義肢装具士になるには
義肢装具士になるまでの道のり
義肢装具士として働くためには、義肢装具士国家試験に合格することが必要です。
義肢や装具を作成することに対して、資格は必要ありませんが、患者さんの採寸をしたり、適合させたりするときには資格が必要とされています。
受験資格を得るためのルートはいくつかありますが、主なルートは3つあります。
・高校卒業後、義肢装具士養成所において、3年以上義肢装具士として必要な知識及び技能を学ぶ。
・大学または短大で1年以上(高専は4年以上)学び指定科目を履修し、その後、義肢装具士養成施設で2年以上義肢装具士としての知識や技術を学ぶ。
・職業能力開発促進法に基づく義肢及び装具の製作の技能検定に合格し、1年以上義肢装具士として必要な知識及び技能を学ぶ。
このいずれかのルートを選択し、義肢装具士の国家試験を受験、合格することができれば晴れて義肢装具士となることができます。
多くの場合、資格を取得後は義肢装具の製作を業務としている企業へ勤務することになります。
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義肢装具士の資格・難易度
義肢装具士国家試験の合格率は数字で見ると高いです。
しかし、簡単な試験というわけではありません。
むしろ、義肢装具士になりたいという意欲が強く、しっかりと勉強した人が受けているからこそ、高い合格率となっているのです。
義肢装具士の国家試験受験資格を得るためには、何かしらの教育機関で専門的に学ぶ必要があります。
この期間中に、必要な内容をしっかりと学び、真剣に向き合うことが義肢装具士になるためには不可欠なのです。
義肢装具士になるための学校の種類
義肢装具士の受験資格を得るためには、義肢装具士の養成校に通って専門的に学ぶ必要があります。
具体的には、大学あるいは短大、専門学校などの専門コースに通うことになります。
残念ながら、日本において義肢装具士になるために学ぶことができる養成校はあまり多くありません。
大学で言うと、北海道科学大学や新潟医療福祉大学、広島国際大学などで学ぶことができます。
専門学校でも学ぶことができる学校はあります。
神戸医療福祉専門学校や北海道ハイテクノロジー専門学校などの私立校の他、専門学校には国立障害者リハビリセンター学院という国立の施設もあります。
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義肢装具士に向いている人
義肢装具士の仕事は義肢や装具を実際に製作するものづくりの部分と、その前後で患者さんの対応をするコミュニケーションの部分があります。
義肢装具士はひとつの案件で最初から最後までひとりで担当することも多く、このどちらもスムーズに行えることが大切です。
まずは製作の部分ですが、身体に装着する器具を作成するため、細かい作業が必要となります。
職人的な技が求められるため、手先が器用な人が望ましいといえます。
コミュニケーションの部分においても、優れた会話力を有する人物が好まれます。
義肢装具士が関わる患者さんは、体の一部が思うように動かないという、ナイーブな問題を抱えている人です。
患者さんの気持ちをくみ取り、親身になって考えることができなければ、その患者さんにとって最適な義肢や装具を作成することは難しいでしょう。
患者さんの求めるポイントや不安に感じている内容を理解し、その人の本当のニーズを理解することができる人、また、人の心を開き、本音を引き出すのが上手な人は特に義肢装具士に向いていると言えます。
義肢装具士のキャリアプラン・キャリアパス
義肢装具士は職人的な部分もあり、技術者として長く働き続ける人も多くいます。
そういった人の場合、ずっと関わり続けている病院やリハビリ施設、患者さんの対応が多くなるようです。
また、ある程度経験と技術を身につけたら、別の分野に挑戦する人もいます。
身体能力をサポートする義肢や装具の製作経験を生かし、スポーツ用品や健康器具の開発にたずさわる人もいます。
あるいは、十分な経験と技術を身につけたら現場を退き、養成所である大学や専門学校で講師として、後進を育てる仕事に従事するというキャリアプランもあります。
義肢装具士を目指せる年齢は?
義肢装具士の国家試験には年齢制限はありません。
ただし、受験資格として「学校教育法の規定により大学に入学することができるもの」という前提があるため、高卒かそれと同等以上の学歴や資格が必要となります。
年齢の上限はありませんから、大学入学に必要な資格を有しており、その上で大学や短大、専門学校などで義肢装具士になるための課程を修了していれば、何歳でも国家試験を受験することができます。
実際、義肢装具士になるための学校には様々な年齢やバックグラウンドのある方が通っています。
義肢装具士になるために、年齢を理由にあきらめる必要はないでしょう。
ただし、義肢装具士の仕事は体力が必要な仕事です。
事前の患者さんとの面談や装具の調整のため外回りも多いですし、案件が立て込んでいる際には製作や修理、調整作業が重なり、残業時間が長くなってしまうこともあります。
年齢制限はありませんが、これらの労働に耐えられるだけの体力はしっかりとつけている必要があります。
義肢装具士は女性でもなれる?
