女性の義肢装具士のキャリアパス・結婚後の生活

女性の義肢装具士の現状

残念ながら、小規模の製作会社においては女性の義肢装具士は一人いるかいないかという程度であり、就業している人の大部分が男性であるというのが現状です。

また、義肢装具士の仕事は体力勝負であり、力仕事も多いため、どうしても男性が有利になってきます。

そのあたりも女性の義肢装具士が少数である理由といえるかもしれません。

しかし近年、義肢装具士に対する女性の興味が高まってきており、専門の教育機関に通う女性も増加傾向にあります。

義肢装具士として働く上で女性ならではの強みやメリットも数多くあり、現場では女性の義肢装具士を求められることもあります。

このような流れを受け、今後女性の義肢装具士の数は増えていく可能性は十分にあります。

女性の義肢装具士の強み・弱み

女性の義肢装具士の最も大きな強みは、患者さんに与える安心感でしょう。

女性の中には採寸などの際、男性に触れられることを嫌がる人もいるため、女性の義肢装具士の存在が非常に心強いものになります。

装具療法が用いられる疾患は、四肢欠損など大きなものだけではありません。

例えば、「外反母趾(がいはんぼし)」や「側彎症(そくわんしょう)」というものがあります。

いずれも女性に多い疾患であり、その患者数は近年とくに増加傾向にあるといわれています。

そのため、女性の義肢装具士のニーズは今後さらに高まっていくと考えられます。

患者さんと直接コミュニケーションを取り、患部に触れて採寸するという行為は、義肢装具士にしかできない大切な役割です。

心の深い部分を見せ、体に触れられるというプライベートな行為においては、女性ならではの細やかな気配りや柔らかい声掛けが適している分野でもあります。

また、義肢・装具は時代の流れや医療の発展と共に変化してきています。

義肢・装具の改良において、女性ならではの視点や感性に集まる期待も年々増しています。

例えば、義足を使う女性が妊娠をし、体型が変化しても対応できるように開発された「マタニティ義足」というものがあります。

今後、ますますニーズが高まることが予想されるマタニティ義足のフィッテイングにも女性の活躍が期待されるでしょう。

志願者は増加傾向にあるとはいえ、まだまだ女性の義肢装具士は足りない状況です。

将来性や需要を考えた上でも、義肢装具士を目指す女性が求められています。

義肢装具士の結婚後の働き方・雇用形態

最近では、結婚後も結婚前と同じように変わらず働く女性が増えてきています。

義肢装具士の業界においても同様で、結婚後にも自分の案件をたくさん担当し、激務をバリバリこなしている女性も存在しています。

しかし、結婚相手の都合などで働き方を変更したり、あるいは働く場を移動する必要があることもあるでしょう。

そのような際にも、義肢装具士であることのメリットがいきてきます。

義肢装具士の仕事を必要としている人材は、日本全国、いえ、世界中に存在しています。

そのため、結婚後、何かしらの都合で働き方や働く場を変える必要があったとしても、次の職場を比較的見つけやすい職業であるといえます。

また、ものづくりの職人的な面もある仕事ですから、業務を通じて自分の技術をしっかり磨いていれば、これまでの経験とその技術が武器となり、より良い職場を見つける助けとなるでしょう。

義肢装具士は子育てしながら働ける?

ひとつの案件を最初から最後までひとりで担当するスタイルの会社の場合、時期によっては残業がかさんだり、休日出勤の必要が生じる可能性もあります。

そのため、子育てしながら働き続けることは難しい、と感じる女性も少なくないようです。

しかし、会社によっては採寸担当、製作担当というように業務を切り分けて分業制にしている会社もあります。

そのような会社では、自分の勤務可能な時間数に応じて業務を調整してもらうことも可能かもしれません。

また、製作だけを担当するパート職員を募集しているケースなどもあり、自分の希望に合わせた働き方を選択可能です。

とはいえ、子育てをしながらでも、患者さんと関わる仕事をあきらめたくないという人もいるでしょう。

その場合は、会社に事情を説明して、一度に担当する案件数を調整してもらうなど、自分のできる範囲で勤務できるよう相談してみることもひとつの選択肢といえます。

義肢や装具を利用する人には、様々なバックグラウンドを持った人がいます。

中には子育て中の患者さんもいるでしょう。

そのようなケースにおいて、子育ての大変さを理解し、小さい子どもと一緒の生活を想定した義肢や装具を提案することができるのは、子育て中の女性義肢装具士ならではともいえます。

義肢装具士は女性が一生働ける仕事?

義肢装具士は、ものづくりの技術職であり、人と関わる医療職です。

特にものづくりの技術は、作れば作っただけ身につき、自分の財産となっていきます。

また、これまでの経験と技術を生かし、全く新しい商品や技術を生み出すこともできるかもしれません。

技術や経験は、時間をかけることなしに身につけることはできません。

職務を通して身につけたこれらのスキルは、ひとりひとりの義肢装具士にとってかけがえのない財産であり、強い武器となります。

結婚や出産など、ライフスタイルの変化に伴ってキャリアを中断しなければいけないことが、女性には起こり得ます。

そのようなことがあっても、落ち着いてから再度職を得ようと考えたときには、身につけた技術と経験が身を助けてくれます。

しっかりと仕事に取り組み、自分のスキルアップを実現することができれば、義肢装具士の仕事は女性にとって一生働くことができる仕事であるといえます。