編集者の需要・現状と将来性
編集者の現状
「出版不況」といわれて久しい近年、日本人の読書離れが進み、市場規模がピークだった1996年に比べると現在は6割程度に落ち込むなど、本の売れ行きは大きく伸び悩んでいるという現状があります。
出版業界の第一線で活躍する編集者の将来は、出版社や編集プロダクションの将来とも置き換えることができます。
数十年前ならば、本や雑誌は出版すれば一定の売り上げを上げることができました。
しかし現在は読者が少なくなっただけでなく、限られた読者の見る目が非常にシビアになり、売れない本にはまったく興味を示さなくなりました。
そして起こったのが二極化、つまり売れる本とそうでない本とのギャップが激しくなったのです。
出しても鳴かず飛ばずの発行部数しか出すことができない出版社や編集プロダクションは、これからどんどん淘汰されていき、そこに所属している編集者も辞めざるを得なくなります。
たとえ編集者としての経験があったとしても、零細企業や倒産した出版社で働いていた編集者を雇いたいと考える出版社が少ないのが現状で、編集者としては大変厳しい状況に置かれています。
20代で正社員への就職・転職
編集者の需要
編集者そのものとしての需要を見ると、そこまで落ち込んではいるわけではないようです。
現在は本や雑誌よりもWeb媒体に注目が集まっているため、編集者は不要であると考える人もいますが、現役の作家や漫画家から編集者の存在を否定する声はほとんどなく、作品作りのパートナーとして編集者はしっかり根付いた職業だと言えるでしょう。
しかし、現場では「仕事ができる編集者」と「仕事ができない編集者」に二極化され、できる編集者は生き残り、できない編集者は業界を去るという傾向が強まっているといわれます。
編集者は決して激務となるため、退職する人も少なくなく、慢性的な人手不足にも陥っているとも言われますが、良くも悪くも実力主義である業界のため、仕事ができる編集者のところに仕事が集まり、そうでない編集者のところには仕事は来ないという極端な仕事の偏りがあるようです。
編集者の将来性
今後は、出版社も紙媒体よりWeb媒体に力を入れていくことでしょう。
仕事もIT化が進み、原稿の受け取りや入稿など誰にでもできる仕事はどんどんデジタル化されていくと考えられます。
その際、編集者として問われることは「作品づくりに情熱をかけられるか」「作家とよい関係が築けるか」にかかってきます。
編集者として自分が何をすべきなのか、与えられた仕事以上のことをきちんとこなすことができるかどうか、ということが強く問われてくるようになるでしょう。
また、紙媒体だけでなくWEB上でも編集ができる人がより重宝され、紙媒体の編集だけにこだわる編集者は、実力により今後淘汰されていくと予想されます。
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編集者の今後の活躍の場
これからは電子書籍の市場がどんどん広がっていくことが予想されます。
今後の編集者は、今までの書籍・雑誌を中心とした市場展開にとらわれないアイデアで作品・コンテンツの認知度を広げていく企画力が必要になってくると考えられます。
また、出版社や編集プロダクションだけでなく、WEB媒体を扱う企業でも編集者の活躍の場が増えてくることでしょう。
近年はSNSやブログ、趣味の交流サイトや作品を発表するサイトから人気作家が生まれ、書籍化・漫画家される作品も多くなってきています。
日常のあらゆることにアンテナを張り、時代の流れに取り残されない働き方をしていくことが重要だと言えるでしょう。
参考:出版業のデータ
出版業売上高の推移
2021年の紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は前年比1.3%減の1兆2,080億円となりました。内訳は、書籍が同2.1%増の6,804億円、雑誌は同5.4%減の5,276億円。紙の書籍がプラスとなるのは2006年以来で15年ぶりです。
2021年の電子出版市場は前年比18.6%増の4,662億円となりました。内訳は、電子コミックが同20.3%増の4,114億円、電子書籍が同12.0%増の449億円と成長を続けております。