マーチャンダイザーになるには? なり方・キャリアパスを解説
しかし、「MDになりたい」と思っても、いきなりMDとして採用されることはほとんどありません。
多くのMDは、販売職や営業職などの現場経験を積んだ後に、実力と適性を認められてキャリアアップしています。
この記事では、マーチャンダイザーになるための4つのルートと、具体的なキャリアパスを解説します。
- MDになるには販売職や営業職などの現場経験が重要(未経験からいきなりMDは採用されにくい)
- 最も王道なのは「販売職→店長→MDアシスタント→MD」のルート
- 求人倍率1.67倍の売り手市場で、経験を積めば転職のチャンスも豊富
- 学歴よりも現場での実績と数字力が重視される
- 平均年齢42.3歳で、20代後半~30代でのキャリアアップが一般的
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マーチャンダイザーになるための基本知識
マーチャンダイザーは、商品企画から販売戦略まで幅広く携わる職種です。
そのため、商品知識、販売現場の理解、数値分析力、部署間の調整力など、多様なスキルが求められます。
MDは「なりたい」だけではなれない職種
未経験者がいきなり第一線のMDになることは、ほとんどありません。
なぜなら、MDの仕事は商品の企画・生産から販売計画まで、トータル的に関わる必要があるからです。
厚生労働省「職業情報提供サイト job tag マーチャンダイザー、バイヤー」の統計データによると、マーチャンダイザー・バイヤー職の平均年齢は約42.3歳です。
同サイトの学歴に関するアンケートでは、この職業で働く人に多い学歴として「大卒」が約68.8%と回答されています。
これらのデータからも、MDは一定の経験を積んだ中堅以降の人材が担うポジションであることがわかります。
必要な前提スキル・経験
MDになるために、以下のようなスキル・経験が必要です。
商品知識と業界理解:アパレルであれば、素材・デザイン・トレンドなどの商品知識が不可欠です。
販売現場での顧客理解: どんな商品が売れるかを判断するには、現場での顧客接点経験が重要です。
数値分析・データ管理の基礎: 売上データや在庫データを読み解き、計画を立てる力が求められます。
部署間調整のコミュニケーション力: デザイナー、生産部門、営業、販売員など、多様な関係者と協働する必要があります。
これらのスキルは、一朝一夕で身につくものではありません。
だからこそ、現場での経験を積むことが、MDへの第一歩となるのです。
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マーチャンダイザーになる4つのルート
ここでは、MDになるための代表的な4つのルートを紹介します。
【ルート①】販売職→店長→本社MDアシスタント→MD
最も王道のルートが、販売職からスタートするパターンです。
販売員として店舗で働きながら、商品知識や顧客ニーズを肌で学びます。
その後、店長やエリアマネージャーを経験し、販売実績や管理能力を認められると、本社のMDアシスタントとして配属されます。
MDアシスタントでは、データ分析や資料作成など、MDの補佐業務を担当します。
ここで2〜3年の経験を積むと、正式にMDとして昇格するのが一般的な流れです。
期間の目安: 販売職3〜5年→店長2〜3年→MDアシスタント2〜3年→MD昇格(20代後半〜30代前半)
メリット: 現場感覚や顧客ニーズを深く理解しているため、「売れる商品」を見極める力が身につく。
株式会社キューブの社員インタビュー(Wantedly)では、新卒で販売職に入社し、3年で店長、その後本社MD部に異動した成功事例が紹介されています。
このインタビューで、MD職に就いた社員は「販売の現場を経験したことで、お客様が何を求めているかが肌感覚でわかる」と語っています。
出典:Wantedly | 【社員インタビュー】新卒1期生の今 / 店舗販売を経験して、MD(マーチャンダイザー)へ。 | 株式会社キューブ
売場での気づき(どの商品がどんな客層に売れるか)がMDの企画に直結します。
