セールスエンジニアの需要・現状と将来性

セールスエンジニアの現状

ITを普及させる上で必要不可欠な存在

本来、自社の製品・サービスのセールスは営業職が担当するものです。

しかし、ITシステムのような専門的な技術を用いる製品・サービスとなってくると、お客さまへ最適な提案するためには、どうしても技術的知識が必要になります。

また、その知識内容も高度になりますので、営業職が本業の営業活動をしながら、同時にエンジニアに負けず劣らずの技術知識も備えるというのは現実的に難しい部分もあります。

そのため、IT系企業の多くは、営業職とは別にセールスエンジニア職の席を用意しており、営業職とセールスエンジニアが二人三脚のように協力してお客さまへのセールスを行っています。

いわばセールスエンジニアの活躍が、世の中にITシステムを普及させる一端を担っているともいえます。

今後も情報化社会は進み、テクノロジーはさらに複雑化、高度化することが予想されますので、セールスエンジニアのような間を持つ存在は、企業にとっても社会にとってもより重要になってくるでしょう。

人材不足が加速する可能性が高い

現状IT業界は、少子高齢化などの影響で、働き手の絶対数が不足している傾向にあります。

一方で、情報化社会が進んでいることにより仕事量は増えています。

今後、人手不足はより加速すると危惧されており、経済産業省が公表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によれば、2030年には約59万人ものIT人材が不足するという見通しも立てられています。

そんなIT人材の中でも、今後最も不足する人材というのは、セールスエンジニアのような「新事業開発・事業創造人材」や「営業系人材(既存事業の顧客・販売拡大を担う人材)」ともいわれています。

もちろん、開発職・エンジニア職も不足気味であるため、従来のようにエンジニア→セールスエンジニアのルートで転身する人というのも今後は減ってくるかもしれません。

そのようなことからセールスエンジニアは今後人手不足が深刻化する可能性が高く、逆にいえばセールスエンジニアを目指す人にとっては、売り手有利な好都合な状況が期待できるかもしれません。

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セールスエンジニアの需要

「営業」もしくは「技術」の経験が求められる

セールスエンジニアは、営業力、技術知識の両方に精通しなければならない職種であり、育成するにも時間やコストが掛かります。

そのため、「営業経験〇年以上」、もしくは「エンジニア経験〇年以上」といったように、営業職かエンジニア職、どちらかの経験をもつ人材を企業側としては求めている傾向です。

もちろん同じセールスエンジニアとしての経験がある人や、両方の職務経験を持つ人であれば、より歓迎されることになります。

その他にも、カスタマーサポートの経験や、コンサルタント、アドバイザーとしての経験も歓迎されることもあります。

また、会社の顔としてお客さまと密に接し、時に何億円という案件の商談などを行うこともあるため、ある程度の社会人経験を求める会社も少なくはありません。

特に応募者の母数の多くなる大手企業であれば、おのずと企業側の求める能力の水準も高くなり、関連する職務経験がないと採用を勝ち取るのは難しくなることも多いでしょう。

人手不足で「未経験者」も求められている

同時にIT業界は人手不足に陥っており、特にセールスエンジニアは人手不足が深刻化し始めている職種でもあります。

そのため、なかなか人手の集まりにくい中小IT企業やベンチャーIT企業などであれば、これまでの経歴についてはあまりとやかくいわず、未経験者でも積極的に採用していることもあります。

中には、営業の経験もなく、エンジニアとしての経験もない未経験者であっても、一から育て上げようとする中小企業もあります。

セールスエンジニアは「適性」的な部分もやはり関係してきますので、人と関わるのが好きで営業的な適性のある人、技術に対する知的好奇心旺盛でエンジニアの適性がある人などは、未経験者であっても採用されやすいようです。

セールスエンジニアの将来性

先端IT分野の需要拡大

IT業界の中でも特に次のような分野は、今後より成長し、需要も急激に拡大していくと予想されています。

<需要の拡大が予想されるIT分野>
・AI(人工知能)
・ビッグデータ
・クラウドコンピューティング
・IoT(Internet of Things)
・ロボット
・セキュリティ分野

これらの分野は、通称「先端IT分野」とも呼ばれ、これからの時代、社会のあらゆる場所に技術の普及が見込まれます。

そのため、これらの分野の技術的知識を持つセールスエンジニアというのは、今後多くのIT企業から歓迎される形になっていくでしょう。

特にこの中でも「AI」と「ビックデータ」に関しては、今後の時代を象徴するテクノロジーとなる可能性が高く、同時に有識者というのもまだまだ少ないため、知識を備えておけば自分の市場価値を大きく高められるかもしれません。

従来のITシステムは成熟に向かう

その一方で、すでに大企業の多くはITシステムを導入しており、IT化は完了しつつあります。

これまでのように、企業向けに大規模なITシステムを導入する新規案件というのは減り、今後は、既存ITシステムの保守や運用などが中心となっていくともいわれています。

そのため、そのような従来型の企業向けITシステム、インフラ系ITシステムのみを得意としているセールスエンジニアというのは、今後活躍の場が減ってくる恐れもあります。

前述したような先端IT分野、もしくはWeb系サービスのソリューションなど、これまでとは別の分野の知識も備える必要がでてくるかもしれません。

AIによって仕事が奪われるか?

近い将来、事務職やプログラマーなどの多くの職種は、AI(人工知能)によって仕事が奪われると危惧されています。

一方で営業職のような直接人と関わる仕事は、感情、ボディーランゲージ、表情などの要素も大きなポイントとなり、それらを読み取り判断するのはやはり人間の方が優れているため、AIに仕事は奪われにくいという見方もあります。

しかし、セールスエンジニアは純粋な営業職ではなく、セールスエンジニアが行うような「技術的知識を基にした提案」というのは、いずれAIでも行えてしまう可能性も秘めています。

AIは機械であるため、莫大に記録された技術知識を正確に出し入れすることができ、さらに判断処理のスピードはとても速く、人間が勝てるものではありません。

ですが、AIはあくまでインプットされたデータを基に判断するため、人間でなくては発見することのできない着眼点やアイデアがあるのも事実です。

セールスエンジニアがAIに仕事を奪われないためには、そのような人間ならでは視点に注目し、人だからこそできる提案力を伸ばしていくことがカギとなるってくるかもしれません。

扱うサービスは時代と共に変わり始めている

これまではセールスエンジニアというと、Sler(システムインテグレータ)系の会社に勤め、ITシステムやITサービスを提案するのが一般的でした。

しかしインターネットが普及したことにより、Web系の制作会社などが、WebサイトやWebサービスを提案するためのセールスエンジニアを採用するケースも増えてきています。

また最近では、AI開発系の会社が、AI技術を用いたサービスを提案するセールスエンジニアを募集するケースも目立ってきています。

そのように時代の流れと共に、セールスエンジニアの扱う製品やサービスも変わり始めています。

教える立場として活躍する

最近は、一般的なサラリーマンや学生であっても、ITやプログラミングなどを学びたいという人が増えてきており、それに合せ「ITスクール」などの民間の教育ビジネスも盛況しています。

同時にそのような教育の場で、講師やインストラクターを務める人材も求められていますが、技術知識も豊富で、かつ対人能力も高い人材というのはなかなか数が少ないのが現状です。

その点セールスエンジニアは、技術と対人能力の両方をバランスよく備えてもいるため、将来的にそのような「教える立場」として活躍する道も描きやすいといえるでしょう。