スタイリストの仕事や事務所の種類・活躍の場
目次
スタイリストの仕事・事務所の種類
スタイリストの基本的な仕事は、クライアントと打ち合わせを重ね、モデルやタレントの衣装の組み合わせや着こなしを考えることです。
しかし、ひと言でスタイリストといっても活躍する分野はさまざま。
所属する事務所によって、雑誌や書籍などの出版社系が得意だったり、テレビやCM、映画といった映像系の衣装に特化していたりと、仕事のジャンルは異なります。
就職先を選ぶときは、所属する事務所の得意分野や方向性と、自分が目指すスタイリストとしての将来像が一致しているかを確認することが大切です。
また、事務所に所属して働くだけでなく、経験や実績を生かして自分の得意分野で独立をし、フリーランスのスタイリストとして活躍している人も多いです。
メディア・マスコミ業界で活躍するスタイリスト
スタイリストの活躍の場として最も代表的なのは、雑誌、テレビ、映画、広告などのメディア・マスコミ関係です。
タレントやモデルがこういったメディアに出演する際は、魅力的な洋服を着て自分の役柄やキャラクターを演じ、流行の先をいくファッションに身を包みます。
こういった裏ではほぼ必ずスタイリストの活躍があります。
洋服や小物そのものを中心に取り上げるファッション誌の場合、スタイリストの存在感は、さらに大きなものとなります。
最近では「人気スタイリストのコーディネート」のような企画も増えており、トレンドに敏感なスタイリストに対する世間の注目度も高まっています。
媒体ごとの具体的な仕事について見ていきましょう。
1.雑誌(出版社系)
書店に行けば、ありとあらゆるジャンルの雑誌が置かれています。
スタイリストは、その中でも主に「ファッション雑誌」に出演するモデルを、流行のファッションにコーディネートしていきます。
この場合、基本的に出版社が意図するテーマで服を用意しますが、スタイリストの意見が求められることもあります。
また月刊誌の場合、出版社が決めたモデルに対してコーディネートすることが多いものの、単発で発売される雑誌であれば、モデル選びからスタイリストに委ねられることもあります。
2.TV・CM(映像系)
TVに出る有名タレントや、司会者等の衣装をコーディネートします。
担当するタレントによって売り出し方やキャラクターが違うため、そのイメージを損なわないようなコーディネートをする必要があります。
CM撮影の場合は、クライアントから指示のあった色や雰囲気の服を用意して、タレントにコーディネートします。
また、タレントとスタジオに同伴して、撮影の合間を見ては服のヨレやホコリ等を直すのも、現場での重要な仕事のひとつです。
3.映画・ドラマ系
連続ドラマや単発のドラマ、さらには映画に出演する俳優・女優の衣装を揃え、コーディネートします。
制作スタッフの指定した衣装を揃え、内容に合った衣装を選び、着せていくことになります。
映画やドラマでは、「キャラクター設定」や「シーン設定」が明確になされているため、スタイリストの感性などで自由にコーディネートするのではなく、作品の脚本・台本に合った衣装を用意します。
たとえば服が汚れてしまうシーンや、あえて破れた服を着ている役柄を演じる場面では、そういった服を用意しなければなりません。
基本的にスタイリストも現場に同行し、シーンの度に衣装を直します。現場によっては「衣装さん」と呼ばれることもあります。
4.広告系
企業ポスターや、量販店のチラシ等に出演しているタレントやモデルをコーディネートします。
広告会社(クライアント)の指示に従い、衣装を用意します。
たとえば求人系の広告撮影の場合は、フレッシュマンやビジネスマンらしさを表現できるようなスーツを用意します。
チラシ撮影の場合は、自社商品だけでコーディネートを完成させたり、PRしたい商品を使ったコーディネートを依頼されたりすることもあります。
このように、媒体によってスタイリストの仕事の仕方は少しずつ異なります。
オールマイティーにさまざまな現場をこなす人もいますが、フリーランスでは「雑誌専門」「映像専門」といったように、専門分野を中心に活躍するスタイリストも存在しています。
百貨店、アパレルショップで働くスタイリスト
メディアやマスコミ以外にも、スタイリストが活躍する場はあります。
たとえば百貨店内のブランドやアパレルショップです。
そのような場で働くスタイリストは、商品知識を持ち、自らのセンスを生かして来店されたお客さまに対して服をコーディネートします。
こういった場所で働く場合は「販売員」としての役目も担うため、ただファッションの知識があるだけではなく、お客さまの心理状態を読む力や、接客能力まで求められます。
なお、近年は個人のお客さまに対して、専門のスタイリストがファッションをトータル的にコーディネートするサービスに力を入れる百貨店が増えています。
この先、スタイリストはテレビや雑誌の中だけで活躍する特別な仕事ではなく、これまで以上に私たちの日常生活に身近な存在になっていくように思われます。
ショー、イベントで活躍するスタイリスト
年間を通して大小さまざまなファッションショーが開催されています。
このようなイベントの場で活躍するスタイリストは、モデルが着用する衣装や衣装に合う小物などをコーディネートします。
この仕事では「魅せる」ことが中心となるため、ショーのコンセプトをきちんと踏まえながら、独創的なセンスとトレンドを上手に組み合わせ、人々に大きな感動を与える力がとくに求められます。
専門分野で活躍するスタイリストも
スタイリストの中には、テレビに映画にショーに…といった具合に幅広い分野で活躍する人がいる一方、特定の業界や分野に強みを持つ人もいます。
たとえば、「ブライダルスタイリスト」がその一例です。
このスタイリストは、主に結婚式場やブライダル関連会社に勤め、結婚式を控えたカップルを対象に、ブライダルファッションをトータルでコーディネートする役目を担います。
もちろん、どのような仕事の依頼にも広く応えられることは大きな強みとなりますが、近年では、特定の分野に関する専門知識を持つスタイリストが歓迎される傾向にあるようです。