例えば、三陽商会のエポカMDは、店舗スタッフから「こんなパンツが欲しい」という声を聞き、それをもとに企画した商品がヒットしたエピソードがあります。
現場の声を商品企画に反映できるのは、販売経験があるMDならではの強みです。
【ルート②】新卒総合職→営業・バイヤー・企画→MD
大手企業の総合職採用で入社し、本部の営業やバイヤー、企画部門を経験した後にMDに配属されるルートです。
このルートでは、若いうちから数値管理や企画立案の経験を積めるのが特徴です。
対象: 大卒以上、総合職採用枠
期間の目安:営業・バイヤー3〜5年→MD配属(20代後半〜30代前半)
メリット:早い段階から商品の仕入れや予算管理などMD業務に近い経験ができる。
大手企業では、「総合職→MD」のルートが確立されているケースが多く、計画的にキャリア形成が可能です。
【ルート③】MDアシスタント・未経験可求人から直接MD業務へ
近年、人材不足を背景に、「未経験可」のMDアシスタント求人も増えています。
厚生労働省「職業情報提供サイト job tag」(令和6年度ハローワーク求人統計)によると、MD・バイヤー職の有効求人倍率は約1.67倍です。
これは、求職者1人に対して1.67件の求人がある計算で、売り手市場の状態です。
また、求人検索結果を見るとMD求人のうち「未経験歓迎」と記載されたものは全体の一部で、おおむね1割前後にとどまっています。
数は多くありませんが、アシスタント職からスタートしてMDにステップアップする道も開かれています。
メリット: 販売職を経由せず、早い段階からMD業務に触れられる。
デメリット: 現場経験が少ないため、顧客ニーズの理解に時間がかかる場合がある。
【ルート④】業界経験者の中途転職
すでにアパレル業界で営業やバイヤー、デザイナーとして働いている人が、MDへ転職するルートです。
同業界での経験があれば、即戦力として評価されやすく、転職のハードルも比較的低くなります。
転職の活動期間: 一般的に3〜6か月程度(ミドルの転職アンケート、2008年調査では、実際には1〜3か月で決まる例が56%)
メリット: 業界知識があるため、入社後すぐに活躍できる可能性が高い。
デメリット: 企業文化の違いに適応する必要がある。
転職エージェントを活用することで、非公開求人にアクセスでき、自分のキャリアに合ったポジションを見つけやすくなります。
学歴・資格は必要?
MDになるのに、絶対に有利になる学歴や必須の資格はありません。
ただし、大手企業の総合職では採用条件として「大卒以上」としているケースもあります。
学歴よりも実力が重視される
厚生労働省「職業情報提供サイト job tag」(2020年国勢調査)の学歴に関するアンケート結果では、この職業で働く人に多い学歴として、次のような傾向があります。
- 大学卒:約68.8%
- 高校卒:約29.2%
- 専門学校卒:8.3%
- 短大卒:10.4%
大卒者が多数を占める一方で、高卒や専門学校卒でも現場経験を積んでMDになる例は多くあります。
つまり、学歴よりも「入社後の努力や実績」が重視される職種なのです。
役立つ資格
MDとして働くうえで絶対に必要な資格はありませんが、以下の資格はスキルアップに役立ちます。
ファッションビジネス能力検定: ファッション業界のビジネス知識や造形知識を認定する試験。
リテールマーケティング(販売士)検定: 販売・仕入れ・マーケティングに関する知識を体系的に学べる。
ビジネス能力検定: ビジネスマナーやビジネススキルを評価する試験。MDは取引先と商談する機会も多いため、基礎知識が役立つ。
色彩検定・カラーコーディネーター: 色の知識を深め、「売れる商品」の開発に活かせる。
これらの資格は「あると有利」ですが、実務経験と実績の方がはるかに重要です。
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MDへの志望動機・面接のポイント
志望動機(未経験者の場合)
未経験からMDを目指す場合、業界や企業を志した理由、応募する職種への熱意を伝えることが大切です。
