コンサルタントになるには? 必要な学歴はある?
コンサルタントになるまでの道のり
コンサルタントになる代表的な方法は、「コンサルティングファーム」と呼ばれるコンサルタントを専門におこなう民間企業に就職することです。
一口にコンサルティングファームといっても、その種類はさまざまです。
経営に関する「経営コンサルティングファーム」もあれば、ITシステムに関する「ITコンサルティングファーム」や、病院経営に関する「医療コンサルティングファーム」などもあります。
これらのコンサルタント企業はそれぞれで専門分野が異なっているため、「自分自身がどんなコンサルタントを志望するのか」をよく考えたうえで就職先を選ぶことが大切です。
また、一般企業で一定のキャリアを積んだあとに、その専門知識を生かすせるコンサルタント企業に転職するケースもあります。
その場合は実務経験がある分クライアントからの信頼も得やすいため、コンサルティングファームにとっても貴重な人材だといえるでしょう。
20代で正社員への就職・転職
コンサルタントになるための学校の種類
コンサルタントは特定の学歴や資格が必要な職業ではありません。
とはいえ、幅広い知識が必要な仕事であることから、4年制の大学や大学院を卒業してからコンサルタント企業への就職をめざすことが一般的です。
個人で独立して活動することも可能ではありますが、実績がなければ取引先からの信頼を得ることが難しいため、最初はコンサルタント企業で経験を積むケースがほとんどでしょう。
コンサルタントは求められる能力も高く、また給与水準も比較的高めで人気の職業であることから、難関大学出身者などの高学歴の学生の応募が集まる傾向があります。
出身学部については「法学部」「経営学部」「商学部」などが多いですが、「数字に強く、論理的思考力がある」といった理由から理系学部の出身者を採用する企業も少なくありません。
コンサルタントに向いている人
コンサルタントはクライアントの経営状態や企業体質を細かくチェックして、具体的な改善策を提案するのがおもな使命です。
「経営に興味がある」「数字に強い」という人にとっては、コンサルタントはやりがいの大きい職業になるでしょう。
また、たくさんのデータをもとに情報を整理したうえで、その解決策を筋道立てて考えていく必要があります。
「論理的な思考ができる」という人も、コンサルタントは大いに能力を発揮できる仕事といえます。
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コンサルタントのキャリアプラン・キャリアパス
コンサルティングファームなどで実績を積んだあとのキャリアパスは、非常に多様なキャリアプランが考えられます。
その会社内で出世して上の地位をめざしていくこともできますが、これまでの実績を生かして、より条件の良い大手コンサルティングファームへ転職することも可能です。
また、民間企業の「経営戦略部門」などでコンサルタント経験者を採用するケースもあり、そういった企業へ転職することもできるでしょう。
それ以外にも「フリーのコンサルタントとして独立する」という道もあるなど、コンサルタント業で身につけた知識・経験を生かしてさまざまなキャリアを選択できます。
コンサルタントが独立してフリーランスになるには?
フリーランスのコンサルタントの働き方・仕事内容
コンサルタントは、「コンサルティングファーム」などの企業に属して働くコンサルタントと、フリーランスとして活動するコンサルタントの2種類に分かれます。
会社に属するか、もしくは個人で活動するかによって働き方は大きく変わりますが、コンサルタントとして果たすべき使命は同じです。
まずはクライアントが抱える課題についてヒアリングをおこない、経営状態や雇用状況の分析・調査を進めて問題点を見つけ出し、最終的には具体的な解決策を提示します。
企業専属であってもフリーランスであっても、クライアントから求められる役割や仕事内容などに関しては大きな違いはないといえるでしょう。
フリーランスのコンサルタントになるまでのキャリアパス
コンサルタントになるために特別な資格などは必要ないため、たとえ未経験であっても「フリーランスコンサルタント」と名乗ること自体は誰でも可能です。
とはいえ、クライアントから「この人に頼みたい」と思えるような実績や専門知識を持っていなければ、当然ですが仕事をとることはできないでしょう。
そのため、まずはコンサルタント企業に就職してキャリアを積んだり、自分の専門としたい業界での職務経験を積んだりして、高度な専門知識やスキルを身につけてから独立をめざすのが一般的です。
また、それらの実務経験をとおして「幅広い人脈」を作っておくことも、フリーランスコンサルタントとして活躍していくための重要なポイントといえます。
フリーランスのコンサルタントのメリット・デメリット
フリーランスコンサルタントになるメリットの一つに、「収入アップ」が期待できる点が挙げられます。
企業で働くコンサルタントの場合、クライアントから受け取る報酬額のすべてが、そのプロジェクトに参加したコンサルタントへの給料として支払われるわけではありません。
たとえば、その企業のオフィス賃料や事務部門の社員の給料など、コンサルタントの働きとは直接関係ないところにも配分されることになります。
これがフリーランスコンサルタントの場合であれば、クライアントから受け取る報酬額の大部分がそのまま個人の収入となるため、人によっては年収を大きく伸ばすことも可能になるでしょう。
一方で、フリーランスになることでたとえば確定申告などの税金対応など、会社に勤めているときにはなかった面倒な作業が発生するデメリットもあります。
また、これまでチームでおこなっていたコンサルティングを一人でやるとなれば業務量が増えるため、案件によっては対応が難しい場合もあるでしょう。
これらのメリット・デメリットを踏まえたうえで、自分の理想とする働き方を選択していくことが大切です。
フリーランスのコンサルタントの給料・年収
「フリーランスになることで収入アップが期待できる」とはいっても、フリーランスになった人の全員が収入を上げられるわけではありません。
フリーランスコンサルタントのなかには年収1,000万円以上を稼ぐ人もいれば、思ったように仕事がとれず、会社勤めの頃に比べて大きく収入を落としてしまう場合もあります。
コンサルタントはクライアントからの依頼を請けて問題解決することで報酬を得るため、そもそも依頼がこなければ収入はゼロになってしまいます。
独立することで年収を大きく上げられる可能性がある一方、こういったリスクがあることも考えておかなければいけません。
フリーランスとして安定的に仕事を得るためには、地道な営業活動や徹底した仕事の効率化などが必要だといえるでしょう。
コンサルタントを目指す人におすすめの資格は?
