マンション管理士の仕事や役割とは? わかりやすく仕事内容を紹介

マンション管理の専門家

マンション管理士は、マンションの維持や管理に関しての専門知識を有し、その知識をもってコンサルティングをする専門家です。

「マンション管理士」の資格制度は、2001年施行の「マンション管理適正化法」によって作られた、比較的新しい資格です。

日本には数多くのマンションが存在しますが、そうしたマンションは一般的に「管理組合」によって管理やトラブル対応がなされています。

しかし、マンションの管理には建物構造上の技術的問題なども含まれてくることから専門知識が求められるため、専門知識を持つ国家資格として「マンション管理士」が誕生しました。

2014年には築30年超の高経年マンションが150万戸を超え、大規模修繕や建替えといった対応が求められています。

そのような時代背景の下、マンション管理士の果たすべき役目は大きなものとなっています。

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マンション管理士の需要

マンション管理業界にはなくてはならない存在

日本人の10人に一人はマンション住まいといわれる現代の日本において、マンション管理のコンサルタントとして活躍できるマンション管理士は欠かせない存在となっています。

住民の日常的なトラブル対処はもちろん、建て替え問題、災害への備え、高齢者や障害者対策など、マンションを取り巻く課題は多岐にわたり、解決のためには専門知識が求められます。

マンション管理士は、そのようなさまざまなトラブルを法的見地から解決に導いたり、アドバイスを行ったりします。

マンション管理業界ではなくてはならない存在であり、今後も一定の需要が見込まれます。

資格があるだけでは有利にならないことも

マンション管理士の国家試験は、例年、合格率が10%以下と低い数字となっており、難易度の高い資格として知られています。

しかしながら、いざマンション管理士の資格を取ったとしても、それだけで就職や転職に有利になったり、給料が大きくアップしたりすることは、そこまでないようです。

それというのも、マンション管理士という仕事は、特別な資格を持っていなくてもできるものだからです。

マンション管理士の資格を取得することで「マンション管理士」と名乗ることができるようにはなりますが、無資格でも専門知識や経験があれば、マンション管理士と同じような仕事をすることは可能です。

もちろん、資格はある程度の知識を備えていることのアピール材料にはなりますが、「資格試験の難易度の割に、世の中での評価はそこまで高くない」というのが、マンション管理士の現状となっています。

独立開業を目指すこともできる

それでも、マンション管理士の受験者は毎年1万人を超えており、それなりに注目度のある資格だといえるでしょう。

この資格を取得する大半の人は管理会社に勤めているようですが、資格を取得し、独立開業を目指していく道に進むことも可能です。

とくに、マンション管理士は「行政書士」「司法書士」「一級建築士」などの資格を併せて取得したり、保険代理店やファイナンシャルプランナーといった専門分野の知識を持つことによって業務の幅が広がり、独立しやすくなるといわれています。

やりようによっては、マンション管理士として成功を収めることができるでしょう。

具体的な仕事内容

マンション管理士の具体的な仕事内容は、以下が挙げられます。

・管理費、修繕積立金の会計監査
・予算案・予算改定案の作成
・総会・理事会の運営
・管理規約の改正・見直し
・管理コストの見直し・削減
・マンション分譲に関する相談・助言
・管理委託会社の選定・変更

このほか、

・災害によってマンションを緊急補修しなければならない場合に必要な取りまとめに関する助言
・外壁の張替えなどといった大規模修繕に備えた修繕積立金の取り扱い
・大規模修繕工事の施工会社選定や諸手続き