早くから「将来的にはMDになりたい」という気持ちをアピールしておくと、入社後のキャリアパスにも影響する可能性があります。
MDの仕事内容を理解したうえで、その仕事に魅力を感じた理由を考え、どのようにキャリアアップしていきたいかというストーリーを描いてみましょう。
志望動機(経験者の場合)
すでに業界経験がある人、バイヤーなどの仕事でキャリアを磨いてきた人の場合は、経験と実績が大きなアピールポイントです。
たとえば「売上を○%アップさせた」といった具体的な数値を出しながら成果をアピールすると、能力を認めてもらいやすくなります。
企業側も経験者採用では即戦力を求めているため、自分の力で会社にどう貢献できるかを志望動機に入れ込むことが重要です。
面接のポイント
MDの面接では、志望動機を中心に、経験者の場合は業務関連の知識やスキルの確認が行われます。
また、これまでの業務経験での成功体験や失敗経験について聞かれることもあります。
「MDとして何をしたいのか?」に関しても、自分なりの意見をきちんとまとめておきましょう。
MDは視野の広さやロジカルシンキングも問われるため、面接官の質問の意図を落ち着いて理解し、道筋立てて話せるよう意識することが重要です。
マーチャンダイザーのキャリアパス
ビジネスに生かせる多様なスキルが身につく
MDは、商品企画・販売計画・予算管理などの業務を通じて、多様な知識とスキルが身につく仕事です。
たとえば、マーケティングを目的とした市場分析の手法、消費者ニーズを捉える力、データ分析力、企画・発想力など、ビジネスを一から生み出し、それを動かしていくうえで必須となるスキルがたくさん得られます。
また、業務では商品企画や開発のみならず、販売や流通にまで深く携わるため、ビジネスをトータルで見ていく経営センスも磨かれます。
さらに、社内のデザイナーをはじめ、多様な立場のスタッフに的確に意思を伝えてプロジェクトを動かす必要があるため、コミュニケーション力やマネジメント力も身につきます。
こうした能力は、企画・マーケティング職から経営企画職等まで、あらゆる職種で生かしていくことができます。
外資系企業にヘッドハンティングされる人も
長く経験を積むなかで、一流のMDを目指していくことも可能です。
MDは未経験求人があまり多くなく、同業界で営業や販売の仕事を経験した人が、能力や適性を認められてMDに任命され、そのままキャリアアップしていくケースが多くなっています。
誰もが簡単になれる職種ではないからこそ、培ってきた経験と実力は、相当な強みとなります。
MDとしての実力を磨くと、有名ブランドに携わることができるようになったり、外資系企業からヘッドハンティングされたりする人もいます。
外資系企業では日系企業よりも実力主義の傾向が強く、大きな即戦力となれる人を求めるケースが多いため、業界内で実績を残していると、声がかかることがあるようです。
また、外資系MDは実力主義の傾向が強く、転職サイトに掲載されている求人でも日系企業より高めの年収レンジが設定されている例が多く、年収500〜700万円台の募集も多数見られます。
このようなところまで行きついた場合、実力次第で収入も大幅にアップさせることができます。
まとめ
マーチャンダイザーになるには、販売職や営業職などの現場経験を積み、実力と適性を認められることが不可欠です。
最も王道なのは「販売職→店長→MDアシスタント→MD」のルートで、多くのMDがこの道をたどっています。
また、近年は人材不足を背景に求人倍率も1.67倍と売り手市場で、未経験可の求人も増えています。
学歴よりも実績が重視される職種ですので、現場での経験を大切にしながら、着実にキャリアを積み上げていきましょう。
MDとして活躍できれば、将来的には外資系企業へのキャリアアップや、経営層への道も開けています。
📚 この記事の参考資料・データ出典
政府統計
- 厚生労働省「職業情報提供サイト job tag マーチャンダイザー、バイヤー」(2020年国勢調査、令和6年賃金構造基本統計調査に基づく、2024年更新)


