コンサルタントにおすすめの資格は?
国家資格は必要なし
コンサルタントは特定の学歴や国家資格が必要な職業ではありません。
しかし、クライアントの問題解決をおこなううえでは専門的な知識があったほうが有利なことから、実際にはさまざまな免許や資格を持っている人たちがコンサルタントとして活躍しています。
業務に役立つ資格としては、たとえば「公認会計士」「税理士」「中小企業診断士」などの資格が挙げられます。
こういった士業の場合、最初はそれぞれの専門職で働き、経験を積んだあとにコンサルタントへの転職をめざすケースも少なくないようです。
「MBA(経営学修士)」を取得する人も
コンサルタントのなかには、「MBA(Master of Business Administration)」を取得している人たちもいます。
「MBA」は日本語で「経営学修士」と訳され、経営に関して学ぶビジネススクール(大学院)を卒業することで取得できるものです。
以前は海外のビジネススクールに留学するのが一般的でしたが、近年では日本国内のビジネススクールでMBAを取得する人も増えてきています。
MBAは難関資格として知られており、「経営戦略」「マーケティング」「会計」「起業論」など、企業を経営するうえで必要なあらゆる知識を身につけていなければ取得はできません。
MBAの取得はこういった知識を持っていることの証明であり、コンサルタントとして働く際に大きな武器になるといえるでしょう。
公認会計士
公認会計士は、企業の監査や会計を専門分野とする国家資格です。
公認会計士試験に合格することで、企業の財務諸表などから問題点や改善点を見つけられる「数字を読み解く力」を身につけられ、とくに経営面のコンサルティングで力を発揮できるでしょう。
公認会計士試験は年齢や学歴などに関係なく誰でも受験ができますが、極めて難易度が高い試験です。
合格できれば得られるものは大きいですが、しっかりと勉強時間を確保できなければ試験の突破は難しいと考えられます。
税理士
税理士は、クライアントの税務書類を作成したり、税務上の指導やアドバイスをおこなう「税務のプロフェッショナル」です。
こちらも公認会計士と同様に国家資格の一つとなります。
コンサルタントが税理士を取得する最大のメリットとしては、クライアントに対して「税務面に特化したアドバイス」ができるようになることでしょう。
経理上で算出された財務数値からクライアントの抱える課題を把握し、それを経営者に客観的な視点で伝えられます。
受験資格については学歴・職歴・保有資格など、さまざまな分野の受験資格が定められており、いずれか一つの要件を満たす必要があります。
合格難易度は非常に高く、数年単位で勉強を進めていく人も少なくありません。
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言をおこなうプロフェッショナルのことです。
経営コンサルタントとして唯一の国家資格であり、「日本版MBA」といわれることもあるようです。
中小企業診断士の取得をめざすなかで、企業経営の「ヒト・モノ・カネ」に関する全般的な知識を勉強できるため、コンサルタントの仕事に生かせるスキルも多く身につけられるでしょう。
試験を受けるうえで学歴や年齢に関する制限はなく、基本的には誰でも受験が可能です。
とはいえ、例年合格率は低く独学で合格するのは簡単なことではないため、資格学校などに通って試験対策をおこなうのが一般的です。
コンサルタントを目指せる年齢は?
コンサルタントは年齢に関する明確な基準がある職業ではありません。
とはいえ、転職市場では基本的に「年齢が若いほうが有利」であり、それはコンサルタント企業でも同様です。
30代の中盤以降から未経験でコンサルタントを目指す場合、これまで歩んできたキャリアがコンサルティング業務に生かせるかどうかを入念にチェックされるでしょう。
コンサルタントは高卒から目指せる?
コンサルタント企業は、それぞれの会社によって学歴についての応募要件が異なります。
応募要件を「大卒以上」としている会社もあれば「高卒可」としている会社もあるため、しっかりと求人を選んでいけば高卒からコンサルタントをめざすことも可能です。
ただし、大手の総合コンサルタント企業では基本的に「大卒以上」としている会社が多く、さらには「難関大学の出身者が多い」という点も理解したうえで進路を選ぶのがよいでしょう。
コンサルタントは女性でもなれる?
コンサルタントの仕事は体力的にハードな側面があり、以前までは男性中心の職場となっていましたが、近年では女性のコンサルタントも増えてきている状況です。
体力的な面では女性のほうが多少不利かもしれませんが、基本的に男女で仕事内容が区別されることはなく、給料や待遇に差が出ることもありません。
女性コンサルタントの増加にともない「働きやすさ」に力を入れる企業も出てきており、女性にとってもチャンスの大きい業界だといえるでしょう。