測量士の求人状況・就職先の選び方
測量士の就職先にはどんなところがある?
測量士の就職先としてまず挙げられるのは、測量事務所や測量会社など、官公庁やゼネコンなどから依頼を受けて、測量作業を専門に請け負う企業です。
仕事のほぼすべては測量作業と測量図の作成で占められるため、最も測量士の仕事の醍醐味が味わえる、測量士らしい就職先といえます。
次に挙げられるのが、建設コンサルタント会社や土木・建設会社など、建設業界に属する企業です。
なお、こうした企業では、測量計画・工事計画の分析や、土木工事の監督がおもな仕事となり、測量会社のような自身で測量作業を手掛ける機会は限られてきます。
また、都道府県や市町村の土木課・上下水道課など、公務員として働ける職場もあります。
自治体は、測量作業や工事を行う側ではなく、発注する側であるため、測量士の資格をもっているとはいえ、実際に現場で測量することはほぼなく、予算案の作成や管理など行政職員としての事務が主体となります。
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測量士の求人の状況
測量作業は、あらゆる工事の基礎となるものです。
正確な測量なくしては、設計することも、土木工事や建造工事をスタートさせることもできません。
近年は国家財政が厳しいこともあって、公共工事の予算は削減される傾向が見られますが、それでも測量作業のニーズは非常に底堅く、測量士の求人も現状は豊富です。
また、測量士は「必置資格」と呼ばれるものであり、測量事業を手掛ける企業は、事務所ごとに1名以上の資格保有者を在籍させることが法律で義務付けられています。
このため、どこの測量会社も測量士の求人には積極的であり、資格保有者はいうまでもなく、下位にあたる測量士補資格をもっている人も歓迎される風潮にあります。
昨今は、相次ぐ大地震や異常気象による浸水や土砂崩れなどによる災害復旧工事や、自然災害対策工事の必要性が高まっており、今後も測量士の求人は一定以上の水準を保って推移する見通しです。
測量士の就職先の選び方
手掛けたい業務内容で選ぶ
測量事務所や測量会社は、企業によって請け負う案件の種類がある程度分かれており、それぞれの強みを生かして事業を行っています。
水道配管工事の図面作成を専業としている企業もあれば、ドローンを使った航空測量が得意な企業、めずらしいところでは、文化財発掘調査のための遺構測量を手掛けている企業もあります。
就職先を選ぶにあたっては、数ある工事、数ある測量技術のなかで、自分がどのような案件を手掛けたいのかということを第一に考えることが大切です。
また、現場で測量するのではなく、測量士としての知識を生かしてさまざまな仕事を手掛けたいなら、建設業界や役所関係など、測量会社以外の企業が候補となるでしょう。
待遇で選ぶ
測量事務所や測量会社は、そのほとんどが中小企業です。
そこまで給与水準が高いわけではなく、福利厚生面も多くを期待できるわけではありません。
それと比べると、建設コンサルタント会社はインフラ工事をはじめ、大規模な案件を手掛けるケースが一般的で、企業規模としては測量会社よりも大きくなります。
大企業である建設コンサルタント会社のほうが、社員の平均年収は高く、福利厚生も手厚くなるため、待遇面で選ぶなら建設コンサルタント会社がおすすめです。
ただし、建設コンサルタント会社では、測量知識だけでなく、建築設計や土木工事などの幅広い知識が求められるため、業務の難易度としては高いといえるでしょう。
安定性で選ぶ
測量会社も建設コンサルタント会社も、その事業は社会全体の景気の波に大きく影響されるという特徴があります。
不景気になれば、予定されていた民間工事がとん挫したり、公共工事の予算が減って厳しい単価での受注を余儀なくされたりして、給料がカットされたり、リストラされたりすることもあるかもしれません。
もしもそうしたリスクを懸念し、仕事内容よりも安定性を重要視するなら、公務員試験を受けて地方自治体に就職するとよいでしょう。
ただし、土木関係の行政職は募集人数が限られており、競争は熾烈ですから、他者を上回る努力が必要です。
また、現場事情に精通していないと仕事に支障をきたすケースが多いため、数年程度の実務経験が採用条件となっていることもよくあります。
新卒者が就くのは厳しいため、ひとまず測量会社に就職するなど、前段のステップを踏むことが必要になるかもしれまん。
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測量士の志望動機・面接
測量士は、非常に高い専門性の要求される技術職であり、その業務内容や役割は明確です。
したがって、その志望動機については、どうして測量という仕事に興味をもったのかというきっかけを最初に述べて、どのような技術を使って、どのような測量をしたいかという将来の展望を述べるとよいでしょう。
ただし、企業ごとに実際の業務は千差万別です。
的外れな志望動機にならないよう、事前に就職先の特徴や得意分野などを入念に調べておき、その方向性に合致した内容にすることが大切です。
また、測量士は専門的な知識やスキルも必要ですが、同じ測量チームのスタッフや外注業者、クライアントなど、立場の異なるさまざまな人と円滑に仕事を進めるためのコミュニケーション能力も求められます。
採用面接においては、明るくハキハキ喋るとともに、会話が自然な流れとなるよう受け答えの正確さを意識して、「この人となら働きやすそうだ」という印象を抱いてもらえるように振る舞いましょう。
就職先はどのように探したらいい?
測量士の求人情報は、一般的な求人情報誌や求人サイト、建設業界専門の求人サイト、転職エージェント、ハローワークなどに多数掲載されています。
土木関係の仕事というと、体力的にきつい、危険が伴うといったマイナスイメージを連想する人も多く、とくに若年世代のなり手は減少傾向であるため、就職先を見つけることはさほど難しくないでしょう。
ただし、測量士の就職先は大小さまざまで、業務内容も雇用条件もバラバラです。
給料が高いから一概によいというわけでもなく、またとくに小さな企業の場合は、書かれている条件が守られるとも断言できません。
どの就職先がよいのか判断に迷う場合、学生であれば学校の進路相談課に相談したり、先輩や教師に聞いたりして、広く情報収集することをおすすめします。
社会人については、採用にエントリーする前に一度企業を訪問したり、その企業が請け負っている現場を見学したりすると、雰囲気がつかめるかもしれません。