学の知識を社会でどのように活用できるのかについて紹介します。

哲学は思考力を高める

哲学は、実際の就職・仕事ではどのように役立つのか不安に思う人も多いでしょう。

実際、大学の哲学科を卒業して哲学科になる人はごく一部で、多くの学生は一般企業や公務員等に就職しています。

哲学は人間の本質を問う学問のため、問題発見能力や問題解決能力、さらに思考力といった豊かな人間性をはぐくむことができます。

さらに、世界の多種多様な思想を学ぶことから、国際文化や国際的な感覚に優れ、海外で活躍する人もいます。

哲学が直接就職に生きるということは少ないですが、哲学に取り組む際に学んだ視点や考え方は、さまざまな場所で必要とされています。

アイデアや発想を生かせる分野

哲学とは、そもそも物事を深く探究する学問、つまり「考える」学問です。

考えた結果、哲学で培われた思想から生まれたアイデアや発想をさまざまな場所で生かしている人は実は多く存在しています。

独創的な視点、独自の物事の切り口をもっていることから、クリエイティブな職種には哲学的思考に長けた人が就く傾向があります。

また、芸術家や宗教家もある意味では哲学者であるということができます。

こうした職業では、独自の考え方や生き方そのものに惹かれる人も多く、カリスマ的な人気を誇る人も少なくありません。

このような分野では、哲学者が持ち合わせている思考力や洞察力が大いに役立てることができるといえるでしょう。

生命倫理の知識を医療現場で生かす

近年では、生命倫理を研究する哲学者が、その知識を生かして医療や福祉関係の現場で働くことも増えています。

「人間としてより良く生きるにはどうすべきか」「命とはどうあるべきか」など人類にとっての永遠の命題を深く探究する哲学者が、医療の現場に新たな風を吹き込むことが期待されています。

「哲学を学んだ人の就職先は?」まとめ

哲学は、法律学・経済学のように実学的な学問とはみなされないため、「就職に役立たたない、仕事では使えない」などというイメージを持たれがちです。

しかしながら、この記事で紹介したように、哲学の思想や考え方をさまざまな仕事に生かしていくことは可能です。

哲学を学び、どうなるのかは自分次第ともいえるため、将来どうなりたいのかを真剣に考えていくことが重要です。