などの代行なども行ったりします。

なお、マンションに常駐している「管理人」とはまったく異なる仕事です。

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マンション管理士の勤務先、活躍の場

王道はマンション管理事業者

マンション管理士の勤務先としてもっとも有力なのは、マンション管理を専門にしている事業者、いわゆるマンション管理会社です。

マンション管理士の資格は、同系統の資格である「宅地建物取引主任者」や「管理業務主任者」のように、従業員の数などに応じて必要とされる資格ではありません。

いわゆる名称独占資格といって、「マンション管理士」を名乗るために必要な資格に過ぎないのです。

しかしながら、マンション管理士の難易度から稀少性があるため、専門業界では評価が高いものといえます。

当然、それに見合う実力が要求されるのですが、同じ実力や同じ経験といった比較であれば、有資格者の方が評価が高くなります。

そのため、マンション管理会社に就職や転職を考える場合には、あるとかなり有利に働くことは間違いありません。

また、これに加えて宅地建物取引主任者や管理業務主任者も取得していると、資格的には申し分ないといえるでしょう。

宅地建物取引主任者の仕事

不動産屋でも重宝される

不動産を手がける企業は、上場企業の大会社もあれば、こじんまりした個人事務所もあり、マンション管理会社に比べると業界内での格差は大きいものがあります。

中にはマンション管理に特化しつつ、売買や賃貸も行う会社もあります。

これらの会社に就職するには、宅地建物取引主任者や管理業務主任者も取得しておくべきでしょう。

マンション管理会社のみを行う企業と違って、不動産屋の場合は宅地建物取引主任者を置くことが必須ですし、管理業務主任者の必要性も高いからです。

ほかにスキルやノウハウがあれば独立開業も

マンション管理を独立開業して行うには、単にマンション管理組合の運営を行うばかりでは不十分で、ボイラー等の機械設備の対応ができたり、リフォームの知識があったりするなどの付加価値がないと難しいものがあります。

ただ、これらの付加価値があり、クレーム対応やトラブル解決などの本来の管理業務をすばやくきれいに片づけられるのであれば、独立開業して行うというのも手です。

優良なお客さん(マンション管理組合)を一定数持つことができれば、比較的長期にわたって安定的に収入を得ることができます。

マンション管理組合のサポートとコンサルティング

マンション管理士の役割をまとめると、「マンション管理組合のサポート」と「コンサルティング」をおこなうことです。

マンションは一棟の建物にたくさんの世帯が住むうえに、専有部分・共用部分・敷地利用権といった権利関係が複雑な面もあります。

つまり、複雑な権利関係と利害関係を調整するためにマンション管理組合が設けられるのですが、組合員は住人であることから、マンションの維持や運営についての知識があるとは限りません。

むしろ、それらの知識がとぼしく、名ばかりの組合となってしまうおそれが強いものです。

そのため、マンション管理士のような専門知識をもったコンサルタントが必要とされるのです。

住民同士のトラブル解決に一役買うことも

先ほども書いたとおり、マンションには多数の利害関係が存在するものです。

とくに、ペットや騒音に関するトラブルはよく起こりがちで、これらは基本的には住人たちで解決するものですが、込み入ったことになるとマンション管理士が間に入る必要もあります。

これらのトラブルは基本的には管理規約などに則って解決されるものですが、話がこじれると感情論に発展しかねません。

そうなった場合に、住人同士ではなく中立的な立場で意見をいえるマンション管理士が頼られます。

マンション管理士は「仲介役」となるため大変な面もありますが、こうしたことで頼られるのも、プロフェッショナルだからこそといえます。

マンション管理士事務所とは

マンション管理士は、2万人程度の登録者がいるといわれていますが、専業として働く人は全国でも100人程度と推定されています。

たいていの人はマンション管理会社や不動産会社に勤務し、社員としてさまざまな業務をこなしながら、マンション管理士としての知識も役立てているようです。

一方、なかにはマンション管理士の資格を生かして事務所を開業し、自ら事業を営んでいる人もいます。

マンション管理士事務所はマンション管理会社と異なり、法令で登録が義務付けられているわけではありません。

そのため比較的開業がしやすいことが特徴であり、個人が自宅兼事務所として小規模で営んでいるケースも多いようです。

他の資格と併せて事業を営む事務所も

マンション管理士事務所は、専業で行っているところもありますが、「行政書士」など他の士業系の資格と併せて事業を営むところも少なくありません。

マンション管理士事務所として、全国にいくつもの支店を持つような大規模な企業はほぼないようですが、マンション管理士を複数抱え、マンション管理を専業で行っている事務所もあります。

マンション管理のコンサルタントは、深く広い専門知識が求められる仕事です。

未経験でいきなり事務所を立ち上げるというのは難しく、事務所を経営するマンション管理士の多くは、管理会社の第一線で勤務した経験を持つか、建築や設備などの実務経験がある人のようです。

マンション管理士事務所の仕事

マンション管理士事務所では、お客さま(マンション管理組合)に対して、マンション管理に関する相談や助言、顧問業務、大規模修繕工事のコンサルタント、管理規約の見直し、管理費等の滞納者への対応、長期修繕計画の作成、改定といったさまざまなサービスを提供します。

マンション管理をするには、法令や建物設備に関する専門的な勉強が必要となるため、マンション管理士事務所にコンサルティングを求める管理会社が増えているようです。