哲学者の需要・現状と将来性

哲学者の現状

日本における哲学研究の特徴として、ある一つの哲学が完結することを予想させる兆候がないことがあげられます。

どの研究論文も「次作へ続く」といったような締め方をしているものばかりであるという指摘もありますが、一方で哲学の分野は未開の部分が多いとも言えるでしょう。

古くからある考え方が常に見直され、懐疑され続ける学問が哲学なのです。

とはいえ、歴史上の名立たる哲学者が残した学説は、現代に至るまで影響を与え続けています。

日本においても、ある意味で完結され後世に伝えられるような新たな哲学の確立が望まれているといえます。

哲学者の需要

哲学研究の第一人者である大学教授、助教授のポストは、希望者に対して圧倒的に数が足りません。

非常勤講師でさえも同様で、多くの哲学を志す人が生計を立てられる職業につけずにいる状況が長く続いています。

この現状を懸念する声は学会を中心に上がっていますが、残念ながら劇的な改善は見られていないのが正直なところです。

近年は結果が出やすく見た目にもわかりやすい理系の人気が高まっており、今後もこの傾向が変わることはないでしょう。

哲学者の将来性

哲学者のほとんどが研究者として学問の道に進むことを希望している一方、一般企業を始めとする実社会において、その思考力を活用してほしいという声も上がっています。

物事を探究し、多角的な視点で見つめることを信条とする哲学者の思考力は社会人に求められる能力です。

これに長けた人材があらゆる場で求められるのは当然のことです。

これから哲学者を志す人は、自身にとっての研究テーマを探究することをライフワークとしながら、生業としてさまざまな職業に就くことも視野に入れて考えたほうがよいでしょう。

哲学者の今後の活躍の場

企業内哲学者

近年、海外の企業ではビジネスに哲学を生かそうと、企業内哲学者を雇用するところが増えてきています。

企業としてのビジョンや倫理規定を定める際に、哲学を利用しようとしているのです。

Googleでは「In-House Philosopher(企業内哲学者)」が雇用され、最先端の技術を生かす際に、倫理や哲学の面からアプローチしようと考えています。

ゆくゆくは日本でもこのように企業内で働く哲学者が増えてくるでしょう、

生命倫理の分野

多くの哲学者の研究テーマである「人間とは」「命とは」といった根源的な問題、生命倫理に関する探究が医療の現場で生かされるのではないかと考えられています。

特に近年は安楽死や尊厳死に対する議論がたびたび行われており、生命倫理に長けた哲学者の意見が求められることも増えてきました。

日本は高齢化社会を迎え、生きるためにあらゆる治療法を施すことが良いとされた時代から、その人にとってより良く生きるために必要な治療は何かということが優先される時代になりつつあります。

生命倫理に詳しく、さらに多角的思考ができる哲学者が新たな視点を見出すことができるのではと期待されています。