指定の課程を修了し国家試験に合格すれば、当然女性でも義肢装具士になることができます。
しかし、義肢装具士として働くためには体力が必要となります。
女性だからといって一部の業務が免除されるというわけにもいきませんから、周りの男性と同じように力仕事や長時間労働もこなす必要があります。
義肢装具士を目指す際には、このような労働環境に耐えられるようしっかりと体力をつけておくことをおすすめします。
義肢装具士の求人状況・就職先選びのポイント
義肢装具士の就職先にはどんなところがある?
義肢装具士は医療職でありながら技術職でもあり、かつ医療現場ではなく会社で働く人が多いという、少し特殊な職業です。
求人についても義肢装具製作会社が募集していることが一般的で、医療現場の求人は比較的少ない傾向にあります。
会社で働いていくと、通常のサラリーマンと変わらないスタイルでの仕事になることもありますし、営業についての話が出てくることもあります。
義肢装具士としてどのような仕事をしていきたいのか、働き方をしていきたいのかをしっかりとさせておくと、数多くある会社の中でも自分に合わせた会社を選びやすくなるでしょう。
また、義肢装具士は会社員であるケースが多いですが、病院で働く義肢装具士がいないわけではありません。
医療現場で仕事をしたいというこだわりがあるのであれば全国に目を向けて職場を探して見るとよいかもしれません。
義肢装具士の求人の状況
義肢装具士の資格を所持している人はまだそれほど多くありません。
それだけに希少価値があるともいえますので、就職のときには有利です。
給与面や勤務地、そのほか待遇など譲れない条件がたくさんある場合は一概に言えませんが、そうでなければ就職先を見つけることはそこまで難しい職業ではありません。
ただし、義肢装具士の資格取得者は年々増加している傾向にあるので、今後競争率が厳しくなっていく可能性はあります。
義肢装具士の就職先の選び方
義肢装具士としての就職先を選ぶ際には、まず会社に就職するのか、それとも病院など医療施設に常駐することを希望するのかを決める必要があります。
医療施設に常駐する場合、患者さんと密にコミュニケーションをとり、ひとりひとりに親身になって仕事にあたることができます。
しかし、実際の義肢や装具の作成は外注となってしまうことも多く、製作にしっかりとたずさわりたい場合は向かない可能性があります。
一方会社に就職した場合、訪問を通しての患者さんとのコミュニケーションや、義肢や装具の製作などバランスよくたずさわることができます。
しかし、営業や事務処理など、付随業務も多く、メイン業務以外に時間を取られてしまうという点も考慮が必要です。
また、会社に就職する場合は、その会社がどのような分野に注力しているのかを調べておくと良いでしょう。
義肢や装具の世界は大変幅広く、かつ奥が深い世界です。
自分はどのような器具を作りたいのか、あるいはどのような患者さんの力になりたいのかをよく検討し、それに合った会社を選ぶ必要があります。
義肢装具士の志望動機・面接
義肢装具士として働くためには、履歴書の提出や面接など、一般の就職活動と同様のプロセスをふむ必要があることがほとんどです。
なぜこの仕事を選んだのかの他に、会社の場合、同業他社ではなくその会社でなければいけない理由についても触れることができると好印象でしょう。
また、義肢装具士の特徴として、医療者としてのコミュニケーション力と、職人としての技術力の両面が必要になるという点があります。
そのため、志望動機や自己PRを述べる際には、この両面に言及する必要があります。
就職先はどのように探したらいい?
雇用主によっては、一般的な求人サイトやハローワークなどに求人を出しているケースもあります。
あるいは、医療職専門のサイトなどものぞいてみる価値はあるでしょう。
病院や大手企業の場合、公式サイトで直接求人募集を出していることもありますので、希望する施設や企業がある場合はチェックしておきましょう。
義肢装具士という仕事は特殊な専門職であり、就職先の選択肢が豊富にあるわけではありません。
病院に常駐したい、この装具に特化して取り組みたいなど、どうしても譲れない条件がある場合には、それ以外の条件で妥協する必要がある可能性もあります。
例えば、自分の居住地域だけでなく全国を視野に入れて探し、条件に合う就職先があれば移住するという選択肢も考えられます。