板前の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介

板前の仕事とは

板前とは料亭や割烹、日本料理店などで懐石料理などの日本料理を作るプロの料理人です。

だしの取り方や調味料の使い方、包丁の扱い方など調理技術、素材の知識や器の選び方、衛生管理まで料理に関する知識が幅広く求められます。

一般的に板前は、日本料理の刺身、煮物、焼き物、天ぷらなどさまざまな調理方法のすべての技術を習得し、お客さまの前で料理できる人のことです。

修行中の人は「裏方」と呼ばれており、各々の経験に応じて、焼き物の担当「焼方」、天ぷらの担当「揚場」など決められた持ち場で働きます。

身につけるまでは段階を追って、下積みから始めなければいけません。

口に入れて感動できる味を追求することはもちろん、目で見て美しい盛り付けまで、お客さまに満足していただくために全力を注ぐことが板前の役目です。

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板前の業務の内容

調理

板前の大きな業務のひとつは、調理です。

これまでの修行で身につけた知識や経験、技術をいかして献立を作り、肉や魚、野菜まで幅広い調理をします。

「ひと通りの修行を終えるまでには最低2〜3年、長ければ10年以上かかる」ともいわれているため、いい加減なな気持ちでは板前になるまで続かない仕事です。

たとえ一人前になってもこの世界にゴールはなく、生涯を通して日本料理の道を極めていく気持ちが求められます。

板場の監督・後輩育成

板場の総責任者である「板長(いたちょう)」や「花板(はないた)」は、料理するだけでなく、ほかの板前や見習いたちが問題なく調理作業を進めているか監督することも仕事です。

また新人や後輩の育成も行っており、料理のスキルだけでなく、接客方法や和食への心がまえなどを伝えます。

接客

板前になると、カウンター越しで調理しながらお客さまとお話して接客する場面も多いです。

カウンターに立つことは店の看板として印象を左右するため、気持ちのよい受けこたえなど、コミュニケーションスキルも求められます。

食材の仕入れ・下ごしらえ

新鮮な食材を提供するためには、朝早くから市場に買い付けに出かけ、野菜や魚介類などを仕入れなければいけません。

直接市場で仕入れる場合と、専門業者を通じて仕入れる場合もありますが、買い付けは主に板前修行中の「追い回し」が担当する仕事です。

野菜は皮むきなどをして下ごしらえし、魚はウロコを取ったり、料理に合うおろし方をして下準備しをします。

洗い物・掃除

そのほか店を運営するために、洗い物や掃除、道具の管理、包丁磨きなども行っていますが、こちらも見習い中の「追い回し」の仕事です。

追い回しは下働き全般を一気に引き受ける役割があり、職人たちのまかないい料理を作ることもあります。

板前の役割

組織内の役割

板前は一人前になるまでに長い修行期間があり、役割に合わせたポジションに分かれるのが一般的です。

店舗の規模にもよりますが、上から以下のような9つの役割にまとめられます。

・板長(いたちょう)
・次板(つぎいた)
・三番板
・煮方(にかた)
・椀方(わんかた)
・焼方(やきかた)
・揚場(あげば)
・八寸場(はっすんば)、盛り付け
・追い回し(おいまわし)、下積み

トップは「板長」で花板、立板(たていた)とも呼ばれる板場の総責任者です。

副料理長は「次板」で脇板(わきいた)とも呼ばれ、副料理長の次のポジションは「三番板前」となっています。

このトップ3が店の看板として、お客さまの前のカウンターに立って活躍できる「板前」です。

その下には味付けを担当し仕込みの責任者となる「煮方」、汁物担当の「椀方」と続きますが、これより下のポジションは「裏方」とされています。

焼き魚などの焼き物担当の「焼方」、天ぷらなどの揚げ物担当の「揚場」、料理はせずに盛り付けを担当する「八寸場・盛り付け」は色彩感覚や盛り付け方を習得するポジションです。

一番下の「追い回し」は板前を目指す人が必ず通る下働きのことで、まず洗い物や調理器具の用意、店の掃除などからキャリアをスタートします。

このように板前の世界は、修行の段階に合わせたヒエラルキーがあり、師弟関係が根強く残り、礼儀作法も重視されます。

日々先輩の技を横目で盗み見ながら自主的に練習を重ね、自分の技術を少しずつ高めなければいけません。

板前の社会的な役割

板前は、お客さまにおいしくて目にも美しい日本料理を提供する存在です。

同時に伝統的な日本料理を正しく受け継ぎ、後世に伝える役割もあります。

2013年にユネスコ無形文化遺産に「和食」が登録されてから、日本料理が世界から注目されている中で、ますます板前の役割は大きいといえるでしょう。

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板前の勤務先の種類

板前の勤務先の種類は、料亭、旅館、個人経営店などがあり、代々受け継がれた伝統ある店から大手チェーン店まで幅広くあります。

料亭は見た目や盛り付けにこだわった、オリジナリティあふれる日本料理を提供することができるので、板前中の板前ともいえる仕事ができる職場でしょう。

料亭の多くは見習いや板前が数人在籍していて、教育体制が整っていることも特徴です。

一方旅館は、日本料理を提供する温泉宿やホテルなどでも働くことができます。

あらかじめ決まったメニューを大量に調理するために、数人〜数十人の板前が在籍しており、決まった量を時間内に作ることが大切です。

個人経営店には和食屋さんやお寿司屋さんがあり、小料理屋さんのようにオーダーを受けてから料理を作ることが多いため、どんな料理をどれだけ作るかはその日によって異なります。

このように日本料理を提供する店は多いため、やる気があれば働ける場所は多いでしょう。

板前の仕事の流れ

板前の仕事は、仕込みと営業で大忙しです。

見習いとは違って板前は雑務が少なくなりますが、自分の担当の仕込みや買い付けなどがあれば出勤時間は自然と早くなります。

またランチ営業を行っている場合は、午前中に仕込み、昼に営業、中休みの間に夜の仕込みをして夜の営業に入り、後片付けをして退勤となるため、中休みがあってもゆっくりくつろぐ時間はあまりありません。

新しいメニューを開発する場合は閉店後に行うことが多いため、待機時間が深夜になることも考えられます。

長時間立ちっぱなしで体力も集中力も消耗するため、毎日忙しいスケジュールをこなすのが特徴です。

板前と関連した職業

板前と寿司職人の違い

寿司職人は日本の伝統食である寿司を握り、お客さまに提供する仕事です。

寿司職人になるために絶対に必要な資格はなく、現職の寿司職人に弟子入りし、現場で仕事を覚えます。

板前と同じように寿司職人も資格は必須ではなく、調理師免許が就職時にあればよいという程度です。

寿司職人の仕事

板前と調理師の違い

調理師はレストランや料亭、ホテルなどで料理を作る仕事で、学校の給食や病院の食事も担当しています。

調理を行う人を総称して調理師と呼ぶため、板前と同じように日本料理を作ることもあれば、西洋料理を作ることもある仕事です。

調理師と名乗るには資格が必須で、調理師国家試験に合格しなければいけません。

調理師の仕事