ソーシャルワーカーとケースワーカーの違い

キャリアガーデン編集部

2024.08.05

ソーシャルワーカーもケースワーカーも、社会福祉の専門家としての仕事に携わります。

この2つの言葉には明確な定義があるわけではありませんが、ソーシャルワーカーは福祉関連の相談援助業務をしている人の総称を、ケースワーカーは福祉事務所で相談援助の仕事に就く職員を指すことが多いです。

この記事では、ソーシャルワーカーとケースワーカーを比較しながら、その仕事内容などの違いを紹介します。

ソーシャルワーカーとケースワーカーの仕事内容の違い

「ソーシャルワーカー」は、もともとは社会福祉事業に携わる人の総称として使われていた言葉です。

しかし、現在は国家資格である「社会福祉士」の資格を取得し、福祉関連の相談援助業務をしている人を指すものとして使われることが多くなっています。

ソーシャルワーカーは、以下のように呼ばれることもあります。

病院などの医療施設で相談援助を行う「医療ソーシャルワーカー（MSW）」

精神に障害を抱える人を対象とする「精神科ソーシャルワーカー（PSW）」

国家資格の名前でもある「精神保健福祉士」

児童を対象とした相談援助業務を行う「保健児童ソーシャルワーカー」や「児童福祉司」

それぞれ活躍の場や対象者には違いがありますが、なんらかの理由によって日常生活に困難・不安を抱える人に対し、関連機関や各分野の専門家と連携をとりながら援助を行う点では共通しています。

そして「ケースワーカー」は一般的に、福祉事務所で相談援助の仕事に就く職員を意味します。

つまり、ケースワーカーは相談援助業務を手掛けるソーシャルワーカーの一種といえます。

福祉事務所とは都道府県や市、また一部の町村に置かれている公の施設で、社会福祉全般の窓口としての機能を果たします。

こうした福祉の行政機関で働く相談員のことをケースワーカーと呼ぶことが多いのです。

このほか、民間の医療施設や福祉施設で相談員として働く職員をケースワーカーと呼ぶ場合もあります。

ケースワーカーの仕事の詳細は、以下のページで詳しく紹介しています。
ケースワーカーの仕事

ソーシャルワーカー・ケースワーカーになる方法・資格の違い

ソーシャルワーカーを目指す場合、国家資格である「社会福祉士」または「精神保健福祉士」を取得する人が多いです。

国家試験の受験資格を得るための方法はいくつもありますが、最も代表的なのは、福祉系の4年制大学あるいは4年制専門学校に通うことです。

一方、ケースワーカーになるには、社会福祉主事任用資格を得たうえで、各都道府県の公務員試験に合格する必要があります。

ケースワーカーは公務員試験合格者のうち、社会福祉主事任用資格を持つ人の中から任用されます。

都道府県ではさまざまな業務を担っているため、資格を持っていても社会福祉関連以外の部署に配属されることもあります。

ソーシャルワーカーとケースワーカーの資格・必要なスキルの違い

ソーシャルワーカーとして一般病院に勤める際に有利になるのが、社会福祉士・精神保健福祉士の国家資格です。

公務員を目指す人は、資格取得だけでなく公務員試験と採用試験に合格しなければならないため、さらに勉強が必要になります。

ケースワーカーについては、大学などで授業を受ける、厚生労働省が指定する育成機関または講習を修了することによって社会福祉主事任用資格を得ることができます。

講習や授業を受けなければなりませんが、社会福祉士や精神保健福祉士などの国家資格よりは取得しやすいといえるでしょう。

ただし、実際に公務員として任用されるには公務員試験に合格し、社会福祉主事として配属されなければなりません。

ソーシャルワーカーとケースワーカーの学校・学費の違い

ソーシャルワーカーになるために社会福祉士や精神保健福祉士を取得するのであれば、福祉系4年制大学や短大に通うのが一般的です。

福祉系四年制大学で必須科目を取得する、あるいは短大卒業後に相談援助実務を1から2年経験することで受験資格を得ることができます。

一方、ケースワーカーになるために学校へ通う場合、福祉系大学や短大などで厚生労働大臣の指定する社会福祉主事任用資格選択必修科目のうち、いずれか3科目以上の単位を修得して卒業する必要があります。

4年制大学に通うと社会福祉士や精神保健福祉士などの国家資格が取得できるため、より高い知識を持って仕事に従事することができます。

ソーシャルワーカーとケースワーカーの給料・待遇の違い

公務員の医療ソーシャルワーカーであれば、平均年収400万円から500万円程度といわれており、民間の医療ソーシャルワーカーであれば、平均年収380万円から400万円程度です。

実務経験が重視される仕事であるため、長く勤務するに従って給与アップ、昇格が期待できる職種です。

ケースワーカーの多くは、地方公務員として福祉事務所などで働いているため、給料に関しては各自治体の公務員給与規定に沿った額が支払われます。

地域によってもやや差がありますが、年収300万円から400万円程度が大半です。

特別大きな収入が得られる職業ではないものの、公務員として働く場合は諸手当をはじめ、充実した休暇制度や待遇、社会的地位が保証されます。