板前の需要・現状と将来性
板前の現状
国内・海外から注目が集まる和食
板前は厳しい修業期間を乗り越え、プロの味を提供する存在として、一目置かれる存在です。
2013年にユネスコの無形文化遺産に「和食」が登録されてから、和食や日本料理への注目度はさらに国内・海外問わず高まっています。
寿司や天ぷらなどの日本食は、素材を生かすための調理技術や道具、そして料理を盛り付ける器などが優れており、日本食を取り巻く文化そのものが世界に誇るべきものと判断されたのです。
さらに近年は「ヘルシーでおいしい」といったイメージから、外国人も和食に大きな関心を寄せており、和食を求めて日本に来日する外国人旅行者も増えています。
業界の課題
日本料理は厳しい世界であるため、残念ながら修業中に挫折してしまう人が少なくないことが業界の課題です。
体で覚え、技術を磨いていく職人的な仕事であるため、板前になるには見習い期間を含めて10年かかるといわれています。
もし次の世代をになう若手が出てこなければ、先代から大切に伝わってきた伝統の「技(わざ)」を受け継ぐことが難しくなり、最悪の場合は店をたたまなければいけません。
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板前の需要
板前の需要は料亭ばかりでなく、旅館やホテルなどさまざまな場に広がっています。
代々受け継がれてきた歴史ある個人店から、大手チェーン店まであるので、自身の理想のキャリアに合わせて職場を見つけることが可能です。
未経験者は見習いからスタートすることになりますが、全国の多くの店舗で求人が募集されているので、やる気さえあれば職場を見つけることができるでしょう。
また海外の和食ブームが盛り上がりを見せていることから、海外の日本食レストランで腕を振るっている板前も少なくありません。
東南アジアをはじめ、アメリカ、イギリス、スイスなどの欧米圏でも板前の求人は多いものの、実際に日本人板前が少ないので重宝されているのです。
和食ブームの背景もあって、板前の仕事は活気付いているといえます。
板前の将来性
板前は、将来性のある仕事といえるでしょう。
一般家庭の食事とは異なり、繊細な味や見た目の美しさをとことん追求し、日本の食文化を守り続けるのが板前の仕事です。
もちろんお客さまのニーズや時代の流れに合わせてサービスを考える必要はありますが、一方で日本の大切な伝統文化を守り、受け継ぐという使命はこれからも変わりません。
近年はAIの台頭が話題になりますが、プロの職人が作る料理や盛り付けは、機械には決してマネできないため、板前の仕事がなくなることは考えにくいでしょう。
また若手の職人不足が業界の課題となっていますが、チェーン展開している企業では大企業の安定性を生かして、若手の板前たちが成長しやすい環境を整えている企業もあります。
厳しい上下関係を守る店もありながら、若者が働きやすい店作りを行う店も増えており、板前を目指す人が自分らしく働きやすい環境が整えられているのです。
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板前の今後の活躍の場
板前の今後の活躍の場は、和食が注目されていることから広がりを見せています。
経験とともに技術を身につけ、独立開業して自身のお店を出し知名度が上がれば、テレビや雑誌で取り上げられることも多く、年収1,000万円以上も夢ではありません。
人気板前が高級旅館とコラボレーションをしてイベントを行ったりと、異業種と連携して活躍している人もいます。
さらに海外での和食ブームに注目し、語学力を身につけて海外で活躍する日本人の板前も増えました。
実際に海外で就職する日本人の板前は貴重な人材であるため、現地でも好待遇で働くことができ、日本よりも平均年収が高い場合が多いようです。