女性の寿司職人のキャリアパス・結婚後の生活
女性の寿司職人の現状
昔はほとんど女性の寿司職人はいなかった
ひと昔前であれば、女性の寿司職人はほとんど存在しませんでした。
「長い髪が寿司に落ちる可能性がある」「化粧やマニキュアして寿司を握るな」など心がけしだいで解決する点すら嫌がられ、女性がタブー視されていたのです。
職人の世界に根強く残る、男尊女卑のあらわれだったとかもしれません。
女性の寿司職人が増えてきている
現在は女性を受け入れる寿司店も増え、寿司職人として活躍する女性も増えました。
ほかの職業でも、男性の仕事とされてきたトラックやタクシーのドライバーに女性が増え、女性の仕事とされてきた看護師や保育士になる男性も増えつつあるのと同じです。
どんな職業を目指すにしても大切なことは、本人の志と努力なので、女性であっても寿司職人を目指すことができます。
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女性の寿司職人の強み・弱み
女性の寿司職人の強み
女性ならではの長所は、主婦として、母親として日常的に料理を作ることが多い女性ならではの視点を生かした仕事のアプローチができる点です。
職業として若いうちから料理人を選んだ男性とはちがい、見せ方や繊細さに女性ならではの技術を盛り込む職人もいます。
また女性が寿司職人としてカウンターに立っていると、男性の寿司職人よりも空気が柔らかくなって店に通いやすいと話すお客さまもいますし、ファミリー層が増えた店舗もあるようです。
女性の寿司職人が珍しいというだけでメディアから取り上げられ、注目される場合もあります。
女性だからと不安になるよりも、「女性の寿司職人として男性にはないメリットを生かす」くらいの強い気持ちがあるとよいでしょう。
女性の寿司職人の弱み
女性だから苦労するのは、寿司職人が体力勝負の仕事であることです。
重い鍋を抱えるなどの仕事は、男性に比べて筋力や体力がない女性にとっては辛い仕事でしょう。
体力に自信がない人は、弱点を補うような工夫や一層の努力が必要です。
いまだに「女性の握った寿司は食べられない」という偏見を持ったお客さまがいることも事実です。
寿司職人の結婚後の働き方・雇用形態
寿司職人を目指す女性は、結婚後も変わらず働き続ける人が多いです。
寿司職人になるには10年ほどの厳しい修行が必要で、20歳前後で修行を始めたとしても、一人前になる頃には30歳と、多くの女性が結婚や出産を経験するライフステージの変化が訪れます。
女性は最初から結婚や出産を見越して寿司職人を目指す人が多いので、配偶者や店側の理解が得られ、仕事を続けやすいようです。
小さな店舗では産前休業や育児休暇の制度が整っていない場合が多いので、相談して配慮してもらう人もいますし、そのタイミングで退職して自分の店をオープンする人もいます。
チェーン展開している企業は比較的休業制度が整っていて、休暇が取りやすいので復職しやすい環境です。
寿司職人はアルバイト・パートとしての募集は少ないため、ほかの仕事のように雇用形態を変えて時短で働くことは難しいでしょう。
ただし、独立して働きやすい時間で営業したり、寿司教室を開催したり、ケータリングサービスを始めたり、技術を生かしてさまざまな商売をする女性もいます。
家庭との両立はたいへんですが、工夫すれば、結婚後も寿司職人として働けるでしょう。
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寿司職人は子育てしながら働ける?
寿司職人は、子育てしながら活躍する女性も多数います。
中には、ぐずる子どもを背負いながらカウンターで調理していた女性の寿司職人もいますし、お客さまが子どもの世話をしてくれるというアットホームな寿司屋もあります。
朝から晩まで忙しい仕事なので、家族や店の理解がないと子育てしながら両立することは難しいでしょう。
職場によっては休暇制度があっても、人数が少なくて休めなかったり、週末や大型連休は繁忙期なので休みが取りづらく、結婚や出産を機に退職する人もいます。
女性の寿司職人の中には、結婚や出産でほかの仕事を退職してから、手に職をつけるために寿司職人を目指す人も多いです。
従来のように10年以上の修行をするのではなく、アカデミーに通って数ヶ月で基礎知識を身につけ、高級店などで数ヶ月修行をさせてもらい、ひとり立ちして自分のペースで働ける環境を自ら作ります。
自分の子どももお客さまの子どももくつろげる敷居の低い寿司屋を作るなど、従来の寿司職人の働き方にとらわれない仕事ができれば、子育てをしながら長く働くことが可能でしょう。
寿司職人は女性が一生働ける仕事?
寿司職人は、女性が一生働ける仕事です。
修行は厳しいですが、身につけた知識や技術が一流であればあるほど高級店で働くこともできますし、自分で独立開業して寿司店を開くこともできます。
男性が多い職業ではありますが、寿司職人の仕事をするのに男女差は関係ありません。
女性の中にはほかの仕事を退職してから手に職をつけるために寿司職人を目指す人も多くいます。
海外に移住するため、実家の寿司店を引き継ぐためなど、理由はさまざまです。
寿司店に正社員として雇われて働く場合でも、独立していても、家族に協力してもらわなければなりません
どちらにしても、周囲に理解してもらえば、結婚や出産などの生活の変化に合わせて、柔軟に働くことができるでしょう。