シェフのつらいこと・大変なこと・苦労
シェフのつらいこと・大変なこと
体力的にハード
調理と体力は、一見なんの関連性もないように思われるかもしれません。
しかし、料理の世界で活躍するために、健康な身体と体力があることは、最も必要とされる要素のひとつです。
料理人はとにかくハードワークで、勤務時間も長くなりがちだからです。
巨匠と言われるような大ベテランのシェフであっても、早朝から市場へ買い出しに行き、深夜まで料理を作り続ける人もいます。
ベテランの料理人でさえもハードな毎日ですから、シェフになるまでの下積みのコックの仕事量は相当なものです。
毎日、先輩たちが出勤する前に厨房に出て、下ごしらえや掃除、そして店を閉めたあとは遅くまで残って片付けや掃除、翌日の準備などを行い、1日の勤務時間は15時間から20時間ほどになることもあります。
なかには布団で寝ると寝坊してしまうかもしれないため、座って寝ていたという経験者もいます。
睡眠時間はろくにとれず、仕事量も多いとなれば、生半可な気持ちでは続けられません。
この業界で生きていくには、「シェフにしかなりたくない」「何としてでも自分の店を出したい」といった情熱を持ち続けることが大切です。
厨房に関する責任が大きい
シェフは調理場での最高責任者です。
おいしく、見た目も美しいメニューを提供するために、スタッフを適切に配置して動かす必要があります。
部下の失敗であっても、お客さまに迷惑がかかったりトラブルが発生したりしたときは、シェフ自らが対応にあたり、問題を解決しなくてはなりません。
そのため、シェフには冷静な判断能力が常に求められます。
また、シェフは経営面にも携わることが多く、常に原価を意識して店の利益を出していく必要があります。
思うように厨房の指揮がとれなかったり、コストと味の板挟みになったりすることもあり、その点にストレスを感じることもあるでしょう。
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シェフの悩み
腰痛
シェフは基本的にずっと立っているものです。
シェフになるまでの下積み時代も調理、皿洗い、掃除などで立ちっぱなしなことが多く、慢性的に腰への負担がかかっています。
さらに重い食材や調理器具、什器を運ぶことも多く、急に腰への強い負担がかかってしまうこともあり、腰痛やぎっくり腰に悩むシェフが非常に多いのが現状です。
強い痛みで数日動けなくなって、厨房に立てなくなることもあります。
シェフは体力勝負な仕事ですから、ストレッチや腰ベルトを使い、日々のケアが肝心になります。
腱鞘炎
シェフが悩まされる職業病のひとつが腱鞘炎です。
重いフライパンを片手でもちソースを作ったり、鍋をかき混ぜ続けたりと、料理人は手首を酷使する職種です。
シェフになるまでに何年も手を酷使し続けた結果、どんどん症状が悪化して、痛みがとれずに、この業界から去る人もいるほどです。
ストレッチを自分で意識的に取り入れたり、病院や整体に通ってケアしたりしながら、不調に向き合い仕事を続けているシェフが多いです。
シェフを辞める理由で多いものは?
下積み時代の厳しさを乗り越えられない
シェフとは厨房の責任者であり、それ以外の料理人はコックです。
店に入ると、まずは一人前のコックとして働けるように下積みを重ねていきます。
最初は仕事を覚えることと、環境に慣れるために掃除や皿洗い、皮むきなどの雑用から始まります。
勤務先にもよりますが、未経験者は洗い物や掃除などを2年から3年程度ひたすら行い続けることもあり、包丁すら握れない毎日に目標を見失いそうになる人もいます。
また、料理の世界は上下関係が厳しい体育会系の雰囲気であるため、修業中は先輩コックからの厳しい指導の連続や、早朝から深夜まで続く勤務で、心身ともにまいってしまうかもしれません。
しかし、どんなに有名なシェフであっても、この下積みの苦労は必ず味わっています。
下積みを乗り越えられないとシェフになれないといっても過言ではありませんが、残念ながら、早いうちにこの道を諦めてしまう人も決して少なくないのが現実です。
マネジメント能力に自信がない
シェフは現場の責任者となるため、マネジメント能力が求められます。
たとえば、食材の仕入れ額と料理の価格のバランスがとれているか、利益はきちんと出せるかといった金銭面も考えながら、メニューを考案・構成する必要があります。
また、部下となる料理人の指導・育成もシェフの仕事のうちです。
1日でも早く成長してもらい、厨房の戦力になってもらわなくてはなりませんから手が抜けません。
自分の地位が上がれば上がるほど料理以外の面でも気を配ることが多く、コック時代とは違う苦労を感じ、辞めてしまう人もいます。