測量士と測量士補の違い
測量士と測量士補の仕事内容の違い
「測量士」と「測量士補」は、どちらも土地の測量を手掛ける職業ですが、その役割の違いは測量法によって定義されています。
測量士の仕事は、測量作業の主任者として測量方法や手順などを定めた「測量計画」を作成することで、測量士補の仕事は、その測量計画に基づいて測量を行うことです。
つまり法律上は測量士が指示を出す役で、測量士補は測量士の指示に従って実作業を手掛ける役ということになります。
しかし、実際の現場では、そこまで明確に役割分担されているわけではなく、測量士が自分で測量作業することもありますし、測量士補が経験の浅い測量士に指示することもあります。
各自の能力や経験などを加味しながら、チームとして臨機応変に働いているのが実情であり、そういった意味では、両者の仕事内容にそこまではっきりとした差はないといえます。
ただ、測量計画を作成できるのが測量士のみであるように、両者にはできること・できないことの差があるのも事実で、名称からもわかる通り、あくまで測量士補の上位資格が測量士であるという位置づけです。
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測量士と測量士補のなる方法・資格の違い
測量士・測量士補ともに、国土交通省の主管する国家資格であり、資格を取得する方法は、両者とも複数のルートが存在します。
測量士については、国家試験を受ける、指定大学を卒業した後に実務経験を1年間積む、指定専門学校を卒業した後に実務経験を2年間積む、測量士補になってから指定の養成施設に通うといった方法があります。
測量士補については、測量士と同じく国家試験を受ける方法をはじめ、指定大学や専門学校を卒業するといった方法があります。
どちらも、学校で測量に関する科目を修めれば、無試験で資格が得られる点が大きな特徴ですが、測量士は数年間の実務経験が必要になる一方、測量士補は卒業後すぐに資格を取得できるという違いがあります。
測量士と測量士補の資格の難易度の違い
測量士試験・測量士補試験に関しては、どちらも試験は筆記試験のみで、正答率65%以上で合格となります。
ただし、測量士試験では、マークシート形式の選択問題と記述問題の両方が出題される一方、測量士補試験は選択問題だけの出題です。
両者の合格率をみると、測量士試験は例年10%前後であるのに対し、測量士補試験は30%前後となっており、約3倍もの差が生じています。
出題形式の違い、合格率の違いをみてもわかるように、測量士試験のほうがはるかに難易度が高いのは間違いありません。
また、国家試験を受けずに資格を取得するルートについても、測量士は実務経験が必要になるのに対し、測量士補は学歴のみで取得可能であり、測量士のほうがハードルが高いといえます。
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測量士と測量士補の学校・学費の違い
測量を学べる学校としては、大学・短大であれば工学部や理学部の建築学科や土木学科、地理学科、また専門学校であれば建築系や工学系、設計デザイン系の学校が代表的です。
これらの学校は、測量士と測量士補でコースが分かれているわけではなく、どちらを目指す場合であっても、授業内容や通学期間などは同じです。
学費については、年間100万円くらいが相場ですが、大学は4年間、短大は3年間、専門学校は2年間または3年間のカリキュラムとなるため、トータルの学費は進路によって差が生じます。
測量士補を目指す場合は、学習期間の短い専門学校を選ぶほうがメリットが大きいといえますが、測量士を目指す場合、学歴に応じて資格取得までに要する実務年数が異なるため、一概に比較できません。
なお、専門学校のなかには夜間コースを併設しているところも多く、また国家試験対策用の通信講座もあるため、社会人などから測量士・測量士補を目指すことも可能です。
測量士と測量士補の給料・待遇の違い
厚生労働省の調査によると、測量士・測量士補を含む、測量技術者全体の平均年収は約450万円前後となっており、一般的な会社員とほぼ同程度の水準です。
両者の差についてみると、別々の統計が取られていないため、はっきりとはいえない部分もありますが、測量士のほうが上位資格であるぶん、測量士補より高給となりやすいでしょう。
ただし、上述したように、両者の業務分担はそこまで厳格ではないため、差はあってもわずかで。
企業によっては、測量士と測量士補でまったく差がないというケースも散見されます。
しかしながら、就職活動においては、測量士補より測量士のほうが評価されることは間違いなく、人気の高い大手企業に採用される可能性も高まります。
このため、単純な給料の額面だけでなく、福利厚生まで含めた待遇全体で比較すれば、大企業に就職しやすい測量士のほうが測量士補より好条件で働けるケースが多いでしょう。
測量士と測量士補はどっちがおすすめ?
両者の仕事内容や給料などの待遇面を比較したとき、そこまで大きな差はないにせよ、測量士補が測量士に勝っている面はありません。
業務における役割分担は曖昧ですが、企業にとっては、測量士が多いほうが公共入札案件などに参加しやすくなるため、できるだけ測量士を採用したいと考えます。
したがって、これから測量業務に携わりたいと考える人が、あえて測量士補を目指す特段の理由は存在しないため、多少難易度が高くても測量士を目指すことをおすすめします。
実際に測量業務に従事している人の割合をみても、測量士のほうが、測量士補よりも2倍近い人数となっています。