配管工になるには? 必要な資格は?
配管工になるまでの道のり
配管工になるにあたって、どこか特定の学校で学んだり、資格を取得したりといったステップを踏む必要はとくにありません。
配管工事を手掛けている建設会社や設備会社などの求人に応募し、面接を受けて採用されれば、すぐに配管工として働きはじめることができます。
ただし、配管工事には専門的な知識と技術が必要です。
扱うものが水道やガスといったインフラであるだけに、施工には些細なミスも許されません。
このため、配管工になった直後は、配管工事ではなく、掘削作業や運搬作業といった配管工事まわりの肉体労働に従事するケースが一般的です。
力仕事をこなしつつ、さまざまな現場を経験し、徐々に配管工としてのスキルを磨いていきます。
また、数年程度のキャリアを積んだ後には、自身の技術を客観的に証明するために、「配管技能士」の資格を取得する人もいます。
一連の配管工事を単独で施工できるようになり、なおかつ資格まで取得できれば、自他共に認める「一人前の配管工」になったといえるでしょう。
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配管工の資格・難易度
配管技能士
配管技能士は、厚生労働省の認定する技能検定制度の一種であり、配管工にとって最もメジャーといえる資格です。
配管技能士資格には、1級・2級・3級の区分があり、1級は上級者向け、2級は中級者向け、3級は初級者向けに位置付けられています。
受験資格もそれぞれに異なり、入門編となる3級については誰でも受験できるものの、2級以上では、学歴に応じた数年間の実務試験を積んでいることや、下の級に合格していることなどが条件となります。
配管技能士試験の難易度については、区分ごとの合格率が開示されていないため一概にはいえませんが、全体の合格率は例年50%前後で推移しています。
しっかりと現場で仕事に打ち込んでから受験すれば、合格はそこまで難しくないでしょう。
管工事施工管理技士
管工事施工管理技士は、国土交通省の認定する国家資格で、管工事の施工計画を立案したり、ほかの作業員に指示するなど、現場監督として働くのに必要となる資格です。
管工事施工管理技士には、難易度や受験資格の異なる1級と2級のふたつの区分があり、どちらも学科試験と実地試験の双方をクリアすることで合格となります。
近年の合格率は、1級の学科試験が40%前後、実地試験が50%前後、2級の学科試験が60%、実地試験が40%前後です。
配管技能士と比べると、合格率自体に差はありませんが、難易度としては管工事施工管理技士のほうが圧倒的に上であり、しっかりとした受験対策が必要になります。
配管工になるための学校の種類
配管工は、基本的に学歴不問の職業で、中卒や高卒から配管工になることも十分に可能です。
ただし、配管工事について学べる学校も数多くあるため、働きはじめる前に一通りの知識やスキルを身につけておくことも、スムーズに仕事に入るうえでは非常に有効といえます。
また、学歴があれば、上述した資格試験の受験資格を得るのに必要となる実務経験期間が「年単位」で短縮されるため、キャリアを形成していくうえでも有利となります。
必須とまではいえませんが、後々のことを考えると、できる限り進学することが望ましいでしょう。
配管工になるための学校としては、工業高校、建築系や工業系の専門学校、大学の工学部や建築学部などが挙げられます。
とくに管工事施工管理技士まで目指すのであれば、大学や短大まで進み、土木工学や都市工学、衛生工学、建築学などを修めておくことをおすすめします。
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配管工に向いている人
配管工は、ものづくりを担う建設業界の職業であるものの、ゼロからものをつくるのではなく、さまざまな形状をした既存の配管をつなぎ合わせるという「組立作業」がおもな仕事になります。
限定された空間のなかにきれいに配管を納めるためには、設計や組立手順などを創意工夫する必要があり、配管工の仕事は、パズルゲームのような面白さ、楽しさがあります。
プラモデルやラジコンなど、何かを組み立てるのが好きだったり、パズルゲームが好き、あるいは得意という人は、配管工の適性があるでしょう。
また、配管工は、床下やPS(パイプスペース)など、空調のない狭い場所で何時間も地道な作業をこなさなければならないため、暑さ寒さに強い人や、忍耐力に自信のある人も向いています。
配管工のキャリアプラン・キャリアパス
配管工として採用された後は、まずは見習いとして、3ヵ月程度の研修期間を過ごします。
工具の名称や使い方、仕事に対する心構えなど基本的なことを学びつつ、穴掘りや配管の埋設、埋め戻し、資材運び、現場の清掃、先輩の各種雑用などをこなします。
この期間は、ボールペンとメモ帳を常に携帯し、教わったことを逐一その場でメモして、同じことを2度尋ねなくて済むようにすることが大切です。
その後、ビス締めや設置など、基礎的な作業から始まって、加工や組立、設備の据付など徐々に高度な作業を担当し、およそ3年ほどかけて一通りの専門技術を身につけます。
一人前の配管工となった後については、現場の職人として技術を磨き続ける人もいれば、管工事施工管理技士の資格を取って監督にキャリアアップする人、独立開業する人もおり、キャリアプランはさまざまです。
配管工を目指せる年齢は?
配管工は、学歴も資格も不要であり、非常に門戸の広い職業といえます。
年齢制限についても緩めであり、採用にあたってとくに上限を設けていない企業も散見されます。
しかし、配管工は現場作業が主体となる体力勝負の仕事であり、とくに見習いのうちの作業内容は、上述の通りハードです。
このため、体力的に充実している若い人材のほうが好まれやすいことは間違いなく、また人材育成という観点から考えても、40代や50代からキャリアをスタートさせることはあまり現実的とはいえません。
35歳前後が、配管工を目指せる実質的な年齢上限の目安となるでしょう。
ただし、建設関係のほかの仕事に従事した経験があったり、関連資格があったりすると、それ以上の年齢から配管工として活躍することも可能です。
配管工は女性でもなれる?
配管工は、建設関係の仕事のなかでは比較的女性の多い部類に入る職種であり、企業によっては女性割合が4割を超えているところもあります。
配管工事は、屈強な筋力や持久力などが求められる肉体労働であるものの、同時に、限られたスペースをどのように利用すればうまく施工できるか、知恵やアイデアを絞る頭脳労働でもあります。
女性は、身体的な能力でどうしても男性に劣ってしまう面は否めませんが、ほかのスキルでそれらをカバーして、男性と同じか、男性以上に、配管工として活躍することもできるでしょう。
女性配管工のなかには、現場のリーダーや主任者になり、施工管理を担ったり、男性スタッフを取りまとめている人もいます。