法務のつらいこと・大変なこと・苦労
法務のつらいこと・大変なこと
のしかかるプレッシャーの重さ
法務は、非常に大きな責任のかかりやすい職種といえます。
たとえば消費者や取引先との間で何らかの問題が発生した際、法律知識を使ってトラブルの解決を図るのが法務担当者の役割です。
もしも対応を誤れば、示談などでは済まず、訴訟に発展することもあります。
訴訟に発展すると企業イメージがひどく損なわれたり、信用力を大きく失ってしまうこともあり得ます。
とくに近年はSNSの普及によって情報は一瞬で拡散されますので、小さなトラブルが大問題に発展するケースも増えています。
かといって、トラブルが大きくなるのを恐れ、弱腰で対応して相手のいいなりになっても、自社の利益を守ることにはなりません。
バランス感覚が求められる仕事の難しさは、契約書の審査など、どんな業務でも同じです。
絶対にミスの許されない重いプレッシャーのなかで仕事にあたらなければならないのが、法務のつらいところといえるでしょう。
求められる勉強量の多さ
法務担当者は、法律に対する豊富な知識と深い理解が不可欠です。
しかし、法律はひとつひとつが難解であるうえ、分量的にも非常に膨大であり、勉強するのが大変です。
総務省によれば、日本にはおよそ2000もの法律があるとされています。
民法や商法といった基本的な法律をはじめ、会社法や特定商取引法、労働基準法、不正競争防止法など、企業の法務担当者が押さえておかなければならない法律だけでも軽く数十はあります。
メーカーなどでは特許関連の知識も必要ですし、海外と取引している場合は、相手先の国の法律や国際法、外為法(外国為替及び外国貿易法)などにも精通しておくことが必要です。
そして、これらの法律は、社会や時代の変化を受けて、頻繁に改正されていきます。
法務として働く限り、生涯にわたって勉強し続けなければならないのは間違いないでしょう。
20代で正社員への就職・転職
法務の悩み
多くの法務担当者が抱える共通の悩みとして、「仕事がマンネリ化しやすい」という点が挙げられます。
どのような種類の契約書を使うか、あるいはどのような法的トラブルに見舞われやすいかは、自社の事業内容によってある程度パターン化されます。
他部署から持ち込まれる契約書のチェック業務についても、毎回そこまで大きく内容が変わるわけではありません。
このため、法務部に配属されて数年も経つと、同じ作業の繰り返しに飽きてしまう、モチベーションを失ってしまうという人も一定数見受けられます。
また、法務の仕事は専門性が高いために、ほかの部署の社員とは違って、基本的に他部署に異動することがありません。
担当者、主任、係長というふうに昇格して役割が変わっていくことはあっても、仕事内容としてはほぼ同じです。
ルーティンワークが苦手な人ほど、法務の仕事に不満や悩みを抱えやすいといえるでしょう。
法務を辞める理由で多いものは?
法務を辞める理由で多いのは、社内の関連部署とうまく関係を築けなかったケースです。
法務部は、社内で「守り」を手掛けることの多い部署であり、意見が衝突することもしばしばあります。
具体的には、一刻も早く契約を結びたい営業部と、きちんとチェックしたい法務部、多少グレーでも事業を進めたい経営陣と、できるだけ危ない橋は渡りたくない法務部、といったパターンがよく見られます。
お互い綱引きのような状態に陥ったときにうまく調整できないと、人間関係がこじれて仕事が嫌になったり、自身の仕事に意義を見いだせなくなって、辞めてしまう人もいます。
また、環境を変えて新しい仕事を手掛けたいと、別企業の法務部に転職するケースも一定数見受けられます。