海上保安官の需要・現状と将来性

海上保安官の現状

日本は、四方を海で囲まれている島国です。

領海侵犯などの脅威から守るため、また、あらかじめ対策して不法侵入を防ぐためにも、海上保安官は必要不可欠な存在とされています。

近年は領海内での緊張が高まっていることから、海上保安庁の職員数は増加傾向にあります。

しかしながら、現状では決して海上保安官の数が十分な状態とはいえません。

海上保安官は「海洋秩序の維持」「海難の救助」「海上防災・海洋環境の保全」「海上交通の安全確保」「国内外の関係機関との連携・協力」という5つの大きな使命を背負っています。

このような使命を陸上に置き換えてみると、警察や消防、あるいは国土交通省や地方自治体などの大きな組織が、それぞれ分業して仕事をしています。

一方、海上では「海上自衛隊」と重なる一部の業務を除けば、海上保安庁が海の安全・治安維持のほぼすべてを担っていることもあり、海上保安官はどうしても不足しがちな状態となっています。

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海上保安官の需要

前記したように海上保安官は不足しがちで、また日本を守るために不可欠な職業であることから、需要は高いです。

日本の領海は世界各国と比較してもトップクラスの広さで、現在の人員で守ることにムリが生じているという見方もされています。

こうしたことから、最近では、海上保安庁では海上保安学校や海上保安大学校を卒業する新任者の増員をはじめ、転職希望者向けの中途採用も積極的に行っています。

とくに自衛隊や消防などで船上勤務していた人は即戦力として期待できるため、まだまだ人数は少ないものの、そういった経歴の転職者も少しずつ出てきています。

海上保安官の将来性

日本の国土の何倍もの海を守るために、海上保安官は今後も必要不可欠な存在です。

海上での犯罪、とくに密入国や密輸入などは日本国内のみならず、国際的な組織が絡んでいるため、関係各国との連携や協力も進んでいます。

犯罪のみならず、救助関係でも技術派遣や海外からの研修生受け入れもなどもあり、国際的な視点をもつ人材が求められています。

加えて、海上保安官は「国家公務員」という立場も大きな魅力といえるでしょう。

危険をともなう職種でもありますが、そのぶん給料や福利厚生面など、安定した待遇の下に仕事を続けることが可能です。

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海上保安官の今後の活躍の場

昨今は、海上保安官の国際的な活躍の場が広がっています。

ロシア語や中国語などを駆使して外国人による犯罪を捜査する「国際捜査官」もそのひとつです。

国際捜査官は通訳を介さずに、外国籍の船の立ち入り検査などを行います。

ほかにも、JICA(国際協力機構)との協力プロジェクトのために海上保安官が派遣されるケースもあります。

JICA専門家として派遣されると、発展途上国の海上安全や海上法執行の能力向上を目的として、相手国と連携を取りながら支援を最長3年間行います。

さらに、海外にある大使館や国際機関に「外交官」として出向するケースもあり、多様な活躍の場が用意されています。